強くなりたくてボクシングを始めたら笑われた話を思い出した
2022年度春クールドラマ「未来への10カウント」が始まった。
わたしが今期で最も楽しみにしていた作品。
演技が大好きな山田杏奈ちゃんが出演することが決定してから、早く見たくて仕方なかった。
第1話。山田杏奈ちゃん演じる水野あかりが、高校のボクシング部に入部した理由をこう答えた。
「強くなりたかったから。」
この一言で、わたしも強くなりたくて、キックボクシングを始めた3年前のことを思い出した。
ドラマの中で、ボクシング部に入部した理由で、強くなりたかったからと、答えたのは彼女1人。
他の男子部員たちは、「運動したかったから」「漫画で憧れて」など、ボクシングでなければならない理由は特になかった。
そんな中で、女子である水野あかりだけが、強くなりたいという理由でボクシング部に入ったというのは、わたしにとってどこか引っかかるポイントがあった。
わたしは、大学生になり、初めての共学ライフが始まった。それまでは、女子校という生ぬるい環境にいたので気づかなかったが、新しい生活で、様々な人との関わっていく中で、「女だから舐められている。」と感じる部分が増えた。
だから、「舐められたくなくて」強くなりたかった。
そのためには、まず身体から鍛える必要があると考え、そう思い立った日には、キックボクシング道場に入会していた。
行動力はあるほうなので、すぐに入会し弱い身体をバチボコに鍛え上げるつもりで週4くらいで道場に通い始めた。
軽い習い事の1つではあったが、わたしにとって、初めてのちゃんとした運動だったので、苦戦することばかりできつかったが、それでも舐められたくなくて、強くなりたい一心で通っていた。
痩せたいとか、健康的になりたいとか、もちろんそういった気持ちもあったが、根本にあったのは「強くなりたい」という気持ち。
そんな話を大学の友人や、親に話したら、
死ぬほど笑われた。
は?馬鹿なの?
ボクシングで強くなれると思ってんの?
強くなってどうすんの?
あんたやっぱり変わってるね!
強くなったら蹴り見せてね?
こんな言葉を有難く頂戴した。
あー。女の子は、強くなることを面白おかしく受け取られるんだ。と悟ったのもこの時だった。
わたしは、本気で強くなりたくて始めたボクシングだったので、周りの人からの反応はショックだった。
大学生になって、周りの友人に彼氏ができ始めてから、自分はそういうことができないタイプの人間だと薄々自覚し始め、今後何かあった際、自分の身は自分で守らなければならないと感じ、強くなろうと決めたのに。
それなのに、強くなろうとすると、笑われる。
貴方には守ってくれる人がいなくて可哀想ね。
そんなふうに、思われて笑われているような気がした。
実際、あれから3年経った今、わたしを守ってくれる人などいない。
でも、あの時、わたしのことを笑った人間たちに、今なら何の迷いもなく言える。
わたしは、貴方よりも強く生きている。と