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自分が必要な存在に、自分がなる(#社会人1年目の私へ )_34日目

この世にあって欲しい物を作るよ 小さくて慎ましくて無くなる瞬間

この世にあって欲しい物を作るよ 大きくて勇ましくて動かない永遠

👂今日のBGM

「紙とペンさえあれば生きていける人間になりたい」

大学生当時、雑誌や本でおいしいカレー屋さんを見つけては、よく食べに行っていました。

その過程で訪れた、今でも時々通っている三軒茶屋のカレー屋さん、「とんがらし」

豚バラなんこつとろとろカレーが名物のお店です。

ノーナ・リーヴスの西寺さんもご贔屓にされているようです。

ちなみに、こちらのお店は、石川さんという方がお一人で営まれています

(お誕生日は12月20日とのこと。よかったらどなたか一緒にお祝いにいきましょう)

「紙とペンさえあれば生きていける人間になりたい」

たぶんちょうど10年くらい前。

なんの拍子でか、ぼくはそう思うようになりました。

おそらく当時から、作詞家や文筆家が好きで、就活に向けて自己分析をした結果、そういう結論に至ったのだと思います。

ただ、就活当時は真逆そんな、紙とペンさえあれば飯が食えるような人間になれるとも思っていなくて、「食」が好きだったこともあり、外資系の食品スーパーに就職しました。

その「紙とペンで生きる」という曖昧模糊とした夢を、親に相談するのも微妙だな、とか、友だちに言ったらバカにされるかな、とか思って、どうしようもなくて相談させてもらったのが、このとんがらしの石川さんでした。

ある晩、カレーを食べた後、すこしお話しました。

(脱線しますが、ぼくは石川さんとお話するときが、もっとも神様の存在に思いを馳せる瞬間です。いつもお店の前を通る時には混んでいるのに、ぼくが伺ってお話したいと思うときは、お客さんはぼく一人きりになることが多くて。ありがとう、神様。)

「ぼくは漠然と、紙とペンで生きていけるようになりたいという夢のような思いを抱いています。でも就職先も全然関係ない業界だし、いま具体的に努力をしているわけではないんです。それでも、いつかそうなれると思っていてよいものでしょうか?」

「その思いを忘れなければ、きっとそうなることができますよ」

それ以来、節目には必ずとんがらしを訪れることにしています。

就職して数年の歳月が経ち、転職を考えている、という話をしたこともありました。そのときも石川さんは、

「転職を重ねて天職に辿り着けばいいんです。天職に就くまで何度でも転職すればいいじゃない」

実際のところ、そんなに多くの回数・長い時間会話したことはありません。数えるくらいだと思います。

その数えるくらいの機会すべて、ぼくにとって大事な場面で、石川さんのつくる豚バラカレーと石川さんのお言葉に、ぼくはたくさんの元気をいただきました。

なぜ文章を書くのか

このGWを振り返ると、ぼくが考えていたテーマは、

なぜ文章を書くのか

に尽きます。

半分は、ずっと書き続けているnoteにもっと意味をもたせたいと思って意識的に、半分は無意識的に考えていました。

※昨日書いたnote

また、直接的に考えるきっかけになったわけではありませんが、今を時めく編集者箕輪厚介さんがこのようなツイートをされていました。

言葉オワコン化

確かに、言葉を読んで意味を考え込まなくても、動画や漫画や音楽など、より「受け身」な、受動的な状態で情報を摂取できるのであれば、どう考えてもそれが主流になっていくと思います。

正直、言葉、特に日本語は相対的に利用価値の下がっていくコミュニケーションツールであることは間違いなく、「言葉の存在意義が問われている」流れは確実にあると思っています。

その大きな流れと呼応してかしないでか、「なぜぼくは文章を書くのか」をずっと考えていて、今日、その答えが出ました。

ぼくが読みたいものが世の中にないから

満員電車が最高に嫌いなのに好き

満員電車はお好きですか?

ぼくはとても嫌いです。足は踏まれる、掴まる吊り革がない、隣の人との距離が近い、ダイヤは乱れる…いいことはまったくありません。

ただ、その一方で、ぼくはこの満員電車がとても好きです。

なぜなら「東京で生きてる」感じを一番味わう瞬間だからです。

人が多いところも好きです。渋谷大好き。それも同じ理由です。

わかってます、頑張って出勤すること自体に意味はないの。

社会的な「生産性」を考えたら褒められたもんじゃないことも。

でも「東京で生きている」って感じがするんです。あのギューってされる感じが、ストレスとか不安とか孤独を象徴しているようで。

ある友はそんな喧騒を嫌だと言い、ある友はそもそもなんとも思わないと言う。

そんな東京で12年とちょっと、ぼくは都会暮らしの憧れに魅入られたまま暮らしています。

いつかは東京に慣れっこになると思っていたのですが、全然慣れていません。

今日も渋谷は人がいっぱいだ!!!!とか、高いビルばっかりで空が狭いぞ!!!!とか、ここテレビで見たお店だ!!!!とか、三軒茶屋で六角精児さんをみたぞ!!!!

などなど。毎日が発見の連続です。

ところで、「ぼくが読みたいものが世の中にないから」について。

ぼくが読んでいる都会についての文章は大概、

まだ東京で消耗してるの?

系か、東カレみたいな、

ちゃんねーとザギンでシースー

系です。

※ちなみに、まったくイケダハヤトさんをディスる意図はなく、例としてわかりやすいので、ブログタイトルを引用させてもらった次第です。

要するに、「令和時代に社会の歯車として都会で真っ当に頑張って日々を過ごしてる」系の文章がありませんでした。

見つける努力をしてないかも?まだ近いなって思うのはヒップホップとかでしょうかね。

これはぼくだけかもしれないけど、ぼくはそんな文章がほしかった。

書き手が誰か、も確かに大事かもしれない。

だけど、だれでもいいから、「この人も毎日頑張ってんだな、自分も頑張ろう」って思えるような、生活をちょっと垣間見せてくれるような人がいたらと思っていた。

「社会人1年目の私」はそういう人がほしかった。

ぼくはこれから、 そんな自分のためにも、 「令和時代に社会の歯車として都会で真っ当に頑張って日々を過ごしてる」記録を書き残していきたいと思います。

そして、その文章を書くことを、言葉の存在意義を問う、動画や漫画では置き換わらない価値を探す作業にしていきます。

「明日はもっとマイタケを入れるんだ」

このGWは、そういうわけで自分にとって、とてもとても大事な時間になりました。

最後の気づきも手伝って、石川さんに会いたくなりました。

こちらが石川さんです。先ほど会いに行きました。

今日知ったのですが、石川さんは22年間、こちらのお店を営まれているそうです。

以前は割烹などをやられていたそう。

くわしい経緯は聞きませんでしたが、ひょんなきっかけでカレー屋をはじめることになったとのことでした。

カレー屋を始めるようになってから今までずっとスパイスの研究をしているとのこと。スパイスの世界は深遠で、単に良いものを足せばいいわけじゃないんだよ、と教えてくれました。会社組織みたい。

また、カレーの味や種類も研究しており、最近、ほうれん草チキンカレーを始めたとのこと。

明日はもっとマイタケを入れるんだ、とおっしゃっていました。

石川さんに、ちょっとだけ、最近の報告をしました。

「いいじゃない、これからが楽しみね。私も過去のことは振り返らないようにしてるの。いつも前を向いてたいものよね」

目標ができた

GW最後に、ちょっとした、目標ができました。

「『何者』かになったら、とんがらしの壁にサインを書かせてもらう」こと。

この、西寺さんの下あたりに。

明日からまた東京で頑張るぞ。

愛玉子(オーギョーチー)もおいちろう。

これ、オーギョーチー。カレーが終わったら出してくれます。

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