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Serendipity
2020年9月2日 21:36
「明暮くん、メールの一つも作れないの?」壁は黄ばんで所々にヒビも窺えるオフィスの空気は、真夏にも関わらず一瞬で凍てついた。あまりの唐突さに自分の胸にジャックナイフが刺さっていることさえ認識できなかった。脇からは一筋の汗が垂れ、白いワイシャツに辿り着くと、吸い尽くされた。「すいません。すぐ直します」出社一日目は最悪の形で幕を開けた。家に帰って黒の戦闘服を身に纏ったままベッドに倒れ込