アストン・マーチンのロゴが“ちょこっと”リニューアル
ビジネスに使えるデザインの話
ビジネスにデザインの知識はけっこう使えます。苦手な人も多いから1つ知るだけでもその分アドバンテージになることもあります。noteは毎日午前7時に更新しています。
アストン・マーチンが19年ぶりにロゴをアップデート
イギリスの高級車メーカー、アストンマーティンは、ロゴの更新を公開しました。
リニューアルされたロゴは、以前のものとほぼ同じですが、よく見るとちょっとずつ異なっています。まずはすべてのライン、文字が太くなっています。そして翼の中を走る半円のラインが削除されました。
「微妙ではあるが必要な改良は、フォルムを新鮮に保つだけでなく、将来の新しい技術、状況、アプリケーションに対応することを可能にします。このプロセスは、アストンマーティンというブランドの主要な特徴を明確にし、強調するためのものでした。」ロゴのアップデートについて語るのは、アップデートを担ったイギリスのグラフィックデザイナー、ピーター・サヴィル(Peter Saville)氏。
ピーター・サヴィル
ピーター・アンドリュー・サヴィル CBE(eter Andrew Saville、1955年10月9日生まれ)は、イギリスのアートディレクター、グラフィックデザイナー。1978年にトニー・ウィルソン、アラン・エラスムスと共に設立したファクトリー・レコードのレコードスリーブを数多くデザインしたことで注目を浴びるようになりました。ジョイ・ディビジョンの「アンノウン・プレジャーズ」やニューオーダーの「ブルーマンデー」など、史上最も有名なレコードジャケットを制作しています。
若い世代に向けている
若い人たちへのアピール度を高める試みの一環として、ロゴは刷新されたということです(※1)。これは、推測するにその他の自動車、ファッションなどのブランドのDeBrandingと同様にスマートフォン経由で顧客や潜在顧客、つまり市場へ接することを鑑みて、視認性を高めた、ということでしょう。
デブランディングについてはこちらに記事で解説しています。
このデザインは、アストンマーティンが発売する次世代スポーツカーに採用され、今週末のフランスGPでは、F1チームのカラーリングに採用される予定です。
アストンマーティンは、今回のブランド変更は、「インテンシティ・ドリブン」(intensity driven: 激しさドリブン)と呼ぶ新しいアイデンティティ・コンセプトの一環であると述べています。この新コンセプトは、スピードとパワーに加え、洗練された美しさとクラフトマンシップへのこだわりを併せ持つという、アストンマーティンの車の評判を強調するものだそうです。この激しさ(Intesity)ドリブンというコンセプトについて、アストンマーティンは、「ヴァルキリー」で高速ラップをしているときのドライバーの瞳孔散大と心拍数をビジュアライズしたショートフィルムを制作しています。
書体のベースは“Optima”
ちなみにアストン・マーチンのロゴは新旧ともにベースになっているのは、ドイツの書体デザイナー、ヘルマン・ツァップ氏がデザインしたOptima(オプティマ)という書体です。
オプティマについてはこちらの記事で詳しく書いています。
まとめ
「何かを変えずに、何かを変える」ということは多くのブランドが継続的に直面する課題です。変えなくていけない理由は、進化圧です。時代が変わることによって、流行という進化圧もありますが、技術革新が世界の有り様を変えてしまうという圧もあります。わたしたちは、もうテレビや雑誌や新聞ではなく、スマホで情報にもっとも接するようになっており、この接点についてブランドやメーカーは変化してついていく必要があるわけです。
参考
※1
https://www.dezeen.com/2022/07/20/aston-martin-logo-rebrand-peter-saville/
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