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72候【花鳥風月】大暑の候

暑さ極まれり、大暑の候。
二十四節気七十二候大暑たいしょこう
今年は7月22日から。


風鈴、うちわ、桃葉湯とうようとう
打ち水、花火、盆踊り
昼は日陰で三尺寝さんじゃくね
常世とこよいざな蝉時雨せみしぐれ


風・音・光・水・ゆらぎ
暑さをしのぐ夏の風物詩


風鈴の音色には1/fえふぶんのいちゆらぎが含まれています。
自然界にある小鳥のさえずり、波の音、木の葉の擦れ合う音や小川のせせらぎ。
高低、響きの大小、強弱など、一定ではないけれど連続的に奏でられる自然の音に、ゆらぎはたっぷり含まれます。
1/fゆらぎは、心臓の鼓動、ニューロンの神経伝達など人の体内にも存在しており、お互いの振動が共鳴すると、美しいと感じたり、心が和んだりするといわれています。
我妻善逸あがつまぜんいつ君が聴いている音は、そんな1/fゆらぎなのでしょうか。

桃の葉を入れた風呂に入ると暑気を払い、あせもに効果があるといわれています。現代においても湯治は日本文化に欠かせない代替療法のひとつ。
よもぎ湯、菖蒲湯、菊湯、柚子湯と、植物を活用したお風呂文化は四季を通してさまざまです。
都会暮らしでは、ちょっとそこまで葉を摘みに、なんてこともままならず…、ですが手軽に入手できるハーブで、夏風呂を楽しむことができます。

かんたんバス・ハーブは
ドライ・ハーブをガーゼやさらしに包んで浴槽に入れるだけ
写真はカレンデュラ、ミント、ローズヒップ


マンション住まいが多くなった現代のベランダで、暑さを和らげるのにとても適しているのが、打ち水です。
うちでは風呂の残り湯をつかうことも多いですが、水を好む虫たち(おもにG)が寄ってこないよう、打ち水をした後はミントの精油をふりまくことを忘れません。
大阪に越してきた当初、ベランダにラスボス級のGが出現し、すぐさまミント精油をふりまいてラスボスGを追っ払ったことがあります。
一目散に走りだす後ろ姿をみながら、フハハハと魔王笑いがこみあげて小さくガッツポーズ。ミントさえあれば、どこでも暮らしていけると確信した日でした。

陰陽説で見ると、夏至を中心に陽気盛んなこの時節は、鳥の声、蝉の声、夕立、台風、稲光と、自然界の音はかなりにぎやか。
草いきれをはじめとした匂い情報も、色とりどりの果実や花による視覚情報も、温度や湿度による触覚情報も、盛りに盛って休みなく刺激し続けてくるので、人の感覚はフルに活動せざるを得ません。

暑さと相まって意識朦朧もうろうとなった日は、宵闇のくらさにうごめく気配や、なにかしらの残像を感じやすくなりますが(とは、個人的見解)、きっと感覚器官を使いすぎて、大脳新皮質のセキュリティがゆるくなっちゃうからではないかと思っています。

なぜかホラー話が盛り上がる夏。
常世へ通じる黄泉平坂よもつひらさかの往来もにぎやかに、祭りや盆踊りに興じる八百万の神々、先人故人の仏衆たちが、この時期ばかりは無礼講とはしゃいでいるなら、さぞかし面白いことだなぁと、お天道様を仰ぎみたりしています。


太陽は獅子座に入ります


獅子座の季節は、身の内から湧き出る創造エネルギーを解放するような、遊び成分100%生活が、自然の理にかなっています。
夏祭りのために1年かけて準備し、どーんと騒いで、バーンと燃え尽きて、また来年の祭りに向かって準備する。
そんな日本の風習も、すっかりすたれてしまいましたが、縁日や花火大会、海・山・キャンプなど日常脱線イベントで遊び倒すとか、創作に打ち込むなど、現代なりの遊び方もたくさんあります。
できれば「陽極まって陰に転ず」くらい解放される1日があるのが理想的。
遊びつかれて、あるいは創作活動に没頭して、出し切って、燃え尽きて、充足感いっぱいの、倒れるように眠る、あの感じです。

獅子座の季節、エネルギーの解放に向かわず萎縮していると、人生から太陽が去ってしまったように感じて、ひどく落ち込むことがあります。
そんなときは希望や情熱を心のうちにとりもどし、自己肯定できる香りを身に纏うのがおすすめです。
植物界のBOSSといわれるフランキンセンス。
植物界のキングと呼ばれるジャスミン。
陽の光の性質を強く持つハーブで、心を高揚させ、暗闇から抜け出すのを助けてくれる香りです。

逆に燃焼しすぎて消耗が激しいときにはベンゾイン、ミルラの滋味溢れる香りや、免疫系をサポートするティトリーが助けになると思います。
また情熱の着火はしたものの、情熱炎が思うように燃え上がらない、火のまわりが悪いと感じるときは、シナモンで深部を刺激したり、ローズマリーの上昇させるエネルギーで循環を良くします。

獅子座は夏の土用から始まり、中盤に立秋を迎えます。
・桐はじめて花を結ぶ
 5-6月に花を咲かせた桐が固い実を結ぶ候
・土湿って蒸し暑し
 土がじっとり湿る候、夏の土用まっさかり
・大雨時々降る
 日中の強烈な陽射しで生じる入道雲から、局地的に夕立が降る候

陽気極まって陰に転じる、自然界のどんでん返し、優秀なハカイダー&クリエイターが賑々しく仕事してる感が伝わってきます。


土用は雑節、年4回

土用といえば夏の土用ばかりがとりあげられていますが、土用は四季折々年に4回ある雑節で、季節の変わり目のバッファのような役割を持っています。

立春、立夏、立秋、立冬前の約18日間。
もとは陰陽五行説からの発想で、万物の根源とされる「木火土金水」もっかどごんすいを四季にあてはめ、

春=木の気、青、東の風、肝気活発、酸っぱい味が体をととのえる
夏=火の気、赤、南の熱、心気活発、苦い味が体をととのえる
秋=金の気、白、西の躁、肺気活発、辛い味が体をととのえる
冬=水の気、黒、北の寒、腎気活発、しょっぱい味が体をととのえる

と分類されます。
そして「土」は

土用=土の気、黄、中央(季節の変わり目バッファ)の湿、脾気活発、甘い味が体をととのえる

と分類されます。
五行説には味覚と感情の関係性も示され、

木・春・酸味=肝を助けるが、取りすぎは筋肉を弱らせ、怒りっぽくなる
火・夏・苦味=心を助けるが、取りすぎは肌を乾燥させ、興奮しやすくなる
土・土用・甘味=脾を助けるが、取りすぎは骨を弱らせ、心配性になる
金・秋・辛味=肺を助けるが、取りすぎはすじを弱らせ、自己憐憫に陥りやすくなる
水・冬・しょっぱい味=腎を助けるが、取りすぎは血液循環を悪くし、恐怖症になる

といわれています。


食べる=地上成分強化=グラウンディング


小さい頃は食の細い子供でした。
子供時代特有のミエナイオトモダチが常に周囲にいて、ソレは映画や小説にあるようなコミュニケーション可能な存在ではなく、得体のしれない、形のはっきりしないモノたちでした。
今風にいうなら、メンヘラ・コミュ障的な存在です。
自分がそのような子供だった故に、そのように感じていただけかもしれません。
ともかくソレを「見てしまう」恐怖でいつもびくびくして、暗闇で「見てしまう」確率が高かったので、毎夜寝るときには頭からすっぽりと布団をかぶり、「なんもいない、だれもいない」と念仏のように唱えていました。

小学校に入って間もないころ、夕飯(ジンギスカンだったと思います)を、人生ではじめて「食べ過ぎた」と感じるほど食べました。
すると不思議なことに、その夜はミエナイオトモダチの気配が感じられず、布団のなかで縮こまって丸まることなく、あおむけで、手足を伸ばして眠ることができました。
そのことがあってから、ご飯をしっかり食べればソレはいなくなるんだ、と思うようになり、食は普通になり、小学校では友達がたくさんできて、遠足や運動会を楽しみ、一般的な習い事にもせっせと通う、ごくふつうの子供になりました。
いつしかミエナイオトモダチの気配はすっかりとなくなり、暗闇を畏れることを忘れた大人に成長しました。


オーストラリア原産ティトリー


陰陽の極にふりきるハーブたち


Tea Treeを直訳するとお茶の木ですが、ハーブティにティトリーが見られないように、お茶の木として愛飲されてきた歴史はありません。

農場育ちのスコットランド人で、一介の水兵からイギリス海軍の航海長まで登り詰めた探検家、通称キャプテン・クックがオーストラリア大陸に上陸したとき、お茶代わりに飲んでいたのでティトリ―と呼ばれるようになったというのが有力な説です。

先住民のアボリジニがティトリーを「ti」と呼んでいたので「ti tree」⇒ティトリーと名がついたという説もあります。とはいっても、先住民アボリジニの人々に、植物をラベリングして学名をつける発想はなかったと思いますので、ティトリーの木だけを指して「ti」と呼んでいたとは限りません。今でいうフトモモ科メラレウカ属を総称して、「ti」と呼んでいた、とする方が自然な感じがします。

オーストラリア原産のフトモモ科では他にユーカリの木が有名です。
ティトリーと同じ1.8-シネオールという成分を多く含んでおり、シネオールは別名ユーカリプトールとも呼ばれます。
アロマ業界では去痰、抗菌、抗ウイルス、抗炎症、免疫調整作用があるとして、風の予防や体調管理レシピに欠かせない精油です。

アボリジニはティトリーの葉を傷薬として用いてきた長い歴史をもっています。
感染症の初期症状や予防に良いとされ研究が進み、1949年、ティトリーは「英国薬局方(医薬品に関する品質規格書)」に掲載されるようになりました。
刺激作用が少なく薬効が高かったことで、第二次世界大戦中、オーストラリア兵の救急箱の常備薬になり、今では抗感染力、抗真菌力、免疫賦活作用ほか、さまざまな皮膚症状にも研究がすすめられています。
フトモモ科メラレウカ属は、オーストラリア原産の、この気候風土でしか育たない植生によって、独特の精油成分をもっています。

メラレウカの語源は古代ギリシャ語のメラス(黒)、レウコス(白)からきています。
オーストラリアはブッシュ・ファイヤーといって野草種の森が自然発火する時期があります。
黒灰をかき分けて芽吹きだす、新芽の鮮やかさ、ペーパーバークと呼ばれる幹の白い木々が、こげ茶黒い背景にところどころ輝いて、ひときわ目を引きます。
ブッシュ・ファイヤーの跡地は、数か所、散策したことがあるのですが、焼け跡がくすぶる大地の色合いに、白と黒のコントラストが確かに印象的でした。
出火するまでは、かたい殻で次世代の種を包みこみ、乾燥や日差し、動物や虫から身を守り、炎によって自らを焼き切って、種を大地に落とす。
気候風土に合わせた工夫だろうと、現地の方は仰っていましたが、陰陽の極にふりきって、行けるとこまで行き切る、そして工夫するという姿勢は、「人が行ける果てまで行ってみたい」ということばを遺したクック船長に、どこか似ているなぁと感じました。



目線を解き放つ


オーストラリアでは、低木が生い茂る野草の林をブッシュと呼びます。
西海岸のパースからモンキーマイアまで約850㎞の道のりを、1度はバスで、2度目はレンタカーで走りました。
道中目にするのはほぼほぼブッシュです。
同じような風景が延々と流れていき、動いているのか止まっているのか、わからなくなることがあります。
焦点の合わない視線で風景を眺めていると、ときおりぴょこんと、誰かが立っているような錯覚に襲われます。
ちょうど人の背丈くらいで、人の頭ほどの枝葉をもつ木を、ブッシュボーイと呼ぶんだと教えてもらいました。

ぼんやり見ているとブッシュボーイは次々に現れるのですが、他の木と、なにが違うんだろう、なぜその木だけ人の気配がするんだろう、よぉし、違いを確かめてやろう!と選別脳を働かせ、目に力を込めて凝視すると、ブッシュボーイの気配は全く感じられなくなります。

そしてまたブッシュボーイのことなんて忘れて、単調な景色に没入し、ぼんやりしていると、不意に「あれ、いま人が立っていなかった?」と、ありえない光景を垣間見てしまうのです。



受容できない概念は、見ることができない


何かを見定めようとか、ありえないものには理由があるはずで、それが何なのか突き止めてやろうという目線に、ブッシュボーイは答えてくれません。
今自分が見ているものがすべてではなく、自分が認知できるのは、実のところこの世界の、ほんの一握り、、いえ、もしかしたら小指の先ほどなのかもしれない。
そんな考えを裏付けるのは、江戸時代後期、ペリーの黒船が日本にやってきたとき、多くの人には黒船が見えなかったという有名な逸話です。
船とはこういうもの、という自分視点を拡大できなかった人々は、その大きさや、鉄が浮かんでいること、蒸気で動いていることなど、想像もできなかったのだと思います。

眼球に映し出される映像は脳によって処理されますから、見る=脳が認識する、ということと、「在る」「存在する」ということは、別のことなんだろうと思います。


白と黒、光と影はふたつでひとつ


ティトリーは今や英国薬局方に掲載されるほどの精油界のエリート。
日の当たる表街道をまっしぐら。
研究開発によって、成分解析もどんどん進んでいます。
一つの精油に含まれる成分は数十~数百といわれ、今後も人類は植物のエリキシルを、どんどん分類・定義してラベリングし、学名もコロコロ変えながら、活用していくのだろうと思います。

その一方で、分類・定義とは真逆のベクトルを働かせて、学術視点のこだわりから自由になろうとする、新しい潮流も、確実に動きはじめています。
日の当たる表街道も、日陰の裏街道も、長い長い時間のなかで、陰陽極まっては転ずる現象にすぎず、ソレは表裏一体、元はひとつ。
どちらか一方だけでは、全体を見ることはできません。

ティトリーの芳香は、いつでもブッシュボーイのいる森にいざなってくれます。そして「畏怖の念や、畏敬の念を、忘れてはいけないよ、光と影はふたつでひとつだから」と、ささやきかけてくれるのです。


*Shield72°製品に使用されているオーガニック・ティトリー精油は、
正式にはティーツリー葉油と呼ばれ、賦香目的で配合しています。


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