見出し画像

女性と母親の両立 ー 子育て世帯の多様な生き方 ー #Unstereotype Project

こんにちは。SHE株式会社のますのです。

先日お届けした YOUTRUSTさんや、ONE CAREERさんとの対談に続いて、新たな記事をお届けできればと思います。

「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」をビジョンに掲げ、ミレニアル世代の女性達が自分らしく生きるためのサポート行っているSHEの新プロジェクト。

この取り組みでは「自分らしく生きる」ためのヒントを別の角度からもご提供すべく、今回は「母親のキャリア」についての特別対談記事をお届けします。

以下、ライターの仲奈々さんに議論の様子を執筆いただきましたので、是非ご一読ください。

母親の課題は、家族の課題

突然ですが、みなさんは現代の日本における働く母親の割合をご存知でしょうか。

厚生労働省が2019年に発表した「国民生活基礎調査」によると、18歳未満の子どもを育てる母親で仕事をしている人の割合は72.4%。同調査における2004年度の割合が56.7%だったことを考えると、働く母親は確実に増えてきていることが分かります。

一方で、働く母親のうち正規雇用の割合は26.2%と少なく、多くの女性が妊娠出産を機に正社員での就業を諦めている様子が伺えます。

そんな時代において、母親がキャリアを築いてくためには何が必要なのでしょうか。

Unstereotype Project第2弾の今回は、母親のキャリアについて考えていきます。今回は、妊活・プレママ・ママ向けQ&Aアプリ「ママリ」を運営するコネヒト株式会社の宮崎拓海さんをゲストに迎え、SHE株式会社代表取締役CEO/CCO福田恵里と、SHElikes受講生のいっぽさんとともにディスカッションしていただきました。


母親のキャリアの選択肢は、情報と認知次第で広げられる

ーー本日は「母親のキャリア」をテーマにお話いただきます。福田さんは子育てをしながら経営者として活動を続けていますよね。「働く母親」の当事者として、どのような課題を感じていますか?

福田:私は昨年出産して、そのタイミングで4ヶ月ほどお休みをいただきました。世間一般の産休・育休期間よりは短い休暇だったと思うのですが、それでも職場復帰した直後は「浦島太郎」のような気持ちでしたね。

休んでいたのはほんの数ヶ月なんですけど、その間に社会も会社も変化していて。復帰してしばらくは、みんなの言っていることがわからなくて焦りました。休暇中も自分なりにキャッチアップはしていたつもりなのですが、その間も最前線で働き続けていた人には情報量で負けてしまう。

たった数ヶ月の育休期間だった私でさえ疎外感を覚えたので、1、2年育休をとった人はもっと焦るのだろうと思います。復帰したときに体も心もついていけなくて、雇用形態を変えたり退職を選んだりする気持ちはとても理解できますよね……。

ーー働き方をコントロールしやすい経営者でもそのように感じるのですね。

福田:そうですね。そう考えると、会社に雇用されている場合はその会社のルールで働き方も決まってくるため、もっと大変なように感じます。人それぞれ背景もキャパシティも全然違うのに、統一されたルールで勤務時間や復帰時期を決められると、両立が難しい人が出てくるのは当たり前ですよね。

ーーママ向けサービスを展開する立場から、宮崎さんはこの課題をどのように感じていますか?

宮崎さん:福田さんのお話に重ねるのですが、人って、どうしても自分の知っている情報を正として、その中で選択をしてしまいがちですよね。それは母親のキャリアでも同じで、自分の置かれた環境のルールや情報がすべてだと思い込んでしまうんです。

実際に、子育て中の働き方については「ママリ」内でもよく話題にあがっています。「家から10分以内の職場じゃないと難しい」「子どもが幼稚園に行っている間の3時間だけしか働けない」などと、とにかく選択肢が少ないと感じている親御さんが多い印象ですね。

ただ、家事・育児と仕事の両立が大変なことには代わりはないのですが、例えばベビーシッターを活用するとか、在宅勤務できる仕事を選ぶとか、家事代行サービスを頼むとか、働き方の選択肢を拡張できる手段は増えてきています。でも、それらを知らない、もしくは知っていても「うちには関係ない」と思い込んでいる人が多くて。そうなると結局、目の前の少ない選択肢の中から選ばざるを得ないんですよね。

このように、人によって情報や認知の格差が大きいのも課題のひとつだと感じています。

ーー確かに、選択肢を増やす手段は知っていても「周りに利用している人はいないし……」と一歩踏み出せない人は多そうですよね。福田さんは子育てと仕事を両立されていますが、そういう手段は活用されているのでしょうか?

福田:私はアウトソースできるものは何でも外注していますね。離乳食は市販のものを活用しているし、毎日のようにベビーシッターを活用していた時期もあります。

ーー身近に1人でも外注を積極的に活用している人がいると、一気に利用するハードルが下がりますよね。

福田:そうなんです。私が積極的に利用することで、私の周りの人たちが「あ、こういう子育てと仕事の両立の仕方もあるんだ」と思えるようになって、さらにその周りの人にも広まっていく……。そういう循環ができて、「アウトソースも選択肢のひとつ」と思える人が増えるといいですよね。

母親もひとりの人間。誰のものでもない、自分の幸せを考えて欲しい

ーー家事や育児の一部を外注することで、選択肢は広がる。頭ではそう分かっていても、「出産したら、子どもを優先させるのが“いい母親”なのでは」と、自分のキャリアや生活は後回しにする女性も多いですよね。

いっぽさん:周りのママたちからは、「母になってから謝ることが増えた」とよく聞きます。子どもが熱を出して会社をお休みするとき、子どもが電車の中で泣いてしまったとき、子育てに追われて家事が思うようにできなかったとき……。

自分は何も悪いことをしていないはずのに、なんだか毎日誰かに謝ってばかりいる、と。そうしているうちに、「こんなに周りに迷惑をかけているのに、自分のことなんて考えていちゃいけない」という思考に陥ってしまう人は多いのかなと思います。

福田:いまだに、母親に自己犠牲を求める風潮もありますよね。自分のことよりも家族のことを優先すべきだ、と無意識に思っている人が多いのかもしれません。

どんな人であっても、母親である前にひとりの人間なので、自分の意思を大切にしていいし、自分のありたい姿を描いて追い求めていい。そう思いますね。

ーー「自己犠牲が美徳」という固定概念は、いまだに根強く残っていますよね。この固定概念に囚われていることに気付きながら、抜け出せずに苦しんでいる人も多いように感じます。どうしたら抜け出すことができるのでしょうか……?

宮崎さん「自分がどうありたいか」を言語化することが大事だと思います。そうすると、理想を実現するためには何が必要で、何を捨てなければいけないかが見えやすくなる。

ただ、言語化するには時間にも気持ちにも余白が必要です。一度子育てが始まってしまうと、時間にも気持ちにも余裕が持てなくなってしまうことが多いので……。

福田ライフステージが大きく変わる前に、理想の人生やキャリアを棚卸しする機会が持てるといいですよね。世間ではM字カーブだとかマミートラックだとか、問題が顕在化したフェーズを扱いがち。でも、問題はもっと前……妊娠・出産する前の段階にあるんですよね。余裕がなく疲弊しているところに「あなたの理想の人生とは」と問われても、冷静に考えられないじゃないですか。

宮崎さん:ただ、ここにも情報や認知の格差はありますよね。自分の理想の人生を棚卸しするって、決して簡単なことではない。棚卸しできている人の方がマイノリティだと思うんです。

いっぽさん:宮崎さんのおっしゃるとおり、普段会社と家の往復をしているだけだと、「自分の人生について考える」機会は少ないですよね。そもそも、そんな考え方があることを知らない人も多いのではないでしょうか。私自身がつい最近までそうだったので……。

私はSHElikesで「コーチング」に触れて初めて、自分のありたい姿から逆算して取捨選択をする考え方があることを知ったんです。

福田自分の人生やキャリアの棚卸しが当たり前となる社会にしていきたいですよね。それが社会に浸透したときに、本当の意味で固定概念から抜け出せるのかも。

宮崎さん:僕たち大人が踏ん張ることで、今の子どもたちが大人になる頃には新しい価値観が浸透しているはず。SHElikesやママリといったサービスを通じて、少しずつでも固定概念からの解放の手助けをしていけるといいですよね。

母親のキャリアは、家族で考える

ーー母親のキャリアに向き合うには、母親だけでなく社会全体で考える必要がありそうですね。

宮崎さん:今は「母親のキャリア」が議題にあがりやすいですが、これは母親の果たすべき役割が増えて、家族内での役割分担がアンバランスになっていることが原因であると考えています。

昭和の時代は、母親は専業主婦が主流でした。でも、働き方や生き方が多様化した結果、これまで家事と育児を担ってきた女性がそれにプラスして仕事もするように。女性に課される役割がどんどん増えていって、今は女性がキャパオーバーしている状態です。

そして、女性の働き方・生き方が多様化しているように、男性の働き方や生き方も多様化しつつあります。だからこれはもう、女性だけの問題ではない。近い将来、同じようにキャパオーバーになる「父親」にも向き合う必要が出てくるでしょう。つまり、これは「家族」として扱うべき議題だと思うんです。

いっぽさん:女性が「自己犠牲」の固定概念に囚われているのと同様に、男性も囚われている固定概念がありますよね。男性は女性より稼がなくてはならないとか、一家の大黒柱でなくてはならないとか……。そこに家事と育児がただプラスされてしまうと、息苦しくなってしまう気持ちは女性の私にも想像できます。

宮崎さん女性も男性も固定概念に囚われずに「ありたい姿」を実現するには、家族で対話をする機会が必要ですよね。

男性と女性が恋愛し、結婚してこどもを2、3人授かって、父親が主に稼いで、母親が主に家事・育児を行う。高度経済成長期にいわゆる「近代家族」像が確立しました。私たちは親からの口伝やメディアを通じて、そのイメージをぼんやりと引きずっているところがあると思います。しかし実態としては、個の価値観は多様になり、家族の在り方も多様になっている。

イメージに流されず、自分たちにとってどんな家族像が幸せであるのか?家族間で語りあうことが第一歩だと思っています。

福田:それが広がって、「拡張家族」のような考え方が当たり前になるといいですよね。父親と母親それぞれのありたい姿を実現するために、自分たちだけでリソースが足りないなら家族の形を変化させるんです。

昔の「村全体で子育てする」とは少し違うかもしれませんが、ベビーシッターや家事代行など、現代だからこそ利用できるサービスもたくさんありますしね。「自分たちらしい家族のあり方」を自由にカスタマイズできるといいのかなと思います。

宮崎さん家族という概念を拡張させる手段はたくさんあるので、どの手段を活用したら“自分たちの理想の家族像”に近づけるのかを夫婦で話し合えるといいですよね。そのためにも、まずは家族みんなで「家族にとっての幸せ」をざっくばらんに語ることが当たり前の社会を作っていきたいですね。

ーー最後に、宮崎さんはコネヒト株式会社で「家族」にまつわる課題に、福田さんはSHE株式会社で女性を取り巻く固定概念の解放にそれぞれ取り組んでいますよね。お二人は、それぞれの事業を通じて「母親のキャリア」とはどのように向き合いたいと考えていますか?

宮崎さん:僕たちの会社コネヒトでは、「ママリ」というママ向けのアプリを展開しています。そこでは母親たちの悩みが投稿されるのですが、母親の悩みに向き合えば向き合うほど、女性だけに背負わせてはいけないと実感するんです。母親のキャリアもそのひとつですよね。

母親の悩みの解決には、家族の存在が不可欠です。家族という社会を構成する小さな単位を再構築することで、「母親はこうあるべき」「父親はこうあるべき」といったしがらみをほどいていきたい。コネヒトがその一躍を担えるように、これからも尽力していきたいと思っています。

福田:私が代表を務める、ミレニアル女性向けのキャリアスクール「SHElikes」には、今の義務教育に課題感を抱いている方が多くいらっしゃいます。受験に勝つため、いい会社に入るための勉強ではなくて、自分のありたい姿を見つけて、自分だけの正解を見つけることを目指して学んでおられるんですよね。

それが当たり前になると、母親のキャリアの多様化はもちろん、先程宮崎さんもお話されていたように、今を生きる子どもたちが大人になったときに本当の意味で「固定概念から解放された」状態が訪れるはず。私はこれからも、そんな社会を実現できるよう、サポートしていけたらなと思っています。


編集後記

Unstereotype Project第2弾は、母親のキャリアについて語っていただきました。

母親のキャリアに向き合えば向き合うほど、「家族」や「社会」といった母親を取り巻く環境も変えていかねばならないことに気付かされる……そんな対談でしたね。

「キャリアの選択には情報や認知の格差がある」
「外注に抵抗を感じるのは『自己犠牲』が美徳と思っているから」
「母親と同様に、父親も固定概念に囚われている」

今回の対談から、無意識のうちに「昔ながらの家族像」に囚われていたことに気付いた方もいらっしゃるかもしれません。

あなたの思う「理想のキャリア」はどんなものですか?それは、固定概念に囚われてはいませんか?そして、あなたの実現したい未来を、パートナーは知っていますか?

3人の対談が、あなたのありたい姿を考えるきっかけとなれば幸いです。


<ハッシュタグのお知らせ📮>
本記事の感想と一緒に「ありたい姿になるためにできること」をお聞かせ下さい。ハッシュダグは  #今日から家族でできること #シーライクス のふたつ皆様のリアルな声を楽しみにお待ちしております!

<コネヒトとは>
「ママの一歩を支える」をミッションに、悩みの「解消」と「共感」を軸に、妊活中女性・プレママ・ママに寄り添うコミュニティを運営しています。子どもを出産したママの3人に1人(※)が利用するアプリに加え、Instagram、LINE、Twitter、facebookといったSNS、情報サイトを通じて、ママが日々の選択に自信をもって一歩を踏み出せるよう取り組んでいます。

■ Q&Aアプリ
・iOS:http://apple.co/2jjuY9f
・Android:http://bit.ly/2xt1lsz

■ 情報メディア
 https://mamari.jp

ママリ紹介スライド

※:「ママリ」で2019年内に出産予定と設定したユーザー数と、厚生労働省発表「人口動態統計」の出生数から算出。


<SHElikesとは>
SHElikesはPC1つで時間や場所に限らず働ける27の職種を定額学び放題で新しい”好き”に出会い、私らしい働き方を実現できるキャリアスクールです。

画像2

無料体験レッスンのお申し込みはこちら



<登壇者>
コネヒト株式会社 取締役 CHRO 兼 CCO 宮崎拓海さん
SHE株式会社 代表取締役CEO/CCO 福田恵里
SHElikes 受講者 いっぽ

<執筆>
仲奈々