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性科学を学ぶ-その7-セックス・ポジティブ

今回は、『Sexology the basics』の1章 性科学とは何か?から、『セックス・ポジティブ (Sex Positivity)』を学んでいきます。



≠セックスはよいこと

「セックス・ポジティブ」という言葉そのもので捉えると、セックスすることは素晴らしいとか、もっとセックスについてオープンに語ろうというように、セックスや性的なものを肯定的に捉えよう、あるいは前面に出そう、という響きで理解してしまいがちです。

しかし本文を読み進めると、こういったことを指す言葉ではないようです。


セックス・ポジティブとは

「Sex Positive」の著者、ネフ博士によると、次のことだと言っています。

 セックス・ポジティブな関係とは、パートナーが、評価や罪悪感、辱めを受けることなく、互いの選択や決断をサポートする関係です。
 セックス・ポジティブな関係では、自分の性的アイデンティティや表現について謝る必要がなく、他人に実害を与えない限り、性的に望む人間になり、性的に望むことを何でもすることができます。
 セックス・ポジティブな関係では、あなたは今、自分の性的身体全体を無条件に愛する許可を持っています。

Neff. K著「Sex Positive」より(「Sexology the basics」[1]より引用(DeepL翻訳))

ちょっと抽象的かつ、日常であまり意識する場面が少ないせいか、わかりずらいです。なので、あえて反対の状態、「セックス・ポジティブでない」状態をみてみます。


セックス・ポジティブでない、とは

  • パートナーに対し、君って〇〇なんだねと評価したり、罪悪感を持たせる言動をしたり、非難したりすること。

  • 自分自身の性的アイデンティや性的表現について、申し訳なさを感じること。

  • なりたい性的な自分になれない、性的に望むことできないこと。(あるいは、そうなれた・できたとしても、他人に被害を与えること)

  • 自分の身体の性的側面を一部だけを受け入れてたり、全く受け入れていないこと。(あるいは受け入れるには何らかの条件が必要なこと)

このように逆からみてみると、セックス・ポジティブがどんなものか少しずつ見えてきた気がします。


あらためて、セックス・ポジティブとは

ここからは自分の言葉で考えてみます。

セックス・性には、ポジティブ・ネガティブ両方の側面が現れます。前者は、心身的な快楽、愛情、リラックスといったもの(もちろん他にも)。後者、ネガティブな側面は上で挙げたような、相手からの言動で傷ついたり、被害を与えたり、あるいは自分は性的におかしいのではと感じる自己否定等があります。

従って、仮に「すべからく性やセックスはよいこと」がセックス・ポジティブの意味であれば、無理が生じます。そもそもネガティブな側面を内包しているからです。そうではなく、セックス・ポジティブとは、性やセックスのネガティブな側面を引き起こさない行動や言動をすること、と言えると思います。

そうすることで、ネガティブになりうる側面がプラマイゼロ付近になり、さらに本来のポジティブな面と合わせることで、セックスや性を、誰とでも、あらゆる場面で、ポジティブなものとして体験しやすくなる。このためのセックス・ポジティブなのではないか。

一見、セックス・ポジティブというと、自分とは関係のない意識高い系の人々の唱和に聞こえがちです。そこで、「パートナーとのセックスの負の側面を減らし、ただ楽しむ!」と捉えてみると、多少なりとも身近な言葉になってくれるのではないか。このように考えました。

最後までお読みくださりありがとうございました。次回は『性科学と障がい』について学んでみます。

参考文献
[1]Silva Neves 「Sexology the basics」Routledge社

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