#後付け推薦状 と いわゆる #オワハラ

いわゆる #オワハラ なる言葉が謳われ始めて久しいですが,これは #求職者  優位だから発生する現象です。30年前又は15年前の所謂 #就職氷河期 においてはまず起こらない現象です。 

なお, #オワハラ の定義は,下記のとおりです。

「就活終われハラスメント」の略で,企業が就職活動中の学生に対し「内定を出すから他の企業は断ってくれ」と要求することです。就活生に選ばれる企業という立場を使い,就職活動生に義務のないことを要求する行為は,ハラスメントの一種と考えられます。

ベンナビ労働問題 オワハラとは?オワハラの実態と対処法|ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ) (roudou-pro.com)

さて,これは最近知ったことですが, #内定 を受けた #就活生 に対し,その方が在籍している大学の教授から #後付け推薦状 の交付を受けて,これを内定先の会社等に提出するよう求める #求人者 がいるようです。

この #後付け推薦状 について,私の見解を申し上げます。少し堅苦しくてつまらない話かもしれませんが,しばしおつきあいくださるとありがたいです。

1. #後付け推薦状 は,法的には全く無意味

#後付け推薦状 は,内定を受けた #就活生 #シューカツ生 に対して, #内定企業 が後日その方が所属する大学の教授の推薦状の提出を求めること又は求めに応じて提出された推薦状のことです。しかし,この #後付け推薦状 は,「法的には全く無意味」です。
 #民法 第522条第1項において,

契約は,契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

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と定められ, #労働契約法 第6条において,

労働契約は,労働者が使用者に使用されて労働し,使用者がこれに対して賃金を支払うことについて,労働者及び使用者が合意することによって成立する。

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と定められています。つまり, #労働契約 の成立・締結に際して第三者の許可等は原則として不要とされるのです。なお, #未成年者#労働契約 を締結しようとする場合, #民法 第5条 ないし #民法 第823条第1項 の規定に基づく「法定代理人の許可」が必要とされます。しかし,#シューカツ生 #就活生 の殆どは制限行為能力者でない成人であるため,これらも問題が取り沙汰されることはありません。

また,#求人者 である #日本的組織 も,何か当然の権利であるかのように #後付け推薦状 の提出を求めているようですが,そもそもそのようなものを求める法的根拠はありません。したがって, #内定 を受けた #シューカツ生 #就活生#後付け推薦状 を提出しなかったこと又は #後付け推薦状 を拒否したことを根拠に #内定取り消し をすることは許されません。
なお, #シューカツ生 #就活生#内定 先企業 から #後付け推薦状 の提出を求められたとしても,これに応ずべき義務はありません。仮に, #後付け推薦状 を提出してしまった場合でもなお, #内定辞退 は可能です(ただし, #民法 第627条第1項の規定により,解約の申し入れから2週間経過した時点で解約の効力が生ずるため,遅くとも入職予定日前日の2週間前までに意思表示することが必要です。この場合でも, #内定先企業 に損害が生じた場合において,生じた損害に対する賠償が必要とされることがあります。)。

2. そこまでして #新卒一括採用 の慣行にしがみつくのはどうして?

少し,話題を変えます。#後付け推薦状 の提出を #シューカツ生 #就活生 に対して求めてまで #新卒一括採用 の慣行に, #日本的組織 がしがみつくことに,どのような利益があるのでしょうか。

これは全くの私見ですが,結局 #シューカツ生 #就活生 ,ひいては日本の #大学生#日本的組織 にとって御しやすいからだと思います。言い換えますと,日本の #大学生 はオトナたちに弄ばれているということです。
自分のことを思い返しますと,確かにいろいろな法制度のことを見聞した記憶は全くありませんでした。今でこそ私は自分で法律等を勉強していろいろと知ることができましたが,#大学生 だった私は当時何も知りませんでした。
また, #若年者 の数が減り続ける最中において, #新卒一括採用 の慣行にしがみつくということは,わざわざリスクを負って狭くなりつつある間口に向かうということです。そのことのよって得られるベネフィットが,リスクをなお上回ることが明らかであれば,その行動を理解できるのですが,実際にはそうとは限りません。

3. #新卒一括採用 の慣行は不要

ただし,他方で,以前申し上げた #オヤカク #オヤオリ#後付け推薦状 を含むいわゆる #オワハラ の問題は,実は #新卒一括採用 の慣行の行き詰まり又は不要を,間接的に証明しています。つまり, #オワハラ をしなければその慣行を維持できないことを, #オワハラ企業 自身が言外に主張しているに等しいのです。
全くの私見ですが,そもそも #新卒一括採用 の慣行をもうやめるべきなのです。なぜならば,若い世代の人々が減りつつあり, #新卒一括採用 の慣行を維持することが不可能だからです。#新卒一括採用 の慣行の維持のために #オワハラ が為されているのであれば,「本末転倒」と言わざるを得ません。#オワハラ は, #新卒一括採用 の慣行を前提とするものです。そうであるならば, #新卒一括採用 の慣行をスパッとやめてしまえば, #オワハラ もなくなるはずです。

4. #新卒一括採用 は実は高リスク

さて, #新卒一括採用 の慣行にしがみつく #日本的組織 #日本人 のほとんどは,「 #新卒一括採用 はリスクが低い」と思っているに違いありません。しかし,その認識が誤りであることを,私は申し上げます。
まず, #採用内定 とは何かを,再確認する機会を賜ればさいわいです。 #採用内定 とは, 

就労の始期を大学卒業直後とする解約権留保付労働契約

裁判所Webサイト 裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

のことです(昭和54年7月20日最高裁判所第二小法廷民集33巻5号582頁)。つまり,大学卒業直後を #労働契約 の開始時期と定め,かつ,契約を解除する権利が付された #労働契約 ということです。これをもう少し詳しく見ますと, #始期 とは, #民法 第135条第1項において,

法律行為に始期を付したときは,その法律行為の履行は,期限が到来するまで,これを請求することができない。

e-Gov法令検索 民法 | e-Gov法令検索

と定められています。 この規定にしたがって考えますと,#採用内定 はその時から #大学卒業 までの間 #労働契約 としての効力を有しません。したがって,#シューカツ生 #就活生#内定先企業 に対して大学卒業前に「働かせてほしい」「賃金を支払え」と言えません。また,#内定先企業 も #シューカツ生 #就活生 に対して「卒業前に当社で働け」と言えません。
その意味に照らし, #採用内定 後, #シューカツ生 #就活生 が引き続き #シューカツ #就職活動 #就活 をするのは全くの自由です。つまり, #内定先企業 が 内定後において, #内定辞退 を受ける可能性は常に存在するのです。その意味に照らし, #新卒一括採用 は「高リスク」と言えます。

5. #オワハラ企業 がもたらすリスク(1)

#新卒一括採用 が高リスクであるであるのと同時に, #オワハラ企業 もまた高リスクです。
#求人者#シューカツ生 #就活生 に対して #オヤカク #オヤオリ #後付け推薦状 等の #オワハラ を為すということは,間接的に自ら否決原因をつくり,「選ばれない者(忌避される求人者)」としてふるまっていることと同じなのです。つまり,#内定辞退 を回避するためのリスクヘッジをしているようで,実は自らがリスク要因に成り下がっているのです。言い換えますと,「自らすすんで敵をつくっている」とも言えます。
#オワハラ に及ぶということは,結局のところ「 #労働法 を含む法律の無知」を自ら証明しているに等しいのです。もう少しありていに申し上げれば, #オワハラ企業 は無能ということです。

6. #オワハラ企業 がもたらすリスク(2)

また, #オワハラ に及ぶ者の存在は,その者が身を置く業界ないし地域に対して,計り知れないマイナスを与えます。個別具体的な業界のA社が #オワハラ に及ぶことで,同業のB社に対しても #オワハラ の疑いの目が向けられる可能性があります。それが同じ地域であった場合,被害はさらに深刻化します。これはまさに, #悪貨が良貨を駆逐する の諺どおりの結果です。

7. まとめ

少し長くなりましたが,今までご清読ありがとうございました。
このあたりで,少しまとめることができればさいわいです。

全くの私見ですが,そもそも #内定辞退 を怖がるのであれば, #新卒一括採用 を直ちにやめるべきです。 #新卒一括採用 の慣行に乗る以上, #内定辞退 を避けることは不可能と心得る必要があります。また, #内定辞退 を嫌うがために,その責任を #就活生 #シューカツ生 に押し付けることは,明らかに不合理です。 #シューカツ生 #就活生 には各人の人生設計・選択があるのですから,これを身勝手に制限する行為は現に謹まれなければなりません。

#オワハラ に及ぶ前に,自ら気づき,自ら変わる道もあります。そして,それは合理的であり,美しい。 #新卒一括採用 にしがみつくことをやめ, #人生100年時代 に合った行動をとることもできます。自分で「リスクが低い」と思っていても,実はリスクが高いこともあります。逆に「高リスク」と思われることが実は低リスクということも,多いのです。結局,「何も知らない」「何かを知ろうとしない」又は「知る努力をしない」からわからないだけで,何も知らないままにひとつの道だけをひた走ることが実はリスクなのだろうと思います。

#新卒一括採用 の慣行に乗る決断をしている(乗っている)のは,ほかならぬ #求人者 自身です。そして,その過程において生じた結果責任をとるのも, #求人者 自身です。仮に,引き続き #新卒一括採用 の慣行に乗り続けるのであれば,そのことを理解・実践する義務と責任があります。

#就活生 #シューカツ生 のみなさんも, #オワハラ の憂き目に遭う前に,いろいろと観察しているとわかることも多いです。詳細を申し上げることを控えますが,「 #オワハラ するかもしれない」という意識を常に持ち合わせておくことも必要かもしれません。

長きにわたり,ご清読ありがとうございます。

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