佐々木聡 リアライズ・プロセスデザイン

デジタルトランスフォーメーションの定義が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良…

佐々木聡 リアライズ・プロセスデザイン

デジタルトランスフォーメーションの定義が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」だったらDX歴30年くらいになるのかな?

マガジン

  • 信用の創造

    仕事の中で、大切にしてきた価値観についてまとめます。プロジェクトを成功させるために、異なる意見を取りまとめる調整をしてきましたが、意見が異なる背景、それを乗り越える考え方について整理しました。

  • 変化と思想信条 〜 スピリチュアルレフトの観点から 〜

    アメリカの政治体制の中で「スピリチュアルレフト(精神的左派)」という有権者層?に興味を持って調べながら、組織の変革について考えたこと。

最近の記事

組織の経済学(新制度派経済学)

新制度派経済学(通称:組織の経済学)について、どうして関心を持ち、期待しているのか?という観点から少し述べてみます。 新制度派経済学とは?・・・現在進行形で研究されており、定義にも広がりがありますが・・・特長は「経済合理性を ” 制度 ” を切り口に分析する」点にあります。単純に「どの制度が優れているか」の比較だけでなく、環境条件とのマッチングを評価しますが、そこに信念体系(慣習や信仰などの文化)まで考慮されている点に、ぼく自身は大きな感銘を受けました。 ある地域でうまく

    • 文系と理系の判断基準の違い(3)

      ここまで「文系と理系」の異なる特性について解説しましたが、現実の社会は価値観が多様で、個人差もかなり大きいと思われます。(文系出身のプログラマー、理系出身のセールスマンも大勢いらっしゃいますし・・・) いずれにせよ、見解の相違を安易に「敵/味方」といった関係に結びつけると、適切な意思決定が難しくなります。これを乗り越える際の「障壁」について、いくつか確認しておきます。 1.観点や受け止め方が異なれば、評価は正反対になり得る。 アルキメデスが湯船の中で「ひらめいた」時に叫

      • 文系と理系の判断基準の違い(2)

        (1)で「自然科学(理系)は確実性、社会科学(文系)は可能性」を優先する傾向について整理しました。更に違った角度(トレードオフの存在)から、判断基準への影響について考えてみましょう。 (2)では「機械学習プログラムの性能評価」について取り上げます。この分野では、偽陽性と偽陰性などの相互関係が「混同行列」と言う形で整理されています。性能を評価する指標(正解率、適合率、再現率など)はそれぞれ以下の数式で表されます。 ここで注目したいのは「正解率と適合率の ” トレードオフ ”

        • 文系と理系の判断基準の違い(1)

          プロジェクト管理における判断(できる/できない)は担当マネージャーによって見解が分かれることがあります。スケジュール、予算、技術的な制約など、根拠は様々ありますが、ここで注目したいのは、いわゆる「文系と理系」の考え方の違いが、判断に影響を及ぼしている可能性です。 この問題について、まずは統計学の「仮説検定」から検証してみます。 コロナ禍のPCR検査で「偽陽性」という言葉を耳にされた方は多いと思います。統計学では「判定ミス」の種類を以下に分類することができます。 ・偽陽性

        組織の経済学(新制度派経済学)

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        • 信用の創造
          6本
        • 変化と思想信条 〜 スピリチュアルレフトの観点から 〜
          5本

        記事

          エントロピー増大は一方通行のドア

          プロジェクト管理には必ず「できる/できない」の判断が伴います。全体について、或いは部分的にでも、与えられた条件では「できない」と判断せざるを得ないケースも出てきます。 いくつか理由を挙げて「できない」旨を伝えたところ、担当を外されたこともありました・・・もちろん、必要なリソースの調達や、仕様の見直しなどに協力して頂いたケースもあります。様々な(大人の)事情から、調整を進めること自体にストップが掛かったこともありました・・・。 関係者の合意を形成する手段のひとつに、目をつぶ

          エントロピー増大は一方通行のドア

          鹿狩りの寓話

          「シカを待ち伏せしている間に、ウサギが何度も姿を現す。そこでウサギを捕まえてしまうと、シカは姿を見せなくなる。シカを捕らえるためには、猟師同士が協力して待ち伏せしなければならない」・・・ルソーの「鹿狩りの寓話」をゲーム理論に展開したものが、こちらの図になります。 シカを捕まえた報酬を(山分けして)5点とします。猟師にとっては「シカ5点 X シカ5点」と「ウサギ1点 X ウサギ1点」のふたつの最適戦略(ナッシュ均衡)が存在します。 相手がウサギを捕まえて帰ったのに、自分だけ

          変化と思想信条についての個人的考察(まとめ)

          アメリカの政治について学んだことで、自分自身の政治的スタンスを(なんとなく)把握できたので、改めてノーランチャートで確認してみました。 経済的自由について:新しい技術の開発や導入など変革に積極的であり、既存のルール見直し(規制緩和)を望む立場であるが、それによって生じる格差については是正が必要と考える。 個人の自由について:基本的には自由を最大限に尊重したいが、安定した社会や組織を維持するには秩序が必要であり、そのために一定の制約を設けることには賛成である。 ・・・ と

          変化と思想信条についての個人的考察(まとめ)

          「変化と思想信条」について学んだこと

          昨年の春先まではアメリカ大統領選に関心があったのですが、トランプ劣勢に伴うゴタゴタが起き始めた頃にはすっかり冷めていました。きっかけは、渡辺靖さんのこの2冊を読んだ影響だと思います。 アメリカの内政について認識を改めると共に、「ノーランチャート」で自分自身の(政治的な)立ち位置を確認できたのが大きかったです。 そもそもは「自由主義」について、混乱しがちな「政治的な自由」と「経済的な自由」を整理したくて、ハイエクから学ぼうとしました。(見事に深みにハマりました・・・)どうや

          「変化と思想信条」について学んだこと

          東日本大震災の想い出と、ある会社のIT化推進プロジェクト(プチDX推進)

          東日本大震災の発生時、ぼくは中国に駐在していました。 インターネットで津波のニュース映像を見ましたが、全く実感が湧きませんでした。やがて、枝野官房長官(当時)の会見は原子力発電所の状況を伝えるようになったので、仕事の傍ら頻繁にチェックして状況を見守っていました。 ぼくは社会人経験のスタートが、電力関連の事業部も抱えている大手電機メーカーだったので、過剰とも思えるキビシい品質管理、また「フールプルーフ」といった何重にも安全を考慮する設計思想を叩き込まれています。電源喪失は

          東日本大震災の想い出と、ある会社のIT化推進プロジェクト(プチDX推進)

          スピリチュアルレフト(精神的左派)について

          ある書籍で、アメリカ人の一部に「宗教的左翼」という政治思想があることを知りました。 「宗教的左翼」を検索してみると、「宗教的左派」で出てきました。 Spiritual Left で検索してもさほど情報は出てこないので、英語圏でもあまり一般的ではないのかもしれませんが、以下ふたつの寄稿がとても示唆に溢れていたので翻訳してみました。(記事のニュアンスと、宗教左派:Religious Leftとの区別を明確にするため、Spiritual Left の訳は「精神的左派」を用いまし

          スピリチュアルレフト(精神的左派)について

          “スピリチュアルレフト(精神的左派)”は彼らが見たい変化を起こすことができるでしょうか?

          アリエル・レヴィテス氏のRELIGION DISPATCHESへの寄稿(2017年)を翻訳しました。 私たちは皆、「宗教的右派」の草の根的な活動と、彼らが米国の政治生活で果たす役割について知っています。最近は「宗教的左派」が押し寄せるという予見が注目され、他の人々は、それは決して実現しない長く期待された政治的勢力だと論じます。しかし、もし私たちが「宗教的左派:Religious Left」を忘れて、その代わりに「精神的左派:Spiritual Left」に焦点を合わせたらど

          “スピリチュアルレフト(精神的左派)”は彼らが見たい変化を起こすことができるでしょうか?

          変化とスピリチュアルレフト(精神的左派)

          ウィリアム・ダグラス・ホーデン氏のHUFFPOSTへの寄稿(2017年)を翻訳しました。 立場宗教的右派により保たれている現代の世界観の対極には、スピリチュアルレフト(精神的左派)が存在しています。政治的左派との関係は、宗教的右派と政治的右派の関係に似ていますが、それよりも定義が不十分です。これら両極を妨げる原理的な違いは、歴史を利用して忠誠を命じるか否かにあります。 歴史歴史を記憶している者は、それを繰り返すように運命付けられます。 人類の惨めな歴史の物語は、収奪と受

          変化とスピリチュアルレフト(精神的左派)