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K.K.O.(勘と経験と思い込み)に頼らず、学べることは学んだらいいですよね!


先日、このような記事を公開しました。


自分のモチベーションくらい
自分の成長の機会くらい
自分で守れ
ばかものよ

自分の成長くらい、自分のモチベーションくらい(https://note.com/shimada10708/n/n52a9fd8780ac)

茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」という詩の構文を使ってこのように書きました。

上記の記事の趣旨はこうです。

○職員の成長やモチベーションは、本人と組織(上司)の協働作業によるものである。
○しかし、自分の上司が職員の育成やモチベーション向上の施策に精通しているとは限らない。
○であれば、せめて自分に出来ることには取り組んだらいいのではないか。

自分の成長くらい、自分のモチベーションくらい(https://note.com/shimada10708/n/n52a9fd8780ac)

決して「成長もモチベーションも職員個人が頑張るべき」「上司なんかアテにするな」ということではありません。

上記の記事では「個人として出来ること」について書いたので、今日の記事では逆の側から書きたいと思います。「職員の成長もモチベーションも管理監督職の責任であり、そこをサボるのは許されないんですよ」ということをお伝えします。

職員(個人)にも上司(組織)にもできることがあります

ちなみに私自身も係長(監督職)なので、ブーメランによる流血必至の記事となります!(グエ

★     ★     ★

管理監督者の仕事で重要なのがマネジメント。

マネジメントはよく「業務のマネジメント」「ひとのマネジメント」の2つがあると言われます。この記事の話題である職員の成長とモチベーションは「ひとのマネジメント」です。

※おすすめ図書①
『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論 18人の巨匠に学ぶ組織がイキイキする上下関係のつくり方』(海老原嗣生/プレジデント社)


スタッフの成長についての打ち手は、例えば前の記事でも書いたようなコンフォートゾーンとストレッチゾーンを意識して業務を任せることです。本人が背伸びしてようやくできるような仕事を任せることがスタッフの成長につながります。もちろん、必要な支援を適切に行えることが前提。

また、コルブの経験学習の考え方はOJTとも親和性がいい理論です。

取り入れる際のポイントは対話です。本人が内省し教訓を引き出すのを上司が支援することで効果が上がります。何がよかったのか/よくなかったのか、どうするともっとよくなるか、壁打ちの壁となって本人の思考と言語化を支援します。

※おすすめ図書②
『職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門』(松尾睦/ダイヤモンド社)


モチベーションの維持・向上については、働くひとの動機付けの理論として参考になるのがハーズバーグの2要因論です。どのような施策が「内発的動機づけ」になるのか、「外発的動機づけ」になるのか。理解しているとスタッフとの関わり方が変わります。

また、ジョブデザインとしてハックマン&オルダムの職務特性モデル/職務設計の中核的5次元もよく知られています。

Ⅰ. 職務の多様性
 単純な業務よりも、よりスキルや熟練が生かせる仕事を
Ⅱ. タスク・アイデンティティ
 歯車、ではなく、全体像のなかで流れを知る
Ⅲ. 有意義性
 やるべきことの背景や、やらねばならない理由などを知る
Ⅳ. 自律性
 きっちり手順を定めすぎず、工夫できる自由度を用意する
Ⅴ. フィードバック(FB)
 結果だけでなく、進捗途上でもしっかりFBする
⇒この5要素そろった職務設計をすることが部下の意欲と成長に寄与する。

出典『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論 18人の巨匠に学ぶ組織がイキイキする上下関係のつくり方』(海老原嗣生/プレジデント社)


何が言いたいかというと。

管理監督職がスタッフの成長やモチベーションの維持・向上のためにできる「打ち手」は無数にあるということ。もちろん私が例に挙げたものがすべてではないですし、他にも有効な知識・スキルはたくさんあります。

そして、それらの多くは学ぶ気持ちさえあれば学べるものばかりだということです。


そうであるにも関わらず、私たち(私たち!)管理監督職は、自分が育成されてきたやり方、自分のかつての上司のやり方をそのまま目の前のスタッフに対して講じていないでしょうか。

そんなK.K.O.(勘と経験と思い込み)に頼っていると、うまくいけば「この係員は見込みがある」、うまくいかなければ「こいつは相性が悪い」みたいな根拠のない雑な見立てになりがちです。挙句の果てには「私が若かった頃には……」なんて言い出して……。


昨今は、地方自治体でも若手~中堅の離職が問題になっています。
魅力ある職場としての地位と採用市場での競争力も失いつつあります。

そこには様々な理由があるのでしょうが、その職場で成長している実感を得られて、日々の仕事にもモチベーション高く向き合えるとしたら、少なくともその職場に失望して離職するひとは減る気がしませんか?(もっと積極的な理由での離職はあるかもしれませんが)。

私たちの所属する地方自治体は「人材」こそが組織のチカラの源です。離職云々はともかくとして、職員が自らの力を如何に発揮できるかが、そのまま住民を幸せにできるかどうかにつながる業界です。

そういう業界にあって、職員の成長とモチベーションに責任をもつ管理監督職が「学べることを学ばずにK.K.O.(勘と経験と思い込み)に頼る」のは、非常に残念だなと思います。

マネジメントに取り組む管理監督職の側だって、スタッフが成長したりモチベーション高く働いていたら気持ちがいいし、仕事が楽しいと思うんですよね。そういう意味でも残念。

(そろそろ私自身がブーメランによる流血でフラフラしてきました)


もちろん「管理監督職が学んでいないのではないか?」という問題の中には、管理監督職が必要な学びの機会を得られていないという気の毒な事情もあります。管理監督職だけを責めることはできません。

私自身も係長になったときに初任者研修がありましたが、マネジメントのツールとして役に立つ知識やスキルを身に付ける研修はほとんどなく、OJTで教わることもなく、自己学習で学んだことを現場で試しながら磨くだけで何とか務めています。

サッカー部に所属したことがないのに、急にサッカーの試合に出場することになったような気分です。ルールは知っていますし、何となく動きますけど……ちゃんと訓練したことありませんよ?


確かに管理監督職は、特にマネジメントという点において組織が与えてくれる学ぶ機会は少ないかもしれません。

でも、それを理由に熟達するのを諦めるのは違うと思うのです。

一緒に働く職員のためにも、その先にいる地域の住民のためにも、そしてひいては自分自身のためにも、私たち管理監督職は自ら学ぶことができるはずです。


皆さんは如何お考えでしょうか?



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