きしなお

過去パートナーとのセックスレスを経験、試行錯誤するも解消できないまま離別。20年「カッ…

きしなお

過去パートナーとのセックスレスを経験、試行錯誤するも解消できないまま離別。20年「カップルの性についての分析 rebed β版」をリリース。22年カムウィズ設立。あたらしい形のセックスレス予防・解消サービスを開発中。理学修士・工学修士・学士(心理学)。性科学・家族心理学を勉強中。

最近の記事

参加レポ:セックスレス30年(セックスカウンセリング研修会)後編

セックスレスの定義から30年。6月9日に開催された、日本性科学会主催セックス・カウンセリング研修会に参加。前半に引き続き、今回は後半の様子をまとめてみました。 1.ドイツ語圏のセックスレス最初は、日本とドイツ語圏のセックスレス研究をしているオーストリア出身のパッハー・アリスさんの講演。日本のレス現象についてのパッハーさんの著書『したいけど、めんどくさい』を一昨年読んでおり、また発刊記念対談イベントにも参加したことがあります(その際の記事はこちら)。 まず、来日10数年のは

    • 参加レポ:セックスレス30年(セックスカウンセリング研修会)前編

      昨日6月9日に開催された、日本性科学会主催の第53回セックス・カウンセリング研修会に参加してきました。学会でセックスレスが定義されてからちょうど30年ということで、会のタイトルは「セックスレス30年」。これは行かねば、と。オンライン参加の選択肢もありましたが、カウンセリングのロールプレイや懇親会のために現地参加。会の様子をざっとまとめてみたいと思います。 セックスレスの定義から30年セックスレスという言葉を生み出した阿部輝夫さんのお話。セックスレスの定義が変わるようです。

      • わたしの現在地(パートナー編)

        ここ1、2年の間に起こったことや感じたこと、今後について等を、4つの視点――「学び」「パートナー」「セックスレス事業」「仲間」で見返し、現在地を指し示すことができたらと思います。 2回目の今回は、「パートナー編」です。妻とのことや、前妻とのことにまつわる出来事、どう心が動いたか、その変化などについて記してみることにします。前回の「学び編」はこちら。 ある写真を目にして 2022年の冬。前妻の子供と思われる写真を目にしてしまった。私と前妻との間には子どもはいなかった。きっか

        • わたしの現在地(学び編)

          ここ1、2年の間に起こったことや感じたこと、続いていることや今後についてを4つの視点から、いくつかピックアップしてここに残してみたいと思います。きしなおどうしてる?と思ってくれた人への近況報告になればいいですし、私自身の整理にもなればと考えています。 4つの視点は、「学び」「パートナー」「セックスレス事業」「仲間」からなります。この数年間でこれらは独立しておらず、入り混じっていると思います。例えばパートナーとの出来事がセックスレス事業に影響したりと。そんな入り交じりを、書き

        参加レポ:セックスレス30年(セックスカウンセリング研修会)後編

          目次-性科学を学ぶ-

          記事がたまってきたので、記事の目次(リンク)をまとめました。その前に、この「性科学を学ぶ」の一連の記事では、 イギリスの性心理療法家である、Silva Neves著「Sexology the basics」(Routledge社)をメインの参考文献にしています。 本の内容紹介ではなく、本の章立てに沿って、私自身が理解したことや考えたことを書くようにし、すなわち性科学を「学ぶ」ことを目的としています。 「Sexology the bashics」は英語表記のため、引用する

          目次-性科学を学ぶ-

          性科学を学ぶ-その9-インターセクショナリティ

          今回は、『Sexology the basics』[1] 1章-性科学とは何か?-から、『インターセクショナリティ(交差性)』を学んでいきます。 インターセクショナリティとはあまり馴染みの薄い言葉なので調べてみました。 つまり、男性だから(女性だから)うんぬん、若いから(年を重ねているから)うんぬん、というような切り口1つだけでは個人を語り切れない。そうではなく、複数の切り口(アイデンティティ)の交差する場所に、ひとり一人が居る。ということだと思います。 もう少し言うと

          性科学を学ぶ-その9-インターセクショナリティ

          性科学を学ぶ-その8-セクソロジーと障がい

          今回は、『Sexology the basics』の1章 性科学とは何か?から、『セクソロジーと障がい』を学んでいきます。 障がいをもつ人にとっての性とは私の身近には障がいと共に生きる人は現在いません。街角で障がい者を目にしたとき、その人の「障がい」(例えば視覚障害)だけにフォーカスした眼差しを向けてしまっていることは少なくありません。 ただし当然彼らも、当の障がい以外の部分は我々と同じように働くのであって、それは性の側面についてもそのはずです。例えば健常者と同じように性

          性科学を学ぶ-その8-セクソロジーと障がい

          性科学を学ぶ-その7-セックス・ポジティブ

          今回は、『Sexology the basics』の1章 性科学とは何か?から、『セックス・ポジティブ (Sex Positivity)』を学んでいきます。 ≠セックスはよいこと「セックス・ポジティブ」という言葉そのもので捉えると、セックスすることは素晴らしいとか、もっとセックスについてオープンに語ろうというように、セックスや性的なものを肯定的に捉えよう、あるいは前面に出そう、という響きで理解してしまいがちです。 しかし本文を読み進めると、こういったことを指す言葉ではない

          性科学を学ぶ-その7-セックス・ポジティブ

          性科学を学ぶ-その6-なぜ性科学は重要か?

          今回は、「Sexology the basics」の1章”性科学とは何か?”から、『なぜ性科学は重要か?』を学んでいきます。 無用な苦悩を避けるためこうあるべきだというイメージと、現実の自分とのギャップによって、苦悩が生まれる。そしてその苦悩は、「そのままの自分でいいんだ」という自尊心を脅かすものとなってしまうのだと思います。 ただしそもそも、「こうあるべきだ」という我々の考えやイメージはどこで作られているのか。ネットを始めとするメディアや身近な人との会話を通して、あたか

          性科学を学ぶ-その6-なぜ性科学は重要か?

          性科学を学ぶ-その5-生物心理社会モデル

          今回は、「Sexology the basics」の1章”性科学とは何か?”から、『生物心理社会モデル』を学んでいきます。 生物心理社会モデルとは?1つの視点(例えば、生理的に〇〇だから◇◇なんだ。いつも▽▽と感じてしまうから□□なんだ)ではなく、3つの視点が重なる部分に、人の性的な行動や態度、あるいは性の問題が生じる。複眼的に見ることが大事、ということでしょう。 とはいえ何のこっちゃなので、性におけるモデルを図にしてみました。 レスをモデルに当てはめてみる具体的な性の

          性科学を学ぶ-その5-生物心理社会モデル

          性科学を学ぶ-その4-セクソロジーの小史

          今回は、「Sexology the basics」の1章”性科学とは何か?”から、『セクソロジーの小史』を学んでいきます。 なお少しややこしいですが、前回は「セックス・セクシュアリティの小史」でした。今回は学問としての「セクソロジー」の変遷についてです。 セクソロジーの大まかな年表本著では、4~5ページに渡って性科学の始まりから現代(20世紀後半)にいたるまでが記述されています[1]。本記事ではこれを元に、主要と思われるポイントを年表形式に再構成してみました。 1852

          性科学を学ぶ-その4-セクソロジーの小史

          性科学を学ぶ-その3-セックス・セクシュアリティの小史

          今回は、「Sexology the basics」の1章”性科学とは何か?”から、『セックス・セクシュアリティの小史』を学んでいきます。[1] 自由な性(古代~中世以前)少し調べてみると、sexや性器、性愛の様子をかたどった、芸術作品が今も多く残っています。 (なんとも表現しがたい構図ですが、牛?も興奮しているようです) (むしゃぶりあう、ほおばりあうようなキスです。) これら作品は、見る人にエロティックな感情を呼び起こしたり、作者自身のエロティックな感情を高揚するも

          性科学を学ぶ-その3-セックス・セクシュアリティの小史

          性科学を学ぶ-その2-性科学とは何か?(はじめに)

          連載2回目となる今回からは、Silva Neves著「Sexology the basics」の、1章 ”性科学とは何か?” に入っていきます。 (第1回:イントロダクション の記事はこちら) 1章はこのような内容です。 学びたいことの本質的な部分は、もっと先の3章以降になりそうです。ただ、セクソロジーがどういう哲学や骨組みの上に建っているのか、をこの章で学ぶことができそうです。 本記事ではこの中から「はじめに」を題材にして、重要と思われる点を引用し、学んでいきたいと

          性科学を学ぶ-その2-性科学とは何か?(はじめに)

          性科学を学ぶ-その1-イントロダクション

          今回からはじめるこの一連の記事では、イギリスの性・関係性の心理療法家であるSilva Neves氏の著作、「Sexology the basics」を少しずつ区切って読み、Sexology=性科学について学んでいこうと思います。 なぜこんなことをするのか。いま私は、セックスレスの予防や解消に効果がありかつ手に取りやすいサービスを、開発している身です。最近では1年をかけて、心理学科(学部)の卒業単位を取り、また家族相談士の養成講座を修了しました。こんな私にとって、 まず、一

          性科学を学ぶ-その1-イントロダクション

          参加レポ『パッハー・アリス×森山至貴「学問としてのセックスレス」』

          9月28日に開催された、パッハー・アリス著「したいけど、めんどくさい」刊行記念イベントに現地参加してきました。 トーク90分、Q&A30分の計2時間にわたる長丁場のイベントでしたが、本には書かれていなかったイベントならではの話を中心に、ざっとレポートしてみたいと思います。 どんな本?「日本のセックスレス現象はなぜ起こっているのか?」という問い。この問いに対して、実際の夫婦・カップルへのインタビューを通して、セックスレスのカップルに過去何があったのか、今どういう状況なのか、

          参加レポ『パッハー・アリス×森山至貴「学問としてのセックスレス」』

          元妻とのセックスレスから、彼女とセックスフルになってみて

          6年間の結婚生活でのレス気味~セックスレス2年間を経て離婚。それから約3年が経とうとする2022年3月。今は付き合って1年半の彼女がいて、セックスフルと言える。 かつてのレス経験やその辛さは見つめ直してきたが、あれだけ望んだセックスに満たされている「今」はどうなのか。この部分をあまり正視できてなかったので、一度考えてみようと思う。 セックスフルの今1.セックスの頻度 今付き合っている彼女とは、同じ路線沿いで電車で20分の距離にお互い1人暮らし。週1,2回は会って、週末はど

          元妻とのセックスレスから、彼女とセックスフルになってみて