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「女性のおかげ」でも「女性のせい」でもない――施工現場での「女性活躍事例」から感じたこと

こんにちは。
「難しい」を「易しい」に変える伝え方ナビゲーター 深谷百合子です。

昔は男性ばかりだった工事現場にも、女性の現場監督や女性の職人さんが増えてきています。「けんせつ小町」なる言葉も登場しています。ただ、私自身はこういう愛称をつけることには違和感を持っています。現場の女性の、きれいにネイルがされた指先だけをやたらに誇張するように見せる動画を見たことがありますが、「うーん、誰目線?」とか思ってしまいます。

その話題は別の機会に譲るとして……

今月末、大手施工会社による「施工現場での女性活躍事例発表」を拝聴する機会があります。それに先駆けて、発表資料を拝見しました。

こうした事例発表では、「女性が現場で働きやすいよう、女性専用の休憩室を用意するなど、職場環境をどのように改善したか」という話が多いのですが、今回は「女性が入ることで、どのようなプラスの影響またはマイナスの影響があったのか」という話も紹介されていました。

その中でいくつか「違和感」を抱いたことがありました。事例を紹介して下さったからこそ、見えてきた「違和感」。この「違和感」について少し書いてみたいと思います。


1.現場事務所がきれいになったのは女性のおかげ?

事例発表資料の中で紹介されたのは、一緒に働く男性社員へ「女性が入ることで、どのようなプラスの影響またはマイナスの影響があったのか」をヒヤリングした結果です。

プラス面として「事務所が整理整頓され、きれいになった」というものがありました。

詳しい背景も聞いてみないと一方的に断言はできませんが、これは別に女性がいる、いないにかかわらず、整理整頓された状態が普通なのではないか――と思いました。

施工現場では「5S」を徹底するのが「普通」です。
事務所も然り。

これが、事務所は雑然としていたり、砂ぼこりで汚れていたりしていたのが、「女性が入ることによってきれいになった」と言われると、女性が掃除をしたり机を拭いたりしている様子が目に浮かんでしまいました。

どこか無意識で性差による役割分担が、男性にも女性にもあるような気がしたのです。

これが、「職場環境が整って、皆にとって快適になった」とかならわかります。
あるいは、「今までは重たいダンボールを棚からおろしては、資料を出していた」のが「女性が入ったことで、いちいち重たいダンボールをおろさなくてもいいように、棚を新設したことで、資料を取り出しやすくなった」みたいなことなら、「それはよかったですね!」と思えるのです。

この点は、事例発表会のときに、質問してみたいと思います。

2.男性ばかりが残業しなければいけないのは、女性のせい?

一方、女性と一緒に働くようになって、「マイナス」と感じている意見もいくつかありました。

たとえば
・女性ひとりでの顧客対応や深夜業務は心配
・職人さんから見下される
・叱るときや普段の言動に気をつかう
などです。

たしかに、セクハラなどの被害に遭わないよう、配慮が必要です。

でも、一方で、これらのことは「男性だったら配慮しなくていいのか」という疑問です。
「女性が入ってきたことで、こういう点に気を使わなければならなくなったと思っている」ということは、今まではどうだったのでしょう。

そう考えると、逆に「改善のチャンス」にも思えてきます。

さて、マイナス面として挙げられていた中に「男性ばかりが残業しなければならない」というのがありました。

時短勤務、育児や介護で残業できない女性がいるのかもしれません。

でも、これも女性の問題でしょうか。

残業が常態化しているのは、男性ばかりのときから変わっていないのでは?
特に、決められた工期で完成させなければならない工事は、設計の遅れ、度重なる変更や資材の調達遅れなどがあると、最終的に施工現場にしわ寄せがきます。

昼間は現場、残業時間にデスクワークや打合せというパターンも多いでしょう。

そういう仕事のやり方、仕組みに問題があるのなら、メスを入れるのはそこですよね。

男性社員へのヒヤリングから出た「マイナス面の意見」は、実は職場の「働きやすさ」「働き方」の改善になるものが詰まっていると感じました。

こうしたヒヤリング結果を、どのように生かしていったのか、成果発表会で具体的にお話を聞けたらと思っています。

3.まとめ

今まで男性ばかりだった職場に女性が入ってくることで、男性が「マイナス」に感じていることも、実は「誰にとっても働きやすい職場にする」改善のチャンスです。

「当社は女性活躍のために、こんな取り組みをしました」
「こんな制度にしました」
というだけでは、なかなか自分事として受け取れない職場も多いでしょう。

今回のように、現場の生の声を拾って紹介して下さると、「そういうことあるよね」と共感する一方、「それっておかしくない?」と違和感を抱くことで、「女性活躍を進めることがなぜ必要なのか」を掘り下げて考えられるようになります。

今月末の事例発表会で、どんなお話を聞けるのか楽しみです。またそのときに聞かせて頂いたお話も、改めて紹介したいと思います。

それでは、また。


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