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始まった瞬間「こりゃあ駄目だ…」感が漂ってくる珍作「キラー•プッシー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(494日目)

「キラー•プッシー」(2003)
ウォルフガング•ヴュルト監督

◆あらすじ
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行為に及んだ男性を吸い込んでしまう凶暴な性器を持つヘレン。彼女は自身の特異体質に悩み苦しみ、恋愛に対しても奥手だったものの、腹を空かせた性器の要求に答えなければならなかった。ロンドンの片隅で娼婦となったヘレンは客と性行為に及び、最後は吸い込むという荒れた生活を送る。しかし知人のデニスが自分を追ってロンドンにやって来たことで自体は一変!婚約者ジョンとのハネムーン、ストリッパーと共謀して強盗になり下がるデニスとの再会、姉の敵討ちのためにデニスを追う結合双生児のシルビア等などあらゆる苦難がヘレンに襲いかかる。彼女は自身のトラウマと向き合い、凶暴な性器から解放されることができるのだろうか。
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私はこれまでに「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」や「キラー•ジーンズ」、「アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ」、「キラーコンドーム」等など様々なキラー〇〇系映画に出会ってきました。
そしてそのどれもが創意工夫を感じる唯一無二の名作、もしくは迷作でした。

共通して言えるのはどの作品も

“作り手側が楽しんで作っているのが伝わってくる”

“ストーリー自体はあまり面白くなくても記憶に残る強烈なインパクトがある”

というところです。

今作も例に違わずタイトルのインパクトは凄まじいです。池袋のTSUTAYAで今作を見つけた時、「キラー〇〇もついにここまで来たか」と感動すら覚えました。

これだけぶっ飛んだタイトルなんだから

『どんのバカなことをしてくれるんだろう』
『どれだけチープなクリーチャーやグロ描写を見せてくれるんだろう』

と良い意味での低予算感やくだらなさを期待していました。そのため私の中で少々ハードルが上がっていたのかもしれません。

いざ蓋を開けてみると完全に名前負けしている内容で、ジャケ写のような女性器のクリーチャーも登場しなければ、血飛沫やグロ描写も数える程度、チープな映像、強引な終わらせ方等など

個人的には思っていた内容とはまったく違い、面食らってしまいました。

このジャケ写のバカ具合も嫌いじゃないです。

コメディ路線でもシリアス路線でもどこかしらに振り切ってもらえると視聴者側もどう見れば良いのかが定まりやすいんですけども、今作は少々中途半端というか、どっちつかずな印象でした。

そもそも『行為に及んだ相手を吸い込んでしまう女性器』という設定はどう考えてもコメディです。

ここに関しても“相手の珍棒を食いちぎる”、“無惨なバラバラ死体になる”などのグロやスプラッター描写を期待していたため、吸い込まれていなくなるという展開はどうしても“逃げ”に感じました。
もちろん低予算なので仕方がないとは言え、もう少しやりようはあったように思います。

ヒロインのヘレンは非常に可愛らしかったです。
裸もたくさん拝めます。

ストーリー中盤でデニスは結合双生児の姉•シルビアと惹かれ合い、もちろんそういった行為に及びますが、シルビアと妹のソニアは結合しているため行為中もソニアは横にいます。さらには「アソコにちっちゃなエサぶら下げてるけど、釣り好きなの?」や「男は足の間に重りがあるから駐車が上手なのね」など小粋なブラックジョークで茶々を入れて雰囲気をぶち壊します。

デニスが童貞だったこともあり、途中で間違えてソニアに挿入して果ててしまったことでシルビアと大喧嘩。暴言の限りを尽くされたデニスは激昂、電動のパン切り包丁で二人を切り離そうとします。驚いたシルビアが振り払った包丁がソニアの首を掻っ切ってしまい即死、デニスは殺人犯として指名手配される。
という流れも非常に面白かったです。

女性器を舐めた変態紳士が舌を噛まれてしまい、1メートル近く舌が伸びて綱引きのようになるシーンも良かったです。

こういったコメディの部分はとても面白いんですが、ストーリーを成立させるためにシリアスというか真面目な感じでところどころ展開していくため、ヘレンが自身のトラウマと向き合い成長していく様子やストーカーのようにつきまとっていたデニスと結ばれるラストシーンなどが浮いているように感じました。

もしシリアス路線に振るなら性行為に対するヘレンの不安や葛藤、トラウマと向き合うシーンなどをもっと見せて欲しかったです。

ぽっと出のジョンと結婚してキャンピングカーで新婚旅行に行くというのも少々強引でした。

デニスがシルビア&ソニアと出会ったり、行きずりのストリッパーと共謀して犯罪に走ったりする展開もソニアの話だけだと尺が埋まらないから足しているのが伝わってきてしまいました。

部分的には面白いシーンやくだらないシーンもあって楽しめますが100分間フルで見るとシーンの継ぎ接ぎ感もあり少々しんどかったです。変にしっかりまとめようとせずに投げっぱなしのおバカな終わり方でも良かったように思います。

余談ですが「寄性蟲 キラープッシー」(2004)という邦画もあるようです。見つけ次第視聴したいと思います。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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