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「やがて森になる」 小谷ふみ

切なさと悲しみをまとった言葉に
読みながら涙がこぼれた。
悲しいことがあっても
それでも日常は続いていて
ふとした時に幸せを感じたり笑ったり

心の中の静かな湖を感じる文章
本の中に「心にある宝物は、ただ心に在るというだけで、
その瞳にきらめきをもたらす」とあった。
過ぎ去った日々、時間は、どれも宝物のようで、
小谷さんが紡ぎ出す言葉の旋律と響きが、
読む側にも、きらめきをもたらしているように感じられた。

心にある宝物・・
綺麗ごとに聞こえてしまうが、
いいことも、そうでないことも、
過ぎてしまえば経験すべて宝物・・
そう思えるようになった自分が不思議。
その時その時真剣だった・・証なのかな。

「よりそうつきひ」を続けて読む。

「沈黙のヴァイオリン」に
登場するヴァイオリンのお爺ちゃん先生がとても魅力的。
「小さめのヴァイオリンそっくりの妖精が そのまま年を召したような」先生。
その先生の言葉の数々から
想像しただけで 会ってみたい 聴いてみたい と思う。
願わくばお話したい・・

・・本の中から・・

「肩に力入りすぎ。フフ」
「呼吸してないね。ちゃんと息しないとダメダメ」
「脱線してもそのまま突っ走っちゃうね。アハハ」
「目で見たことを信じ過ぎちゃだめなんだよね。
目で見えることなんて、ほんのわずか。とっかかりにすぎない。
結局全然あてにならない」
「最後に あーだめかもと思ったときは
ブレーキを踏むんじゃなくて アクセルを外すだけなんだよ」

先生の弾く「きらきら星」は今まで聴いたどの音楽よりも
沈黙の美しい音色だった。
レッスン中 心が揺さぶられ 何度も涙が溢れそうになった。

・・・・・・・

こんなふうに
相手に寄り添い温かく導きのある言葉でレッスンできたら
きっと伝わる何かがある。

沈黙の美しい音色・・・心に伝わったもの

と、私は思った。

練習から得た思考はそのまま生きる思考に繋がっている。
生きるに必要なコツは音楽を奏でるコツと似ている。

力まず・・呼吸して・・耳を澄まそう
きっといいハーモニーが聴こえるはず。

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