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就職・転職のパラダイムシフト ー 自分でキャリアをつくれる時代に知っておきたいこと ー #Unstereotype Project

こんにちは。SHE株式会社のますのです。

「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」をビジョンに掲げ、ミレニアル世代の女性達が自分らしく生きるためのサポート行っているSHEの新プロジェクトの第2弾です。

先日お届けした YOUTRUSTさんに続いて、新しい対談が実現しました。

以下、ライターの仲奈々さんに議論の様子を執筆いただきましたので、ぜひご一読ください。

就職・転職の選択肢は“コミュニティ”で広がっていく

あなたは、就職・転職にどんなイメージを抱いていますか?

「新卒でベンチャーに入ったら、大企業には転職できない」
「新卒で入った会社は最低3年続けないと、転職活動が難航する」
「35歳以上は転職活動が難しい」

就職・転職活動では、さまざまな定説(パラダイム)が囁かれています。しかし、働き方が多様化した現代、この定説の信憑性は……?

Unstereotype Project第3弾は、「就職・転職のパラダイムシフト」について考えていきます。今回のゲストは、採用DX支援サービスを展開するワンキャリアの寺口浩大さん。採用領域のプロフェッショナルである寺口さんに、SHE株式会社の江崎麻里奈と、SHElikes受講生のいっぽさんが“就職・転職にまつわる定説”を伺っていきます。

※今回のイベントは10月15日(日)にYouTubeでライブ公開されたものです。

35歳からの転職はハードモードって本当?

江崎:就職・転職活動には、昔からさまざまな定説がありますよね。それに囚われて「やりたい仕事はあるけど一歩踏み出せない」という人も多いようです。本日はそんな就職・転職にまつわる“定説”について、採用現場の最前線でご活躍されている寺口さんの見解をお伺いしていきます。

では早速ひとつめの定説、「35歳をすぎたら転職できないって本当?」についてです。この定説が事実なら、私はもう転職できないですね(笑)。

いっぽさん:私ももうすぐ転職できなくなります(笑)。でも、この定説はよく耳にするので気にはなりますよね……。

寺口さん:僕もその定説どおりだとそろそろ転職できないですね(笑)。でも、実際には35歳すぎてからも転職事例はあります。

少し昔の話なのですが、人材紹介会社で「35歳以上の書類は見ない」というルールを定めていたこともあったようなんですよね。対応できないほどの書類が日々送られてくる中で苦肉の策として生まれたルールだと思うのですが……。おそらく、そのような業界内のルールだったものが定説として広まった結果なのかなと思っています。

いっぽさん:なるほど。加えて考えられるのは、20代の若手のうちって、なかなか30代以上の方とお話する機会ってないですよね……。そのため、余計35歳以上の転職の実態がわからず不安なのかも、と思いましたね。

寺口さん:確かにそうですよね。でも、現在はSNSもアプリもありますし、Twitterで“#1on1”で検索すると、1on1をしたい人同士で繋がろうとする動きもあります。

あとは、ワンキャリアでは個人が自分のキャリアを自分で選べるように“新しいキャリアの「地図」作り”にチャレンジしていて。新卒でどんな会社に入って、何年目でどこに転職して、現在は何社目、というようなキャリアのデータプラットフォームを作っているんです。まだデータを集めている途中ではあるのですが、現時点でも約1,000件以上の転職実例が閲覧できます。いろんな人の体験談を元にできた地図を見ることで、「なんだ、35歳以上でも全然転職できてるじゃん」と思ってもらえると嬉しいですね。

また、僕個人は働くのに年齢はあまり重要じゃない情報だと思っていて……。「35歳以上は転職できない」もそのひとつですけど、年上だとか年下だとかは仕事には全然関係ない。僕らの会社が就職を取り扱っているから余計にそう思うのかもしれませんが、例えば30代の僕よりもこの間まで就職活動をしていた入社1年目の方、そしてその方よりも現役大学生のインターンの方のほうがリアルな就活事情に詳しかったりするんですよね。

同じようなことは他の企業でも起こっているはず。その人ならではの強みが必ずあるので、転職活動では年齢に囚われずその強みを活かせる場所を見つけられるといいですよね。自分では弱みだと思っていることが、別のコミュニティでは強みとされることもありますし。

江崎自分で弱みと思っている部分は、もしかしたら「度が過ぎる強み」という可能性もありますからね。年齢もそのひとつだと思うと、活かせる場所はいくらでも見つけられそうです。

ベンチャーから大手には転職できないって本当?

江崎:ふたつめは、「一度フリーランスになるともう大手には入れない」「大手からベンチャーへは転職できるけど、ベンチャーから大手への転職はできない」という定説です。私も以前人材会社で勤務していた経験があるのですが、業界内でもこの定説は囁かれていましたね……。実際のところはどうなのでしょうか?

寺口さん:確かに、「フリーランスから大手」も「ベンチャーから大手」も、これまで事例としては少なかったかもしれません。でも、最近ではそういった事例がどんどんオープンになってきているんですよ。

かつて多くの大企業の採用スタイルは、新卒一括採用がメインでした。そして、中途採用は退職者が出たときにスポット的に行う。これまでは大手に新卒入社した社員はあまり辞めなかったので、その採用スタイルでうまく回っていたのですが、ここ最近は違う。大手に入社した人が数年で退職する光景も当たり前になってきました。

また、ベンチャーやスタートアップがどんどん新しい試みで頭角を現しはじめている今、大手企業も新規事業に取り組まないと生き残れないとも言われています。でも、安定した既存事業を持っている企業に在籍している人の多くは、ゼロから事業を生み出した経験がない。企業として新しく事業を作ったのは何十年も昔だったりしますからね。だから今、新規事業開発を得意とする人を求めている大手企業は増えている印象です。

このように大手企業も今、時代の変化によってこれまでのように欠員補充の感覚で中途採用をしているフェーズから抜け出す必要に駆られています。これから「フリーランスから大手」「ベンチャーから大手」の転職事例はどちらも増えてくると思います。

いっぽさん:私が就職活動をしていたのは10年ほど前ですが、その当時は「新卒の切符を逃したら、絶対大手には入れない」と言われていました。そのときからかなり状況は変わってきているんですね。転職活動の選択肢が増えそうで、希望が持てます。

日本でジョブホッパーは肩身が狭い?

江崎:視聴者の方からも寺口さんあてにご質問ををいただいています。「海外ではスキルアップや年収アップのために転職するため、社歴が多いのは当たり前ですが、日本で転職回数が多いと採用担当者からはあまり良いイメージを持たれない印象です」とのことですが……。寺口さん、いかがですか?

寺口さん:転職回数の多い、いわゆる“ジョブホッパー”に対する印象は企業によって全然違いますね。例えば、新卒一括採用がメインの企業は、長期で人材育成や登用の計画を立てていたりします。それは中途採用でも同じで。じっくりとコストをかけて育成したり、辞めた人材の活用体制も整っていないので、投資対効果を考えるとできるだけ長く働いて欲しいんですよね。だから、短期間で転職を繰り返している人の採用には慎重になってしまう。

一方、人材の流動が激しいベンチャーなどは、退職後も業務委託として関係が続いたり受発注の関係になったりすることも当たり前になりつつあります。「退職して社員じゃなくなっても関係は続く」と思っている企業だと、転職回数の多さや在籍期間の短さだけでは判断しないですね。それよりも、“何ができるか、何をやってきたか”を重要視する傾向にあります。

ただ、今の時代は転職も副業も当たり前になりつつあるので、大企業ベンチャー関係なく「他のコミュニティに所属すること」を善とする企業が個人的にはおすすめですね。たまにあるじゃないですか、副業や転職の話をすると嫌な顔をされるとか、社外の人との予定やプライベートの予定より会社関係の行事を優先させなきゃいけないとか……。

江崎:今でもありますよね、会社の飲み会は強制参加だとか。

寺口さん:そうそう。今所属しているコミュニティ以外に手を出すな、という文化の企業に所属するのは、これからの時代リスクが大きいと思います。

いっぽさんジョブホッパーに偏見のない企業の見極め方はあるのでしょうか?

寺口さん:所属する社員のキャリアの実例を見ることです。採用サイトで社員のプロフィールを出している企業は多いですよね。その中で、現職以外の経歴や転職歴を掲載している企業は、ジョブホッパーにも理解のある可能性が高いですよね。

現在の社員のこれまでのキャリアもそうですが、元社員の次のキャリアを情報公開している企業も僕個人としては信頼できるなと思います。

就職・転職の固定概念からはどうしたら抜け出せる?

江崎:時代の変化とともに、就職・転職活動の定説は通用しなくなってきているようですね。とはいえ、これまで“当たり前”と思っていたものを脱ぎ捨てて一歩踏み出すのは勇気がいります……。どうしたら固定概念から抜け出して、自分らしいキャリアのための一歩を踏み出せるのでしょうか。

寺口さん「周りに自分の価値観を変えてもらう」のもいいかなと思います。実は、僕自身が以前は固定概念に囚われていたタイプで。好きなことを仕事にするとか、何にも縛られない自由な働き方とか興味はあるけど、特別な人じゃないと実現できないんでしょ?と思っていました。

数年前に働き方を考えるカンファレンスに参加して、そのときに価値観が一気に変わりましたね。そこでは1000人以上の参加者がいたのですが、それぞれが自分らしい働き方を実現しようと前向きに行動していたんです。その中だと、固定概念に囚われて前に進めない僕が圧倒的にマイノリティだったんですよね。

江崎:先ほどの「ひとつのコミュニティしか所属しないのはリスク」というお話にも通じそうですね。さまざまな価値観のコミュニティに所属することで、自分が固定概念に囚われていたことを知るきっかけが生まれそう。

寺口さん:そうですね。新しいコミュニティに所属すると最初はものすごく疲れるんですけど、習慣になるとそれが当たり前になる。僕もカンファレンスに参加してすぐの頃は、これまでの価値観とはまったく違う世界に戸惑いました。でも、しばらくするとその価値観が当たり前になって、逆にこれまで居場所だと思っていた場所が居心地悪くなってくるんですよね。そうすると、前に進まざるを得なくなります。

自分が「こうありたい」と思う価値観を持つコミュニティに参加すると、周りに適応しようとしていつの間にか理想の姿に近づいていく。半強制的に自分を変えるので最初はすごく疲れますが(笑)、固定概念から抜け出すのにとてもいい方法なんじゃないかなと思います。

これからの時代、就職・転職活動はどう変化していく?

江崎:最後に、寺口さんはこれからの時代の就職・転職活動はどう変化していくと考えているか教えていただけますか?

寺口さん個人のキャリアは、企業が管理するものから個人で作っていくものになると思います。

これまでの就職・転職活動では、今回のイベントでも取り上げたようにさまざまな定説がありました。そして実際にその定説に沿って採用活動をしていた企業も多かったんですよね。でも、時代の変化とともにこれまでのスタンスのままだと採用活動がうまくいかなくなってきました。

それに伴い、個人としてはキャリアの「選び直し」ができるようになってくるはず。一昔前までは「新卒で大企業に入れなかったら二度と入れない」「35歳をすぎるとキャリアチェンジできない」ことが当たり前だったけれど、これからは自分次第でいつでも自由にキャリアを選択できるようになると思います。

最近だと、経歴やスキルのみではなく、“人とのつながり”を重視して採用する「リファラル採用」がトレンドになっています。リファラル採用が当たり前になると、さらに就職・転職活動がなめらかになるはずです。

いっぽさん:キャリアSNSの「YOUTRUST」が盛り上がっていますよね。知り合いの紹介を通して就職・転職活動ができるのは、求職者側としては安心感があります。

寺口さん:履歴書と職務経歴書だけで判断するのは企業側としても怖いですしね。求職者側にも企業側にもメリットが大きいリファラル採用は、今後どんどん浸透してくるはず。

これからは、就職・転職活動に変わって、人とのつながりを通じて「気が付いたら一緒に働いている」事例も増えてくると思います。さまざまなコミュニティに所属することで、キャリアの選択肢はどんどん広がっていくと信じています。

編集後記

Unstereotype Project第3弾は、就職・転職のパラダイムシフトについて考えていきました。

これまでは企業主導だった就職・転職活動が、リファラル採用等の浸透によってこれからは個人主導で選択できるものになる……。自分の力でキャリアの切り拓いていける可能性に、ワクワクした人も多いのではないでしょうか。

一方で、キャリアの自由度が高くなる分、会社に頼らずに自分でスキルを高めたり、コミュニティを広げたりする努力はこれまで以上に求められるようになるはず。特に、これからの時代のキャリアの形成には、「コミュニティ」が重要な鍵を握ることになりそうですね。

就職・転職の定説がすべて取り除かれたとしたら、あなたはどんなキャリアを歩みたいですか?そこから考えることで、“自分だけの理想のキャリア”に必要なモノがわかってくるのかもしれません。

視聴者さんの声

最後に、YouTubeでの生配信やアーカイブをご覧くださった方々の声をご紹介します。

・自分自身が知らず識らずのうちに囚われていた固定概念
・今後大切にしていきたいこと  
などなど...

この記事を読んでくださった方も是非ハッシュタグ  #就職転職のパラダイムシフト  にて感想をお聞かせください。

<登壇者>
株式会社ワンキャリア Evangelist 寺口浩大さん
SHE株式会社 江崎麻里奈
SHElikes 受講者 いっぽ

<執筆>
仲奈々