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自分の成長くらい、自分のモチベーションくらい


自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」という詩に登場するこのフレーズをご存知の方は多いですよね。


この詩の構造を拝借して、こう言いたい。

自分のモチベーションくらい
自分の成長の機会くらい
自分で守れ
ばかものよ

どうでしょうか。
少し乱暴に聴こえるでしょうか。



職場におけるマネジメントの基本は、「マネジメントが《業務のマネジメント》と《ひとのマネジメント》の2本柱からなる」から始まります。

そのうち《ひとのマネジメント》については、諸説あるところですが、私は「スタッフの成長」「スタッフのモチベーション」を如何に各種の施策を投じて適切に維持・向上させるかが、管理監督職つまりはマネジメントに取り組む側の務めだと考えています。

スタッフの成長のためには、そのスタッフにとって楽ちん過ぎず辛(つら)過ぎて心折れたりしないようなタスクを用意し(ストレッチゾーン)、経験から学べるように経験したことの内省や知恵を取り出す概念化(経験学習)を支援する必要があります。

スタッフのモチベーションのためには、例えばジョブデザインにおいて職務特性モデル(Hackman & Oldham)を参考に、多様な技能を用いる機会やタスクの自律性・完結性を意識して仕事を任せたり、その仕事の重要性を伝えることが有効です。


しかし、これは業界による差異について断言できないのですが、少なくとも私が勤めている地方公務員の業界では管理監督職がこういったマネジメントの基礎理論を身に付ける機会に乏しいようです。

その結果、《ひとのマネジメント》についても相当程度K.K.O.つまり勘と経験と思い込みによって取り組んでいる状況が見受けられます。

(もちろん、他にも乏しい業界はあるでしょうし、これが地方公務員だけとは言いません。また、地方公務員と一括りにしても個人差があることは認めます。ただ、現実のこととして、庁内を見回してこの手の話を理解してマネジメントに取り組んでいるひとは、ほとんどいない気がします)


それが若手であれ中堅であれスタッフの成長やモチベーションには、当然それをマネジメントする管理監督職が責任を持つべきです。

しかし、上述のように、現場で四苦八苦している管理監督職は、ろくに理論も学ばず(そもそもそんな理論があることも知らず)七転八起ではなく七転八倒しています。

そこにあるのは、竹やりのごときK.K.O.(勘と経験と思い込み)。

自分がされてきたマネジメントをそのまま目の前のスタッフに同じように用いているだけで、たまたまうまくハマれば「あいつとは相性がいい」とか「あいつは見込みがある」とか思い込んで、自分のマネジメントを改善する機会もありません。


そのことを管理監督職の皆さんだけのせいにはできませんが、とはいえ、スタッフの成長とモチベーションが大切なのも事実。

キャリアコンサルタントとして、何人もの相談者からのご相談をお聴きしても、マネジャーが成長機会の担保とモチベーションのケアを怠るとキャリアの悩みにつながることが多い印象です。


だから再び。

自分のモチベーションくらい
自分の成長の機会くらい
自分で守れ
ばかものよ

ここに戻ってきます。


管理監督職は《ひとのマネジメント》が上手なひとばかりではありません(少なくとも地方公務員の業界においては)。

私たちは《ひとのマネジメント》が下手な管理監督職の元でも、それを拒絶せずに働かなければなりません。

その際に、自分の成長を、自分のモチベーションを、マネジャーのせいにして諦めてしまうのですか?

だから、「ばかもの」は言い過ぎかもしれませんが、「自分のモチベーションくらい、自分の成長の機会くらい、自分で守ろう」と思うのです。

それを諦めたら、「私は、自分のマネジャーが《ひとのマネジメント》が下手ならば、成長できなくてもいいし、モチベーションが低いままでも構いません」と宣言していることと同じだと思うのです。


マネジャーが《ひとのマネジメント》が下手ならば、自分で自分の成長の機会をつくり、モチベーションを高める働き方をすればいいのです。


それは働く者の権利です。


成長の機会については、自ら機会をつくってストレッチゾーンをつくっていくことができます。

マネジャーや先輩に働きかけて、未経験の仕事を任せてもらったり、任せてもらう範囲や難易度を上げてもらうこともできるかもしれません。

毎日の慣れ親しんだ仕事(コンフォートゾーン)の山の中から、効率やスピードを改善する方法を編み出したり、誰でも取り組めるようにマニュアル化や仕組み化をすることも、きっとストレッチゾーンになります。


モチベーションの維持・向上については、例えばジョブクラフティングといった、業務のやり方の工夫(タスククラフティング)人間関係の工夫(人間関係クラフティング)仕事の捉え方の工夫(認知的クラフティング)が知られています。

ジョブクラフティングによって、仕事にいきいきと取り組むことができ心理的ストレスが低減されるといった調査結果もあります。



自分のモチベーションくらい
自分の成長の機会くらい
自分で守れ
ばかものよ


結局、仕事における成長の機会も働くうえでのモチベーションも、組織と職員の協働によるものです。

働いているとツイそのことを忘れて、「マネジャーが~!」「人事が~!」と思いがちです。

でも、課長や人事のせいにしてもどうにもならないことはあります。

そんなときに、自分に出来ることを正しく理解できていたら、自分にとって大切なものを守れるはずです。

今日の話では、それが成長の機会でありモチベーションでしたが、他にも自分の手で守れるものはいくつもあるかもしれません。


管理監督職の責任を諦めはしないけれど、本当に大切なものは誰かに委ねるのではなく、自分の手で守れることが大切。

自分のモチベーションくらい
自分の成長の機会くらい


皆さんは、如何お考えでしょうか。




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