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わたしの現在地 #3(セックスレス事業編①)

ここ1、2年の間に起こったことや感じたこと、今後について等を、4つの視点――「学び」「パートナー」「セックスレス事業」「仲間」で見返すことで、現在地を指し示すことができたらと思います。前回の「パートナー編」はこちら

三回目の今回は、「セックスレス事業編」です。ひと言でいうと私にとっての”仕事”です。2020年に自らのセックスレス経験をきっかけに取り組み始めて以降、もうすぐ4年が経過します。性の価値感を共有するWebサービス、性にまつわるオンライン座談会、セックスレスxオープンダイアローグ等、色々やってきました。やってきたというよりは、結局どれもまだ芽を出せていないと言うべきかもしれません。「日本のセックスレスを半分にする」という目標にはまだ遠い現状です。

反省はし過ぎてもしきれないので一旦脇に置かせてもらい、今回は、①昨年進めたセクシュアル・ウェルネスアプリ日本版、②直近で始めようとしている「書くセックスレスカウンセリング」、そして③近未来のセックスレスサポート、この3つについてです。全てを書くと少々長くなりそうなので、このレス事業編は2回に小分けして、この記事では①を、次の記事で②③を記すことにしようと思います。


セクシュアル・ウェルネスアプリ日本版

結果からいうと、このアプリの芽を出すことはできませんでした。詳しくお話したいと思います。

どんなアプリか。

ざっくり言うと、セックスカウンセラー等の専門家が監修し、セックス、セクシュアリティ、パートナーシップに悩みを持つ人や、より高めたい人向けに、日常生活で実践できる具体的なセルフケア方法やパートナーとのコミュニケーション改善のヒントを提供するアプリです。

海外では既に、数種類のアプリが本格的にサービス化されています。一方、日本にはまだ存在しないため、輸入(より実際に即して言えば、摸倣)してみようと考えたのです※1。これまでは独自のサービスをつくろうとして上手くいかなかった、だからやり方から変えてみなければ、という思いもありました。

※1 実際は私個人で考えたのではなく、当時、ある縁で事業をコンサルしてもらえる機会を得て、その方達と共に考えた選択です。この方達とのことは、最終回の「仲間編」でふれる予定です。

お試し版アプリをスタート

そこでまずは、日本でニーズがあるか検証してみようということで、コンテンツを絞ったアプリを自作し(コードを使わないシンプルなもの)、2023年8月にお試し版アプリをスタートしました。

開発したセクシュアル・ウェルネスアプリ日本版(SWAjp)の
お試し版 トップページ(現在は提供終了)

ユーザーの声

このお試し版では、3ヵ月間で約50人の方が使ってくれました。当初の目標は、利用者のうち100名からサービスに対するアンケートをもらい、さらに20名に個別インタビューを実施することでした。しかし、アンケート・インタビューともに2件のみという結果でした。従ってまず、この種のアプリが日本人向けに有効かニーズがあるかを、客観的に確かめることは今回叶いませんでした。

それでも、快く応じてくれたユーザー2名へのインタビューでは、二人ともが次のようなフィードバックをしてくれました。

1、専門家が監修したアプリという点が、大きな利用動機となった。
2、一方、利用者にパーソナライズされたコンテンツを提供とあったが、ソウジャナイ感じがあった。自分の現状にあった役立つ情報はあまり多くなかった。

アプリ利用ユーザへのインタービュー結果要旨

なぜ刺さらなかったのか?

特に2点目のフィードバックは見過ごせないと感じました。まず、これを文字通り受け止めれば、利用者の悩み等に対応する適当なコンテンツを、より正確なアルゴリズムで(あるいはAIを利用して)、かつ豊富なコンテンツを揃えて提供すれば、満足してもらえるかもしれません。

また一方で、私自身が作りながら感じたことがあります。この手のデジタルなパーソナライズは、「あなたはつまりこういうタイプですよ」のような、人を無機的に選別してしまうような感覚を伴いました。悩みやモヤモヤを1枚めくった先の、本音の部分を理解しないまま対応するような感覚とも言えます。

仮に利用者の悩みも明確で、それへの対処方法が確立されていれば、アプリのデジタルな(ロジカルな)アプローチで問題ないはずです。しかし、現実では、少なくない人において悩みを整理すること自体がそもそも難しかったり、様々な方法ををトライ・アンド・エラーすることに迫られるわけです。

回りくどくなってしまいましたが、言いたいことは、私自身もこのアプリにいわゆる”ソウジャナイ感”を抱いてしまったのです。そして作った手前、周囲の人にこの何とも言えない心境を伝えることはできませんでした。

刺さるにはどうすればいいか?

アプリという、場所・時間を選ばず、人に知られず自分で対処できるといったコンセプトはよいと感じています。ただ、「人の手ざわり感」が足りていなかったのだと捉えています。改善点としては例えば、体温をもって利用者をきめ細やかにガイドするような役割や、丁寧に利用者に伴走するような要素を付け加えるといった点があると思われます。

じゃあ具体的にどうやって?というところで、どうにも行き詰ってしまいました。そして、このアプリに関しては一旦歩みを止める選択をしました。

この先、まずは対個人から

今現在の心境、方向性として、このアプリをより良くする、また広い意味で対多数に提供するツールをつくることは一旦停止します。代わりに、個人の内側にある思いをとりこぼすことのない、「対個人」のアプローチに舵を切ることにしました。

では個人個人に対応するなら、「日本のセックスレスを半分にする」という旗(目標)は下すのか?―――下ろそうとは思っていません。もしもセックスを楽しむ人が今より増えたなら、もっと楽し気な日本になるに違いない。そんな根拠レスな確信が私から離れないからです(セックス=良いこと、と単一的に言うつもりはありません)。なので、対個人というアプローチを経るのは時間がかかるかもしれませんが、そのプロセスをたどりながら、目標ににじり寄っていきたい。今こう考えています。


今回は、昨年進めてきた、そして芽を出せなかったアプリ開発について記しました。ジュクジュクとした部分に触れるのはやはり易しくありませんね。。!

とはいえ、再び歩みを踏み出そうということで、次回の記事では、「セックスレス事業編」の続きを。これから始める書くセックスレスカウンセリング、そして近未来のセックスレスサポートの2つについて、数日中に記す予定です。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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