#ドライブ
【ショートストーリー】27 星空を君はみたか
誰にもありそうな話だけれど、僕らの話も凡庸でありふれて、振り返れば赤面するような大学生の同棲生活だった。
君と出会ったのは共通のゼミだったね。
もう何を学んだかなんて全く覚えていないけれど、君がいつもギリギリに研究室にやって来る姿を思い出す。考えてみると、話す前から僕は君のことがすでに好きになっていたっけ。
今は花見なんて簡単には行けない世の中だけれど、当時はゼミ仲間で花見をしたね。
二
【ショートストーリー】15 メタセコイアの提案
秋晴れだった。見通しのよい直線の道路で、風が変わった気がした。僕はあかりに呟いた。
「ねぇ、あかり。次にすれ違う車の色で、これからのこと決めよっか」
「え、何それ。そんなことで私たちの未来を決めていいの?」
「そんなこと?運命とか宿命とか信じるんだろ?だったらもう未来は決まってて、この賭けだってデキレースだよ。最初から決まってる」
ロードスターは、二人を乗せてその低い車高からいつもとは違う緑の