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珈琲の大霊師

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シャベルの1次創作、珈琲の大霊師のまとめマガジン。 なろうにも投稿してますが、こちらでもまとめています。
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2019年8月の記事一覧

珈琲の大霊師305

珈琲の大霊師305

 時を遡って、ジョージがアラビカ家を見つけて1ヶ月経った頃。

 ジョージと、タウロスは、洞窟の中にいた。

「・・・・・・どかせそうか?」

「いや、こりゃきついな」

 タウロスの下半身が、土砂で埋まっていた。

 ジョージは、ネスレに土を掘り返させるも、次々に新しい土砂が上から落ちてきて、手に負えない。

「そう・・・か。まさか、お前のような奴と最後を迎える事になるとはな・・・。やはり、俺は

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珈琲の大霊師304

珈琲の大霊師304

 多くの思いが交錯した1世紀が経過した。

 タウロスの里があった霊峰アース周辺には、タウロスの里を首都とする国が発足し、10倍の速度で進むという特性を利用した産業が国の根幹を成していた。

 かつてタウロスの里と呼ばれた首都には、大きな宮殿が建ち、開かれた山から外界を見下ろしていた。

 その1室、最も豪奢で大きな部屋に、1人の少女が向かっていた。

 その肌は薄く緑がかっていた。

 少女は、

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珈琲の大霊師303

珈琲の大霊師303

 ――1年後

 タウロスの里と外の境界線である滝の外には、リフレール、ルナを始めとして珈琲商会の面々が顔を揃えていた。

「長かったですね・・・。やっと会えます」

 リフレールが、相変わらずの美貌に光を受けて燦然と輝いていた。その隣にいるルナの腕には、赤子が抱かれていた。

「まったくね・・・。厄介なもんだよ。外の人間は一度入るとこっちの時間で1年は出られないなんて」

 タウロスの里と外界と

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珈琲の大霊師302

珈琲の大霊師302

 ごりごり
               ぱきっ
          ごりごり

     ぱきっ

 アラビカ家に泊まった翌日、聞きなれた音がして起きた。

 この音は、珈琲豆を砕く時の音だ。丁寧に、一粒ずつ潰している。その丁寧さには、いつも感心させられる。

 とんとんとん

 階段を下りて1階に来ると、同時に鍋から吹き零れた雫がじゅわっと湯気を上げた。

 湯気の中でくるくる回るドロシーの後

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珈琲の大霊師301

珈琲の大霊師301

――――――――――――――――――――

第36章
    大団円の向こう側へ

――――――――――――――――――――

 ジョージ達は山を登っていた。メンバーは、モカナ、ルビー、ジョージ、リルケの4人に、案内役でコートがついた。

「アラビカ家の人達は、姉さんが出て行ってから、ずっとタウロスに反発してて、ある日突然居なくなったんだ。その後、皆で探そうとするとタウロスがそれを咎めるから、結局

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珈琲の大霊師296

珈琲の大霊師296

 まず最初の大きな事件。

 それをタウロスは良く知っていた。最も大きな二つの大国が激突し、タウロスが選んだ王の国が大勝し、最終的に相手の国を併合するのだ。

 そうして、大陸最大の国家ができる。

 その後は、どうやった所でその大国が全ての国をなぎ倒しておしまい。

 ゆえに、この歴史を選んだ時の勝負は短時間で終結すると決まっていた。

 遊戯を始めて、歴史遊戯の中で4年が経過した。

 タウロ

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珈琲の大霊師295

珈琲の大霊師295

 振り返ってみれば、ここまでこの男に乗せられていると言っても過言では無い。

 であれば、最後は絶対にこの男よりも俺に有利な勝負をしなければならない。俺が最も得意とする頭脳を使った勝負・・・。

 とすれば・・・。あれを、もう一度持ち出すか。

 あれは、俺と神しかやったことがない。俺は最後には神にも勝った。そうだ、これならば絶対にやった事が無いのだから、負ける理由が無いはずだ。

 あの舞台の中

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珈琲の大霊師294

珈琲の大霊師294

「加減はしてあげましょう。どんな精霊も、風の前には無力であることを教えてあげます」

 リング上に立つウィンが手を振ると、それだけで突風が起こる。そして、ウィンの側に風の精霊の姿は見えない。

「・・・風の寵児か・・・」

 ジョージは、ウィンの正体に少しだけ心当たりがあった。ウィンは、良く知っている誰かに良く似た特性があると言えた。

「モカナちゃん、無理、しないで」

 そう心配そうに声を上げ

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珈琲の大霊師293

珈琲の大霊師293

「さて、それじゃ始めといくか。勝負は3本勝負。1試合につき1人まで。1つでも負けたら、そっちの勝ちでいいぜ?」

 と、ジョージがタウロスの顔を見上げてニヤニヤと不敵に笑ってみせると、タウロスは不愉快そうに顔をしかめた。

「・・・自惚れるな。2本先取で構わん」

「へえ。ま、それでいいならそれでもいいぜ?じゃ、まずは心技体の体からいこうか。どうする?俺としちゃ、殴り合わせて勝った方が勝ちでいいと

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珈琲の大霊師292

珈琲の大霊師292

――――――――――――――――――――

第35章

    心・技・体!三番勝負

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「ごめんなさい、ジョージさん。・・・珈琲、まだ飲めるのは無かったです・・・」

 申し訳なさそうに俯くモカナに、ジョージは胸が締め付けられるような想いだった。

 モカナは、何よりも最初にジョージが美味しいと感動したこの里の珈琲を手に入れる為に、夜の森を歩いていたのだ

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珈琲の大霊師291

珈琲の大霊師291

「ああー、スッキリしました!一生分の勇気を出して、一生分の嫌味を言えた気がします!あの大役を任せて下さって、ありがとうございました」

 ニカが晴れ晴れとした顔で、深々と頭を下げる。ジョージは苦笑いしつつ、隣で憔悴しているコートに目をやった。

「・・・気が気じゃなかっただろ。お疲れさん」

「妹の知らない一面を知ったような気がします・・・。しかし、思った以上に上手く行きましたね。順調すぎるくらい

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珈琲の大霊師290

珈琲の大霊師290

 タウロスは夢を見ていた―――大昔の夢を。

 神がいて、タウロスはその命に従って民を導いていた。実験し、結果を報告し、民には慕われ、神には認められ、最も充実していた頃の夢だ。

 目が覚めると、聞き慣れた鳥の鳴く声。静かな森の片隅の、巨木の寝床。木漏れ日が降り注ぐ森の小部屋が、彼の寝床だった。

 神は、他の地を見てくると言って姿を消してそれきりだ。

 取り残された――

 その侘しさに、タウ

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珈琲の大霊師288

珈琲の大霊師288

「ひでえ目にあった・・・」

 と、袋に詰められていた男ラグアがジョージに蹴られた脛を押さえてぼやく。

「彼は、私達の幼馴染のラグアです。ラグア、私達の家は………どうしてあんなことに?」

「お前らがタウロスと喧嘩して、外に出て行ってから、タウロスの野郎見せしめにってお前らの家を焼いたんだよ。何が神の下僕だ。野蛮なのはてめーじゃねえかって話だぜ。で、いい加減我慢してた俺達も頭に来て、立ち上がった

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珈琲の大霊師287

珈琲の大霊師287

 最初に聞こえたのは、沢を流れる水の音。岸壁を小さな水流が滴り落ちる音。

 洞窟を出て、背面が山頂に至る岸壁。そして正面には、見渡す限りの青い空と、雲海だった。

 その縁を、緑の森が飾る。その緑に囲まれた窪みに、どうやら人家が集中しているのが見て取れた。その家々からは、細く煙が上がっていた。

「・・・すごく綺麗です」

 モカナは、本来ならば見慣れていたはずのその景色に息を飲み、コートとニカ

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