ローマ帝国と蟻と聖徳太子に学ぶリーダーシップ
あなたは知っていましたか?
知らないうちに、すでに足元で静かなる侵略が始まっているそうです。
それが、アルゼンチンアリ。
先日のNHKクローズアップ現代で、はじめて知りました。
1、アルゼンチンアリの爆発的な増殖の秘訣
静かなる侵略者”史上最強”アルゼンチンアリとの攻防(2022年6月6日放送)
小さな小さな存在が、地球上の生態系の頂点の存在である
わたしたち人間の生活をおびやかしているのです。
ちょっとびっくりしませんか?
番組では、アルゼンチンアリの生態について説明されていました。
アルゼンチンアリは、原産地の南米中部では同種同士で争いを起こす。
しかし、ちがう場所では現地アリと仲良くなり、交配して、どんどん
繁殖していく。
こうやって、アルゼンチンアリは自分たちの種を繁殖させて、爆発的に
種を増加させていくのです。
喧嘩するより仲良くなって、自分たちの種を広げていく。
アルゼンチンアリに戦略頭脳があるのかどうか?は分かりませんが、それにしても、したたかですよね。
これが、”史上最強”と言われる小さい蟻の大きな野望の戦略です。
ビジネスにおいても、戦うより賢い戦略がありそうですね。
2、古代ローマが領土を拡大できた時の本当の理由
さて、アルゼンチン蟻の世界進出戦略と似たような方法で、
どんどん領土を拡大していった国がかつてありましたね。
そうです。ローマ帝国です。
ローマ帝国の最盛期の領土は、北はイングランド、南はエジプト
そして、アフリカ大陸の地中海沿岸地域、東はトルコまで広げたのです。
こんなに広い領地をどう治めたのでしょうか?
その秘訣は、「寛容さ」。
他の国の技術を自国に取り入れ、洗練していきました。
例えば、エトルリアに土木建築を学んだことで、アッピア街道や
水道橋など、今では世界遺産になっているほど頑強で美しい
インフラを建造しました。
「すべての道はローマに通じる」は、土木建築技術を習得した
賜物ですね。
また、人々の文化や信仰においても例外ではありません。
ローマ帝国というと、がんじがらめの厳しい罰則で支配したかの
ようなイメージがあるかもしれませんが、実際はその逆。
自国の価値観を押しつけるようなやり方ではなく、征服した先が
培ってきた独自の言語や宗教、慣習などを尊重したそうです。
こうやって、古代ローマ帝国は1200年も続き、中でも「パクス・
ロマーナ(ローマの平和)」と呼ばれる期間は200年にも渡って
平和な時代を築きました。
異なる民族を排除するのではなく、味方に引き入れる。
優れたもの、優れたスキル、優れた人からは、貪欲に学び吸収する。
これが繁栄の秘訣なのです。
3、聖徳太子「和をもって尊しとなす」の再定義
日本でも、卓越したリーダーの言葉があります。
それが聖徳太子の十七条憲法の第一条「和をもって尊しとなす」
権力争いや足の引っ張り合いをしては、国をおさめることが
できませんよね。
平和な国づくりのために、和を重んじて国づくりをしましょう
ということです。
しかし、現代人のわたしたちは「和」を誤解していないでしょうか?
「和」とは、忖度や空気を読むことではありません。
ビジネスにおいて、馴れ合いや仲良しこよしでは、組織の発展も
繁栄も実現は不可能です。
真の「和」とは、ヴィジョンを共有し、力を合わせる信頼関係のはず。
だからこそ、仲間やメンバーが妥協したり手抜きをしたら「もっとがんばろうよ!」を励まし、諌めることだってやらなければいけないのです。
なので、時として「和」を重んじるからこそ、まやかしの「和」を疑い、
問いかけ、揺さぶりをかけていくことだって必要なのです。
4、現代の「心理的安全性」と、聖徳太子の「和」について
現代の組織論やチームビルディングで、「心理的安全性」が重んじられています。
たしかに、相手の人格を否定したり、信条を非難するのは、相手の尊厳を傷つける行為は倫理的に良くないことです。
しかしだからと言って、何においても否定してはいけない、反論してはいけない。
こうなると、議論が深まらないし、個人の意見以上に、昇華されたアイデアが生まれません。
これでは、わざわざ会議やミーティングでメンバー同士の意見を出し合うメリットがなくなってしまいますよね。
叡智の結集がなくなってしまいます。
むしろ、叡智を結集する。そのために、なんでも言い合える安全安心の場づくり。
それが「心理的安全性」の確保ですね。
これはまさに、聖徳太子の「和」と同じことなのです。
5、ますます複雑化する時代を歩むために
時代はますます複雑化しています。
時代が動く中で、どう歩んでいくのか。
そのためには、排除ではなく、調和を。妥協ではなく、昇華を。
リーダーは、メンバーを公平に舞台へ引き上げて、活躍する舞台作りを
する。
この舞台こそが「心理的安全性」ですね。
そして、アルゼンチンアリのしたたかさと、ローマ帝国の寛容さ、
リーダーの必須条件ではないでしょうか?
現代も、大陸の隣国に立ち向かう飛鳥時代の聖徳太子の時と、さほど
変わらないハードな時代です。
【安全安心の舞台の上で、したたかに、寛容に】
あなたのリーダーシップがさらに洗練されていくことに
お役に立てれば光栄です。
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