映画『Drive』と書体 “Drive”
ビジネスに使えるデザインの話
ビジネスにデザインの知識はけっこう使えます。苦手な人も多いから1つ知るだけでもその分アドバンテージになることもあります。noteは毎日午前7時に更新しています。
欧文書体の種類
欧文の書体は、ざっくり分類すると4つの種類の分けることが出来ます。
セリフ体
サンセリフ体
スクリプト体
装飾体
セリフ体というのは和文書体の「明朝体」に相当するもので(実際歴史的にも関連があります)、文字を形成する先の端にぴょろっと出た線があります。
サンセリフ体は、この「セリフ」がないデザインの書体を指すカテゴリーです。「サン(Sans)」はフランス語で「無い」を意味しています。有名なHelvetica(ヘルベチカ)という書体は、このサンセリフ体というカテゴリーに属する書体です。
装飾体は、文字通り装飾を目的にデザインされた書体で、読みやすさより目立つことや装飾することを優先しています。英語では、DecorativeとかDisplayと呼ばれるカテゴリーです。
スクリプト体
スクリプト(Script)体は、筆記体または手書き風の書体のカテゴリーです。今回、紹介するMistral(ミストラル)という書体は、このスクリプト体に属する書体です。
書体 “Mistral”
書体名:Mistral(ミストラル)
カテゴリー:スクリプト体(カジュアル)
デザイナー:Roger Excoffon(フランス、1910–1983)
鋳造所:Fonderie Olive, Amsterdam Type Foundry
リリース:1953年
ちなみにMistralの意味は「フランス南東部に吹く強い北風」でフランスを縦断する急行列車の名前にも使われています。たしかに強風に吹かれたような気配がこの書体にはありますね。
この書体で文字を組むとあたかも続けて綴ったような文字がつながって見えるようにデザインされています。デザインしたRoger Excoffonは、他にも今でもよく使われているAntique Olive や Bancoといった装飾体をデザインしています。
Bancoについてはこちらの記事も参照ください。
Mistralの使われ方
このMistralという書体はどのように使われているのか、いくつか例をみてみましょう。
ライアン・ゴズリング主演の映画『Drive』(2011)のロゴ
タイトルでも触れていますが、このMystralという書体は、ライアン・ゴズリング主演(ニコラス・ウィンディング・レフン監督)のロゴに使用されています。(ライアン・ゴズリングの顔が)甘く、ずっとすこーし暗く、緊張感がずっと続く映画です。しかしロゴにはマゼンダ寄りのピンクが使われています。映画『グレート・ギャツビー』にも出演していたキャリー・マリガンがとてもかわいいです。
E. C. B. Thornton著『South Coast Pleasure Steamers』の表紙
ジェームス・ブラウン『Ain’t it Funky』のアルバム・ジャケット
ジェームス・ブラウンの名前やアルバムタイトルに使われている書体は“Davida”(1965)という装飾体です。
高級リゾートブランドBetina Kingのロゴ
まとめ
退場した1953年から使われ続け、現在でも古臭さなく使われているスクリプト体です。フランス生まれが故にフランス的かというとフランスでもよく使われていますが、その他の国でもよく使われているので、フランスの気配に関しては「すこしあるかも」という具合です。代表的なスクリプト体(カジュアル)なのでなんとなく覚えておくと良いと思います。
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参照
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