【本要約】モヤモヤを言葉に変える言語化講座
家族や友達とは何も考えずに会話やLINEができるのに、仕事の文書やプレゼンの原稿を書くとなると苦手意識を感じてしまうことはありませんか?
私がまさに、そうでした。
新卒一年目の方であれば、社内へのメール・社外へのメールを一通書くだけでも時間がかかってしまう、ということもありますよね。
先輩にメールの本文を読んでもらうと、差し戻されて、再度書き直し。
なんてことは、私はほぼ毎日経験していました。
最近では、生成AIの進歩により、そんな悩みはなくなるという話を聞くこともあります。
生成AIに入力するプロンプトを工夫すればお手本のような文章を教えてくれますよね。
では「言語化力を磨く」という努力は不要でしょうか。
答えはもちろんノーだと思っています。
AIが出力する文章は、テンプレートのように、参考になる点がありますが、本当に伝えたいことは、自分自身で考えて、言語化していかなければ相手に伝わりません。
むしろ、AIによる文章があふれるなかで「自分らしさ」を感じさせる言葉を使う能力は、ビジネスパーソンにとって重要な能力となると考えています。
相手のことを考えて伝えていく言語化力を磨いていくと、人生も、周囲の人との関係性も豊かになっていきます。
本書を読んで「できそう」と思ったところから気軽に実践してほしいと思っています。
言語化力の基本の「き」
なぜ「思いや考えていること」が「言葉」にならないのでしょうか。
言語化力とは「何か」を「言葉」に変える力のこと
その何かとはあなたの頭の中にあるイメージ、思い、考え、感情などを指します。
しかし、それは必ずしも簡単にできることではありません。
今の日本人は、平安時代の人の一生分、 江戸時代の人の1年分の情報を1日で受け取っていると本書では紹介されています。
脳内にこれだけ情報が入り込んでいるなかで、的確な言葉を選び出して、相手とのコミュニケーションを図っています。
平安時代の人の一生分の情報に対する決断を1 日でやっていると考えれば、言語化がいかに大変なことかわかっていただけると思います。
モノの名称を正確に言う癖をつける
言語化とは、思いを言葉にすることです。
だとすれば、たくさんの言葉=語彙を知っている方が、 思いが正確に伝わりやすいですよね。
単に「お味噌汁」と書くのではなく「ワカメとえのきの味噌 汁」と書けば、伝わり方が変わります。
モノの名称を正確に書くだけで語彙力が増しますよね。
ふだんからモノの名称を正確に言うことを心がけてみましょう。
たとえば「ラフな服装」を、「ベージュのチノパンツに白のスニーカー、GUの少しオーバーサイズのパーカー」と表現したとします。
そうすれば語彙力に変化が現れる。
「ヤバい」をどう表現するか
語彙とは、絵の具の色のようなものです。
さまざまな色を持っていれば、自分の心情にぴったりの色を選んで絵を描くことができますよね。
言葉も同じです。
さまざまな言葉をもっていれば、自身の気持ちがより正確に、感動をもって人に伝えることができます。
「ヤバい」のように、感情を一言で済ませてしまえる言葉は、怠け者の脳をつくってしまいます。
人によっては「ヤバい」しか言わない人を「語彙が貧困すぎて、コミュニケーションの取りようがない」と捉えてしまう可能性もあります。
そうならないためには、「ヤバい」をうまく利 用して語彙を増やしていけば大丈夫です。
「ヤバい」 と叫んだあとすぐに「なぜなら」と理由をつけることです。
「なぜなら」とつけるだけで、その 理由を考えざるをえなくなります。
「このシフォンケーキ、ヤバい!なぜならフワフワだから」といったように。
「ヤバい」や「ウザい」でなんでも片づけるのは便利ですが、その便利さが「言語化力」はもちろん、生きる力、考える力を奪ってしまいます。
他者の視点で表現する
表現力を高めるためには、自分の視点だけでなく、他者の視点を持つことが重要です。
人は自分と関係のある話を好みます。
そのため、プレゼンのような場では聞き手中心の話し方をすることで、相手とつながることができます。
また、企画を考える際や会議で話す際は、上司の立場、得意先の立場、ライバル社の立場と、視点を変える力をもつことで、厚みのある話ができるようになります。
その上で意識したいのは、重要な結論は相手に言わせないということです。
「この仕事は、ぜひ、あなたに......」ではなく、
「この仕事は、ぜひ、あなたにやってほしいんだ」と
最後までしっかり言い切る。
親子や友達のように仲が良い関係であれば阿吽の呼吸で伝わるかもしれません。
だが、そうでない人に対しては通用しません。
「一文を言い切る力」を身につけましょう。
「魂を揺さぶる言葉」と「守りの決めゼリフ」
プレゼンやスピーチで、聞く人の魂を揺さぶるような決めゼリフが言えればすばらしいですよね。
魂を揺さぶる「決め言葉」は、多くの人に刺さる言葉である必要があります。
聞く人が自分ごとに思えるように、抽象度の高い言葉を意識することが大切です。
一方で、守りの決めゼリフも必要となります。
現在、言葉をとりまく環境はとてつもなく厳しいです。
自分の言葉がどのように切り取られ、拡散されるかわからない時代ですよね。
不用意な発言をするくらいなら、なにも言わないほうがいい場面はたくさんあります。
どんな質問をされても、「ブリッジング」のテクニックは知っておいたほうがいいと思います。
ブリッジングとは、どんな質問をされても
「それは難しい質問ですね」
「それは違います」
といった守りの決めゼリフに橋を架けることを意味します。
何も答えたくない場面ではこの手法が役に立ちます。