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外国人母子支援と医療通訳に関するトークイベントのご報告②

クラウドファンディングへのご支援、ありがとうございます。

今回は、前回に引き続き、8月27日の在日外国人支援事業スペシャルイベント「日本での出産や子育てを支えたい~外国人母子の健康を守る現場の声を届けます~」の第2回目のご報告として、病院の助産師さんのお話をご紹介します。報告の最後にはイベント時にいただきました質問にもお答えします。

第2回:助産師が言葉が通じないことで困ったこと


イベント当日は、助産師さんが勤務中の病院から参加し、お話してくださいました。

「コロナのPCR検査が必要で、パパを通してママに唾液の提出をお願いしたら、黄色っぽいものを渡されました。唾液じゃなさそうだなと思って、医療通訳を活用してパパからよくよく話を聴くと、実はおしっこを持ってきたと。これまでパパを信じて通訳のお願いをしていたけれど、伝わっていなかったんだと、なかなか衝撃的なこともありました」

「日本語が結構話せるパパでも、初めて陣痛が来た時にはパニックになってししまうこともあり、電話口でゆっくり話しても全く話が通じず、とりあえず『陣痛がきてるなら入院の荷物を持って来ていただいて大丈夫です』とお伝えしたんですが、荷物も書類も何も持たずに来られた、ということもありました」

ここまでお話して下さったところで、助産師さんは急遽お産の対応に呼ばれたため、以前インタビューで伺った内容を松尾より追加でお伝えしました。

「自分の子どもにだけ心電図モニターがついている理由を、外国人のお母さんに十分説明できなかった」
「黄疸の心配がある赤ちゃんにしっかり授乳を行ってほしいものの、説明が伝わらず、寝ているお母さんを起こして毎回強制的に授乳を行ってもらう形になってしまう」
「自宅で自己管理が必要な治療の説明を理解してもらうことができず、治療につなげられなかった」
「沐浴をする文化、しない文化がある中で、個々の希望と衛生的に必要なケアとをすり合わせながら、ニーズに沿った保健指導を行いたいけれど、言葉が通じない中ではなかなか思うようにできない」

助産師さんのお話からは、言葉の壁により、思うようなケアが行えず、もどかしい思いをしながらも、外国人妊産婦さんに必要なケアと提供したいと、真摯に向き合いながら関わっている様子が伝わってきました。また助産師さんは、医療通訳を活用した際には、十分な説明が行え、お母さんが理解したことが表情や行動からわかり、言葉が通じることの大切さを感じている、というお話もしてくださいました。

外国人妊産婦さんに必要なケアを提供したいと思う保健医療福祉従事者が、望むような情報提供や支援が行えるように、今後も活動していきたいと思います。

次回(第3回)は、医療通訳者さんのお話についてお伝えしていきます。

トークイベントパネリスト

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〇イベント時にいただいた質問へのご回答〇
イベント当日には時間が取れず、いただいた質問にお答えすることができませんでしたので、こちらにて回答させていただきます。似たようなご質問はまとめさせていただいたこと、回答させていただくご質問は、イベントに関係するものとし、すべての質問にはお答えでいないことをご了承ください。

Q1.コロナ禍で母子保健通訳をするにあたり、大変だったことはありますか。

 当会では、これまで対面での通訳を行ってきましたが、コロナの影響により、一時期、通訳を派遣することが難しくなり、Zoomを利用した遠隔通訳が中心となりました。遠隔通訳では、当会が大切にしている、その場の状況を汲んだ、対象者と保健医療従事者双方に寄り添った通訳を行うことが、派遣時に比べどうしても難しくなりましたが、その分通訳場面の状況がわかるよう、通訳者への事前の情報提供等を丁寧に行い対応してきました。 また、通訳を派遣した時は、対象者、通訳者双方の感染を予防するため、保健医療従事者に換気や配置等に考慮してもらいながら、対応しています。

Q2.医療通訳を通じ、子どもの日本語の問題や在留資格についての心配事など、医療・保健以外で対応した方がよいと思われる点が見えてくることがわかりました。こうした場合、どのような対応をされていますか?専門的に支援している団体に照会されていますか?

当会では、保健医療福祉従事者等より通訳依頼を受けて医療通訳に対応しています。通訳時には、保健医療従事者が同席している状況で通訳をしており、医療通訳者が通訳をする中で気づいた課題等は、必要時保健医療従事者へフィードバックしています。その際、保健医療従事者より支援について具体的な相談を受けた場合は、当会から情報提供を行ったり、必要時より専門的な支援を行っている団体等へつなげるなど、解決できるように支えています。

在日外国人支援事業担当 松尾沙織

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