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ヒトよりモノに惚れたかった。

わたしには、恋愛依存なところがある。
好きな男がいることで、自分の一部を満たしている。

雑に言うと、常時『 推し 』がいないと気がすまない性質たち
推しって言葉は好きじゃないけど、他の人より好意を抱く、という広い意味で使うなら、好きな人は推しと言える。


思い返せば、いつも誰かを想いながら生きてきた。
幼馴染みのカズくんに始まり、同級生のスズキくん、サイトウくん、クラモチくん、ゴトウくん、イワオカくん、………全部は書かないけど、いつの頃に誰が好きか、恐ろしいほどはっきり思い出せる。


しかも、小学1年の頃、「 わたしの好きな人はスズキくんにしよう 」と決意したことまで覚えている。  

この時点で既にわたしはおかしい。

好きな人のことは、自然と好きになるものだ。

「 この人を好きになろう 」と努力するシチュエーションもあるとは思う。

が、わたしの場合は明らかに『 好きな人 』というポジションありき。
『 好きな人 』を誰にしようか選んだ結果、スズキくんに決めている。
自分の日常の中に、誰か『 好きな人 』がいないといけなかったのだ。


好きな人を決めたのはこの時限り。
幸い(?)、自然と好きになる人がその都度現れた。

ちょっと気になる程度の時もあれば、相手からすれば鬱陶しい熱視線を送る危険な時もあった。

隙あらば好きな人を思い浮かべ、彼と自分のストーリーを妄想する。
学校に行けば、好きな人の姿を目で追い求める。
得意な妄想を生かし、もっと日本語の勉強をしたうえで、若いうちに恋愛小説家や恋愛ドラマのシナリオライターになっていたら、もっと楽しい人生だったのに。

相手はだいたい、学生時代は同級生や部活の先輩、社会人になってからは仕事で知り合った人。
身近な人と平行して、アイドルや役者さん、スポーツ選手の大ファンだった時もある。
身近に好きな人がいないと、自分の全熱量がすべて有名人に行ってしまう。
追っかけまではしないけど、日々好きな相手を想って妄想するのは同じこと。
まあ誰かのファンになって妄想するのは、異常でも何でもなく誰にでもあると思う。


ただし、好きな人が常にいるというだけで、想い想われる恋人が常にいるわけじゃない。
アラフィフだけど今でも彼氏が途切れません、という人生を送ってみたかった。




40を過ぎたころ、ふと思った。

ヒトではなく、モノを好きならよかったのに、と。

何でもいい。
ジャズが大好き、クラッシックが大好き、サッカーが大好き、アニメが大好き、鉄道が大好き、何か生き物が大好き。
何でもいい、ニッチなものでもいい。
好きなコトでも同じ。
例えばスイーツの食べ歩き、神社の御朱印集め、映画鑑賞とか。


ヒトじゃなく、モノに情熱を注げる人間になりたかった。
そのモノについて人に語れるし、好きになるほどその道を深く極められる。職業に繋げられる。研究者にだってなれる。


好きなモノに出逢うのは、早ければ早いほどいい。
子供の頃から好きなモノを今でも変わらず愛し続け、ライフワークになっている人が羨ましくて仕方ない。


しかも、モノは裏切らない。
それ自体を好きだからといって、傷つくことはほとんどない。


ヒトを好きだと、時には傷つき、時には裏切られる。

その相手自身が残念な人格だったり、犯罪者だと発覚してしまったり。
その相手は何ひとつ悪くはなくても、周囲の人による残念な行為の被害者になることも。

相手は幸せのはずなのに、それが酷く傷つくこともある。
身近にいる好きな人が自分を好きにならず他に彼女ができれば、簡単に失恋して悲しみを味わうことに。

有名人が相手でも同じこと。
自分と有名人が結婚するなんて、ほとんどの人は本気で思っていない。
それでも、誰か特定の人のものになってしまえば喪失感が生まれてしまう。
自分にそんな経験は直接ないけど、福山雅治さんの結婚の時は、翌日会社を休むほど大ファンの方々の心情を思うと、モヤモヤして堪らなかった。


だから、ヒトよりもモノを愛している方がいい。
人間という感情ある生き物に直接翻弄されることなく、自分の愛したいように愛せる。
悲しい思いは少なく、モチベが上がり、極めて生業や人生の糧にすることができるのだから。

わたしには、そこまで熱量を向けられるモノに今まで出逢えなかった。

わたしにいくら歴代二十人以上の好きな男がいたところで、その時々のわたしの支えにはなっても、語れることにも興味を深めることにもなってはいない。
酒の肴にするか、今、こうしてネタにできる程度。しかも、聞いてもらったり読んでもらえるだけで大変ありがたい、無料の言葉にしているだけ。

さっき書いたような恋愛物書きのプロや恋愛心理学の専門家になれれば良かったかもしれないけど、若い頃にそういう道を知り歩むこともできなかった。



最近になって、ようやく何か書くのと写真を撮るのが好きだと言えるようになった。

だからもう、好きなヒトは要らないかな。


──── と、そうやって締めくくれば納まり良いのに、結局心に居てしまうのよ。

作った人じゃなく、好きになって想いの止まないままのヒトたちが。

好きなヒトと好きなモノ。
両方あるのがきっと最強。
自分の熱量を産み出せるものがたくさんあるってことになるからね。




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