永遠とは、時を忘れるほどの没頭の中にあるひとときのこと

これは、Twitter上で出会った片柳神父のお言葉を、わたしなりに言い換えてみたもの。
『 永遠なんて、どこにもない 』
『 地球上の生物はもちろん、太陽すらいつかは燃え尽きる言われている 』

常々そんなことを思い、『 永遠 』とはなんだろう？と時おり考えていたわたしは、片柳神父のTwitterの投稿を見て激しく衝撃を受けた。

永遠とは、時間から解放されるということ。自然の美しさに見とれて時間を忘れるとき、時間を忘れるほど誰かを愛するとき、私たちは永遠の世界に足を踏み入れているのです。日々の生活の中に、永遠を感じることができますように。今晩も、皆さんの上に神様の祝福がありますように。片柳神父 pic.twitter.com/2OoO5WXtHz

— 片柳弘史 (@hiroshisj) April 9, 2023

(なお、わたしはキリスト教信者ではありません。
ただ、神父のお言葉は、日常生活において充分に感銘を受け納得できるものであり、ツイートや著書は拝読させていただいています。)

国語辞典などで『 永遠 』という言葉の意味を調べてみれば、無限の未来までの時間的持続を意味すると定められているのがほとんどだろう。

わかりやすい例で言えば、結婚式で『 永遠の愛 』を誓ったとする。
その永遠は通常なら、『 ずっと 』『 死ぬまで 』を意味しているはず。

そのふたりが、その後色々とあって、愛は憎悪にすっかりと化けて離婚に至る。
結婚を決めた時には、この愛はずっと続くと信じてたとして、気持ちが冷めてしまい愛の欠片もなくなるなんてことは、珍しくもなんともない。

だから、『 愛なんて永遠なんかじゃない 』とついつい言いたくなってしまう。

また、わたしの中に、
「『 永遠 』なんてものを、命に限りある人間という存在では見る事も確認することもできない。そんなものをどう信じろというのか？ 」
という思いもある。

何かを永遠のものだと事実として絶対的に断言することはできないのだ。

そうだとするなら、永遠という言葉を用いるのは、『 ずっと続けばいいのに 』という刹那る願いを表現にすぎない。
何かに強烈に夢中な時でも、ふと「 このままずっと続けばいいのに 」と、永遠を望んでしまう。
いい「 のに 」と、つい逆説の言葉や思いを伴ってしまうのは、現実的に、この先の時の流れにおいてその状態が本当に永続することはないと、そこはかとなくわかっているからだろう。

永遠の愛と言っても良いものがあるとすれば、誰かを一途に愛して命尽き果てた時、その思いを抱えたまま終えた命の思いだろうか。
変わることなく、時の移ろいとともに流れ、もしそれが偉人の逸話なり何らかの形として残され次の時代へと伝わり続けるなら、それは永遠と言えるのかしれない。
が、こんなことを言ったら身も蓋も浪漫の欠片もなくなるけれど、地球が滅亡したらあえなくおしまいだ。


結局、永遠なんて、続くだろう、続いて欲しいという期待やファンタジーの域を越えるものではないのだ。

と、そんなひねくれたようなわたしの思いが、片柳神父のお言葉でがらりと変わった。

他の一切のこと、さらには時を忘れるほど夢中で何かと向き合っている。永遠を願う気持ちすら抱く隙間もないほど没頭の渦中にいるその状態は、時・時間から意識が完全に解き放たれている。
ただただ目の前の何かに全集中し、自分とその何かが共存するだけの時空・境地。
それを『 永遠の世界の中にいる 』と神父は表しているのだ。

永遠というものを時間の長さという尺度で表すのではなく、幸福のレベルとして捉えていると言った方がいいのかもしれない。

わたしのように、それがずっと続くものだという『 時という物差しからなる永続性 』に捕られるから、その結果疑問を抱いたりひねくれた否定を伴ってしまう。
そうではなくて、没頭した意識状態になったからこそ、『 永遠 』というポケットに一瞬でも入りこめる、そんなふうなことなのだ。

神父のツイートをそう自分なりに瞬時に解釈できて、わたしに衝撃を与えながら肝の底までするするストンと落ちたのだった。

そして、神父のツイートの末尾の、日常の生活の中に永遠を感じる、とは、そんな状態、つまり、何かに没頭するような、それほどの満ち足りた幸福なひとときが日常の中のそこかしこで感じられますように、という願いなのだと解釈した。
没頭といっても、大好きなアイドルのライブやスポーツを熱狂的に応援するといった高揚感溢れるものに限られない。
自分が真摯に向き合い、一生懸命そのために何かをしている状態、それで充分だろう。一生懸命だからこそ、満たされた気持ちになるのだから。

ちょっと抽象的でわかりにくいけれど、『 永遠 』について理解したことを書き記そうと思って今回の記事を書きました。
そんなふうに、意識の有り様の中に永遠を見つけるという、捉え方の変換みたいなものが、非常に斬新な感覚で衝撃的だった。
価値観が変わる、とはこういうことなんだろうし、頑固に変わらぬ価値観も当然あるだろうけど、いくつになっても色々なものに触れることは非常に大切なのだ、ということも、あらためて感じ入った次第です。