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恋愛対象ではないと思われている相手を陥落させる方法~愛の妖精~

前回の記事では、ジョルジュ・サンドの「愛の妖精」を教科書にしながら、特別な存在になるにはどうすればいいのかということをお伝えしました。


今回は恋愛対象ではないと思われている相手を振り向かせる方法を、引き続き「愛の妖精」から紐解いていきたいと思います。


「愛の妖精」の物語について簡単におさらいをすると、優良株の好青年が、変わり者でみんなから馬鹿にされている少女と、何故だか本気の恋に落ちるという、なんとも不思議なお話です。


優良株の好青年ことランドリーが双子のメンヘラチックな兄の偏愛を上手くかわしながら、変人少女フェデットとホントの愛にたどり着くのですが、それにしても何故何故どうして変人少女を愛してしまうわけ?と疑問がわきますよね。


ですがどうぞご安心ください。疑問の答えがチャーンと「愛の妖精」に書かれています。さすが世に名を遺す文豪はちがいます。


注目すべきポイントは、ビックリ仰天するくらい大きなギャップです。


このギャップ、愛を燃え上がらせることもできれば、冷ますこともできるという恐るべきツールであります。

まずは、冷めてしまったギャップについてみていくことにしましょう。

「愛の妖精」にはランドリーが心を動かす女性がもうひとりでてきます。


彼女はいわゆるお嬢様で、容姿端麗なモテ女子。人当たりもよく一見、非の打ち所なくみえるんです。


ランドリーはほのかな恋心を彼女に抱いているのですが、急速にその気持ちがしぼみファデットに心が傾いていくんですよ。


それはなぜか、それをこれからお話していくことにしましょう。


ランドリーはファデットに何度か窮地を助けてもらっています。ただ助けてもらったことが理由でファデットを愛するようになったわけではないんです。


あることがきっかけで急速に心が傾いていきます。そのあることとは、助けてもらったお礼にファデットと村祭りで1日中ファデットと踊る約束をしたのですが、そのことがきっかけで、ファデットのギャップと思いを寄せていたお嬢様マドレーヌのギャップを目の当たりにしたのです。


マドレーヌは自分と踊るものだとばかり思っていたランドリーがファデットを相手にしているのが面白くなく、意地悪女全開になってしまいます。


非の打ち所がないと思っていた魅力的な女性の意地悪な一面を垣間見るほどなえるシチュエーションはないでしょう。


うーんでも、マドレーヌの気持ちわからなくもないんですよ。嫉妬から地雷を踏んでしまうことってありがちですよね。


あまり会えないとかLINEの返信が遅いとかその他もろもろ、意地悪地雷が発動する場面はたくさんあります。


そんな時は嫉妬していることや心配していることを、うまく相手に伝えられるといいかもしれません。


意地悪地雷が発動するのは察して欲しいという気持ちから出ていることが多いと思うのですが、結局のところ察してもらえることはなく、嫌われてしまうだけということなりかねないですから。

容姿端麗なお嬢様は非の打ち所がないように見えただけに、意地悪な一面が決定打となり、ランドリーの恋心をしぼませることなってしまいました。

では興味のない女の代表選手ファデットのどんなギャップがランドリーの心をつかんだのでしょうか。


早速みていくことにしましょう。


踊っている最中に、みんなから寄ってたかって馬鹿にしたり嘲笑されたりすることに耐えられなくなったファデットは、「もう約束は果たしたのだから、これ以上私と踊らなくてもいい」と言い残して立ち去ってしまいます。


ファデットのことが可哀想になり恋に落ちたのかというと、全く違いまして、憐みは覚えたものの、気にも留めなかったわけなんですね。


え?だったらなんで?って思いますよね。そのことについてこれからお話しますね。


家に帰る途中またまたランドリーとファデットはでくわしてしまいます。この時「またファデットかよ! 」という感じでうんざりしてしまったんですが、泣いているファデットをみて可哀想になり、話を聞いてやることにしたランドリー。

ここでの会話が、実に面白く。恋に大いに役立ちます。

ランドリーがファデットにぶっきらぼうな言葉遣いや、ガサツなふるまいをやめ、身なりをキチンと整えるように。そして頭の良さをみせつけると人に憎まれると教えてやるんです。

するとファデットが「見かけがきれいでもなく、よさそうでもないものを、みんな馬鹿にし過ぎる。そのために、せっかく役に立つ、ためになるものがあるのに、それを見逃してしまう」と反論します。


人って9割の思考が自動操縦されていて、ほぼ直感で思考していると言われて、ノーベル経済学賞をとったダニエルカーネマンは、このことを早い思考と呼んでいます。

何がいいたいかというと、人を評価する時私たちは、見かけだったり、雰囲気だっり、学歴やキャリアなんかのバックグラウンドで判断しがちで、相手の内面までじっくりと観察できていないということなんです。


なので、恋の入り口段階では、相手からどう見られているかや、どう見せたいかを意識して振る舞いや、服装を戦略的に考えていくことが必要になってきます。

お互い深く知り合う前に、シャッターを閉められてしまっては元も子もないわけなので、まずは門戸を広くしておいた方がいいわけですね。

話を戻しますね。

ランドリーはファデットと話していて、表面的なファデットしかみておらず、誤解していたことに気づきます。

失踪した彼女のお母さんへの愛情、障害を持った弟への気遣い。自分をいじめる村人達への想い。

自分が思っていたファデットと本当の彼女との大きすぎるギャップが、好奇心をくすぐり、恋心を芽生えさせたと言えるのではないでしょうか。


次のギャップは見た目の変化です。

なんと器量が悪いことで有名だったファデットがある日突然、美女に変身するというビックリ仰天な出来事が起きたんです!


見た目ってめちゃめちゃ訴求力が高いので、このギャップがランドリーの心を射抜く最大の武器になったことは言うまでもないでしょう。

外見の変化は表面的に人を判断する直感的思考からジックリ考える思考を呼び起こしてくれます。

見た目の変化は「一体全体何があったんだろう? 」と頭を混乱させ、惹きつけられていきます。

人は自分が注目したものが重要であると考える性質を持っているので、好奇心を刺激されファデットのことを考えれば考えるほど、とても大切な女性に思えてくるというわけなんです。


ギャップ萌えという言葉がありますが、ギャップを上手く利用することで、欲しい恋を手に入れることができるかもしれません。


ギャップを上手く活用するには、「相手が自分をどう思っているのか」という察する力とギャップを演出するにはどう魅せればいいのかという伝える力が必要になってきます。


このふたつの力を磨いて恋の勝者になりましょう。


サンドの「愛の妖精」はこれから婚活をしている方や片思い中の方そして復縁したいあなたに是非読んで欲しい1冊です。

参考文献:愛の妖精 ジョルジュ・サンド作 岩波文庫

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