#小学校の先生
【ショートストーリー】33 グラデーションの世界を
春の雲をかき分けるようにヘリが飛ぶ。
新しい生活、新しい仕事。夏海の心に配された期待と不安の比率が日々変動していた。
「A小学校の校長の佐久間です。町田夏海さんの携帯でよろしかったですか?」
女性の柔らかな声だった。
「あ、はい。町田です。お世話になっています」
「今年度から本校で先生にお越しいただけることになって本当に嬉しく思います」
「こちこそどうぞよろしくお願いいたします」
「早
【ショートストーリー】11 銀の翼で翔べ
銀世界の住人になって一年。亮太は、ジュニアサイズのスキージャンプ台にいた。
南国育ちの亮太にとって人生最大のまさかだった。初めて赴任した山奥の小学校でスキー部の顧問になるなんて。しかもアルペンスキーでもクロススキーでもなくスキージャンプ部だ。
「おーい、いいぞ」
亮太が合図をすると、六年生の彰矢が前屈みから踏み切り、見事な飛行姿勢を保ちランディングに至る。冬のはりつめた冷たい空気に、着