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【ハーブ天然ものがたり】はまなす


バラの原種


はまなすは学名 Rosa rugosa(ロサ・ルゴザ)
バラ科バラ属の落葉低木で、いまでは何万種とあるローズのもとになった原種のひとつです。

バラの原産地はすべて北半球にあり、日本もバラの自生地として世界的に知られています。
乾燥にも日光にも強く、耐寒性にすぐれた丈夫な原種はまなすは、バラの品種改良の親種として古くから活用されてきました。

はまなすはもともと梨のような実をつけることから、はまなし(浜梨)と呼ばれ、はまなすへ変化したといわれています。

海岸の砂地に自生し、花はお茶になり、果実に含まれるビタミンCの豊富さはローズヒップとして有名になりました。
カロテン、ピロガロール、タンニンを含み、滋養強壮に良いといわれています。
そのままでも食べられますが薬用酒やジャム、お茶、のど飴などお菓子類にも使用されています。

はまなすの根は染料になり、代表的な染め物に秋田黄八丈があります。

秋田八丈 - Wikipedia

はまなすの学名 rugosa(ルゴザ)はシワシワという意味で、たしかに花びらはシワッとしていますし葉脈もスジがはっきりと際立って見えるので、全体シワシワしている印象があります。
細かい毛や棘が多く、潮風にあたっても塩分がつかないよう進化してきた智慧がその姿形に反映されています。

北海道の石狩川河口にある「はまなすの丘公園」は、日本海にのぞむ、はまなすの群生を見られる観光スポットです。
日本海沿岸の風はほんとうに強く厳しいので、こんな場所でよく育つものだと心服します。

海岸ちかく自生するはまなすは、草丈を低くすることで日本海の厳しい潮風をやり過ごし、地下茎を発達させて、細い根を地中にたくさん伸ばして砂のなかにある水分を取り込み成長します。

秋の冷風は強烈で、海岸に数秒立つことさえままならない日もあります。
口をぎゅっと結び、表情筋をシワシワさせながら、手のひらなど肌が露出している部分を衣服のなかにしまい込んで、秋の潮風を浴びていますと、全身トゲトゲの針みたいな体毛で身を覆いたくなる気持ちがよくわかります。

雪が降りはじめるころの風はさらに容赦なく吹き渡り、雪が積もることさえ許さぬ豪風で、触れるものみな凍らせる冬将軍が上陸してきます。
こんな風あたりの強いエリアを自生地と定めた、はまなすのお役目に思いを寄せると、胸の内まで凍りつきそうな冷気に気圧されます。

バラ花から得られる精油にはロウ成分が含まれているのですが、凍結を避けて冬期間を越す、進化の賜物なのだろうと思います。


はまなすの香り


花の香りは香水の原料になりますが、はまなす精油の流通は多くありません。
ときおり見かけてもかなり高額で生産には相当テマヒマかかっているのだろうと拝察します。
はまなすの花にふくまれる精油は神経系に作用して、血管拡張作用があるといわれており、血行促進に役立ちます。

花は風通しのよいところで陰干しすると生薬になります。
漢方では玫瑰まいかいという名で、ストレスによる胃痛や下痢、月経不順などに使われてきました。
玫瑰まいかい花、玫瑰まいかい茶という名のハーブティも市販されていますが、ほとんどが中国産のはまなす近種です。

一般的にローズのハーブティーは、オールドローズに分類される花を乾燥させたもので、ガリカローズ、ケンティフォリア(キャベジローズ)、ダマスクローズが市場に出回っています。

ローズティーも玫瑰まいかい茶も、できればつぼみ(バッズ)のまま乾燥させたものが、香りもよく色味も美しいです。
蕾のカタチをそのままカップに浮かべて楽しむ方もいますが、私はもっぱら使用する直前にパラパラほぐして使っています。

花のお茶は気の流れや血の流れをよくすることで、気分のイライラを鎮めるのに役立つといわれています。
あざやかなピンク色がのこるハーブティは、ほんのり甘く飲みやすいです。

完熟するまえの橙黄色の果実は焼酎に3か月ほど漬けて果実酒にすると
暑気あたり、低血圧、不眠症、滋養保険、疲労回復や冷え症の良薬になると伝えられています。

photolibrary


はじめる底力


花の女王と称えられるバラは現地球史の薔薇文化を築き、愛と美の女神象徴として愛されてきました。
南のハイビスカスとともにバラは北半球の品種改良花として「特別な花」の地位を確立しました。

ワイルドローズ、オールドローズ、モダンローズと、バラには品種改良の年代による分類方法があります。
野生種(ワイルドローズ)は、人工交配されずに自生地に自然のまま存在するものを指します。
薔薇園などでは分類記号「Sp(スピーシーズ)」と表記されている場合もあり世界で200種ほどが確認されています。

ワイルドローズは現在数万種ある園芸品の親種・原種として、薔薇文化の誕生を支えてきました。
親種となったワイルドローズのなかに、日本のはまなす、ノイバラがあり、これらの原種から自然交配もふくめて品種改良がすすみ、たくさんのバラが誕生してきました。

オールドローズは1867年にフランスの育種家によって作られたハイブリットティーローズ「ラ・フランス」が生まれたころまでに誕生したバラの総称です。
このあたりから薔薇玄人にしかわからない線引きがあり、1867年以降であっても、薔薇らしいクラシックな姿形で香りよく、オールドローズ系統に含まれる品種はオールドローズ扱いとなります。
それ以外の後続組はモダンローズと呼ばれます。

現在ハーブやアロマ市場のメインストリームを陣取っているのは香りのあるダマスク種、ケンティフォリア種、ガリカ種などのオールドローズです。

バラの親種のひとつに、はまなすが使われていたと知るまで...というより、はまなすがバラ科バラ属であることさえ知らなかったころは、海岸でよくみる、毛虫がたくさんつくトゲトゲしい植物と思っていました。

世界にこれだけ拡散された薔薇文化を思うと、はまなすの「はじめる底力」に思いが至ります。
結果重視の現実世界では評価されることの少ない、ものごとをスタートさせる力です。
ほんとうはどんなことにも元種が必要で、種がないと植物も育たず、花も実もつけることはできません。

はじめる力、スタートさせる力をもつ元種は、多くの人にとってなじみのない、目新しいことなので、承認されることも少ないように思います。
それどころか、多数派とちがうというだけで誹謗中傷のターゲットになりやすく、風あたりの強い立場に立つこともセットになっているような。

(極端な例ですが)そうかといって自分自身も、日々コトバをつかって考えたり会話したりする中で、コトバのはじまりに携わった人々やコトバをつかえるように工夫してきた先人に、思いを馳せるなんてことはめったにありません。
一事が万事そのように、目の前にあることだけに意識が集中するさがをどうしようもなくもっているんだなぁと思います。

風あたりの強い日本海沿岸に群生するはまなすは、決して大きく育つことはありませんし、視線を釘付けにする華やかさも持っておらず、世界に通用する薔薇文化を形成してきた、いわゆるバラっぽい印象は微塵もありません。

吹きっさらしの日本海沿岸で、厳しい環境に適合するための工夫をこらして
可能性を広げ、トライしては挫折を繰り返し、データを蓄積する研究者のように、いまこのときも天からの影響を大地に流し続けて薔薇文化の土台を担ぎつづけています。

はまなすをはじめとする過酷な環境下で生きる工夫をつづける植物たちは、進化プロセスの叡智をもって、品種改良の礎となり、大きな文化を「はじめる力」を惜しみなく提供してくれたハーブのひとつ。
知見を広げてくれたこともあわせて、感謝と愛おしさがいやますハーブのひとつです。


はじまりの記憶


トゲをもつバラの語源が「茨・荊・棘(イバラ)」というのは、よく知られることとなりました。
 バラはもともと和語ですが、バラ属の植物を「バラ」と呼び、トゲのある低木を「イバラ」と、使い分けるようになりました。

人の魂が肉体に入り、この地上世界に生まれ出て、物質世界の道理を理解し、モノやヒトを見分けられるようになるあたりから、ようやくぼんやりとした「記憶」が形成されるようになります。
それ以前はきっと、エーテル世界の比重が大きくて、気配や雰囲気を光と色と温度で感知しているのだろうと思っています。

小さいころの記憶は、大人になるにつれて、大人の事情で改ざんされやすいものだと感じます。
ミエナイオトモダチも、夜な夜な訪ねてくるあやかしも、植物や動物たちの歌声も、まさか、ありえへん、ぶっ飛びすぎだよね、と自己採点をかさねていくうちに、なかったものになってしまうのは、よくあることだろうな、と。

ワイルドローズを筆頭に、バラ属は古い記憶を受信する力をもっている、という説があります。
はまなすの自生地は海辺の砂地で、海と陸の境界線のなかでも海側に近い最前線。陸にもちこまれる初手の風を受けとっています。

さらには「みたま」が浸透しないとされる地上物質「塩」がつくのを避けるためトゲトゲで身をまもり、陸地に上陸せんとする生命エネルギーの受け皿として、砂地を陣取っているのではないかと(まいどの妄想です)。

バラが世界中で、これほどまでに愛されてきた理由は、自己の全体性をとりもどすための記憶に、そっと触れてくれるから、なのかもしれません。

「遺された黒板絵」ルドルフ・シュタイナー

なぜ人はバラが好きなのか

人がバラを好むのは、
バラが、私たちの睡眠中に、
私たちの幼児期の最初の思い出を
受けとってくれるからなのです。

☆☆☆

お読みくださりありがとうございました。
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