別れの終着点で私達は強く美しくなる

「失恋すると世界はモノクロになる」と一体誰が言い始めたのでしょうか。現実ではあり得ないのに、私もその表現には同感です。

去年の6月に初めて失恋を経験しました。約7ヶ月が経ち、ようやく前に進み、今はカラフルな世界で生きています。他の方のnoteを拝見したところ、「恋人と幸せそうな記事」よりも「失恋で苦しい記事」の方が気持ちが濃縮されている印象を受けました。世の中には「ハッピーな恋愛ソング」よりも「アンハッピーな失恋ソング」の方が圧倒的に多いそうです。それはきっと立ち直りが難しく時間がかかることである失恋最中の人達の共感を得て心を掴むから、そしてそれを乗り越えた人達をも懐かしさに浸らせることが出来るからでしょう。

私は時間があると無意識に、恋人との楽しかった思い出へ逃避し、現実に戻るとそのギャップに切なくなりました。「どうしてこんなことになったのか」そればかりを考えては「考えてもしょうがない」と空元気を出してみたものの疲弊してしまい、このループから打開するため、ネット記事や本に書いてある事をまず行いました。

荷物の断捨離。貰った物・恋人が褒めてくれた記憶が強く残っている物は、当時の情景を思い浮かべでしまうので「取っておく・捨てる」の選別をし、取っておくものに関しては一つのBOXに全てを入れ手の届かない場所へ。スマホの写真も同様、流石に削除する勇気はなかったので全て非表示にしました。ですがいくら形あるものを遠ざけても、形のない頭の中の記憶が強く暴れ続けました。

趣味に没頭。旅行・映画・読書・勉強・人と会う。あらゆることに時間をかけましたが、楽しさとは裏腹に、美味しいものを食べると、綺麗な場所を訪れると、良い物と出会うと「これを彼と共有したかったな」という残念さと未練が私を包み込んでしまったため、これに関して私は成功とは思えませんでした。


どうしてこんなに立ち直れないのか。私は、輝いていた交際期間の記憶に浸るばかりで「失恋」という苦しい出来事にそのもの真っ直ぐ向きあえていないことに気が付き、今回の失恋を今一度最初から振り返ることにしました。「考えてもしょうがない」を一度辞めてみることにしたのです。

まず紙とペンを用意し、何が原因だったのかを書く。自分視点と出来るだけ相手視点も。次に自分の何がいけなかったのか・どうするべきだったのかの「反省」を。その後「次はどうすればいいのか」の対策を練る。小学生の時に習うような「原因・反省・対策」のステップで全て洗い出す。浮かんだことはとにかく全てを紙に書く。

この過程は当然嫌なことを振り返る作業なので非常に苦しい時間でした。一日考えて、次の日に読み返すと新たな違う視点の反省と対策が浮かんでまた書いて。それを繰り返し続けて、もうこれ以上は何も出ないと思った瞬間、「こんなに多くの学びを気付かせてくれてありがとう」の感謝を相手に思ったのです。相手に指摘されたことを今冷静に考え直すと、私のためになることばかりでそれを理解した時「もう同じ事は繰り返さない」と自分にプラスの効果を感じました。


その感覚を得て分かったことは「別れは苦しいものだけど、自分が成長するためにその人から得られる学びを終えたから別れは存在する」ということでした。記憶の良い面だけを見ていたらそれが美化されていつまでも縋ってしまう。それは恋愛だけでなく、友人等同じことが言えるのではないでしょうか。一つの別れをきちんと見つめ直す、それは自分の成長であり次のステップに進める最高の出来事。そう捉えられるようになった時に、心が抵抗なく別れを受け入れることが出来たように思います。

よく「時間が解決してくれる」という言葉を耳にしますが、出口の見えないその期間はいつまでも心に不安を与えるものだから、そんな言葉は嘘だと思っていました。ですが結論、「時間が解決してくれる」というのは正解だったと思います。ただ付け加えると、後悔を引きずって時間を過ごすのではなく、自身の考えを見つめ直す時間を過ごすことが出来れば、きっと出口は近くにあるでしょう。

一期一会、別れは恋愛でなくとも突然訪れることです。思い出の多さに時間は比例するかもしれないけれど、私は質と時間は比例しない物だと思っています。どんなに短い期間でも、目の前の人をしっかり見ること。それでも上手くいかなかった時、例えどれ程酷い仕打ちを受けても相手に恨みを残さないこと。自分は100%悪くないという考えをまず疑って冷静な状態で考えてみること。

今は苦しくても必ずその経験はいつか自分の武器へと変わります。人の痛みに寄り添えたり、次に出会う人への優しさのお土産に。そのために考えることから逃げないで前を向く。

そして、一人の人に良く思われるため費やした美容、大切にされたいと努力した事は無駄ではありません。その努力は美しい。何もしなかったことよりも、誰かのことを思って積み重ねた結果は格段に美しいはずなのです。この恋の終着点で、自身が強く美しくなれたと、誇ってもいいのではないでしょうか。

付き合っている期間だけが恋愛じゃなくて、付き合う前も、付き合っている間も別れですらも、全てが恋愛だと思うんです。その経験として得た武器を研ぎ続けること、そしてこれからも沢山の人と出会って武器を増やすこと。途中で武器をアップグレードさせても、考え方が違ったと思ったら取り替えてもOK。とにかく自分の成長を止めないこと。その成長をさせてくれた人に感謝すること。

そうしたら、ほら、いつの間にか成長した自分が幸せだと思えませんか?


2023/1/18


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