音の旅人

音の世界で生きています。ゆるりと徒然・・心模様・・

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音の世界で生きています。ゆるりと徒然・・心模様・・

マガジン

  • 音の図書館

    何を読んでも音楽的思考になってしまう。好きな本、何度も読みたい本、大切にしたい本・・・本に纏わる徒然・・感想のようなもの・・

  • エッセイ

    ふとした瞬間に思い出す記憶の中の自分。記憶というタイムマシーンに乗って 当時の私に会いに行く・・

  • Selma

    Selmaの家族

  • さんぽ道

    私の散歩道。散歩で出会った風景・・心模様・・徒然

最近の記事

ロスト・ケア

映画「ロスト・ケア」を鑑賞。 親の老いと介護と・・・ 終始哀しい。 台詞がずっしり重く そしてとても深いところへ 観る人に問いかけてくる。 答えは一つではない 正解もない・・ なんとも切ない・・ そんな思いがずっと続く。 もし最後を選択できるなら 自分は何を望むだろうか・・ ・・・祖母を思い出す・・・ 今から30数年前の話。 実家では、祖母を在宅介護していた。 昼夜逆転していて、夜通し叫ぶこともあった。 「誰か助けてください。家へ帰りたいんです」 という祖母を

    • 本屋さんの魅力

      久しぶりの映画鑑賞・・イタリア映画「丘の上の本屋さん」 イタリアの美しい村の一つ、チヴィテッラ・デル・トロント。 舞台は、その村の丘の上にある古書店。 店主リベロと移民の少年エシエンは、本を通して心を通わせる。 本は好きだけど買えないという少年に、感想を聞かせてくれることを条件に本を貸出す。次々と貸出す本によって少年に叡智を授け 誰もが自由で幸せになる権利を持っていることを伝えていく。 隣のカフェのおちゃめな店員や古書店を訪れるお客さんとの会話に この村の空気と時間の流

      • 気になる人・・働く人

        出産でお休みしていた生徒が、 赤ちゃんも一緒にレッスンを再開する。 「時間は無いではなく、時間は作るもの」とよく言われるが、 彼女の時間の作り方は、幼少の時から天才的だった。 いつも関心し尊敬の眼差しでみている。 彼女は、自分の思い描いた将来の姿に向かって 自分のペースで、最大限の努力をずっとしている。 人の役にたてる仕事をしたい、生涯続けられる仕事に就きたいと 大学進学も在学中も、その道への準備を着々と進め、 卒業する頃には国家資格も取得。 仕事だけではない自分の世界を持

        • 夏至と満月と・・満ちる感謝

          昨日は夏至 そして今日は満月 私にとって夜明けと満月は宇宙との繋がりを感じる時間。 朝日の昇る速さはとても速い。 深呼吸している間にどんどん昇ってくる。 宇宙時間では、人生は、 一呼吸で終わってしまうくらい短いのかも。 時間は、とても貴重であり大切であると実感する。 夏至は人間の還暦ではないかな、などと思うこのごろ。 煌めく川に 自分の人生も煌めていた、いる、などと 善き時間を過ごしてきたと思える自分がここにいて嬉しく思う。 豊かに煌めく人生にしてくれたのは、音楽であり、生

        ロスト・ケア

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        • エッセイ
          9本
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        • Selma
          3本
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        記事

          昨日 母の誕生日だった。 母が生まれてすぐに 母のお母さんは病にかかり 母が1歳になるころ亡くなった。 お母さんを知らずに育つって、どんなかな・・ 今でも寂しさがどこかにあるのだろうと想像する。 母が幼子に見えるこの頃。 老いてゆくとは、不思議な現象だ。 すべてが幻だったようにも思える。 母とは お守りのような存在なのかな・・

          おとうと

          母の日に 弟から 「姉さんに」と薔薇をもらった。 小さな頃 私の名前を上手く言えない弟は「いっきーいっきー」と私を呼んで どこへ行くのも、後をついてきて、ずーっとおしゃべりしていた。 少し歳の離れた弟は、ケラケラと笑い声が可愛くて ほっぺたがお餅のように柔らかく触るとぷにぷにしていた。 今では、おじさんの風貌を通り越し、おじいさんのよう・・・にも見える。 それでも、やっぱり弟。可愛いよ。

          音の行方

          音とは、何か。 語りきれない世界がそこにある。 そして  音の行方もまた果てしなく・・・ 語りきれない世界がある。 ・・・・・・・・・・ ふつふつと湧いてくる考えごとと、それに纏わる思うところ ・・・・・・・・・・ 以前に読んだ「パリ左岸のピアノ工房」 プレイエルやベートーヴェンのピアノ・・ 数々の歴史あるかつての名器たち。 ボロボロの古いピアノが、職人の手によって次々と再生され 再びピアノに命を宿すまでの物語と それを取り巻く人々のピアノへの愛が書かれている。 ノ

          名画の休日

          クリムトの「農園の庭」 そして ゴッホの黄金の色?・・と いつも散歩道に現れる名画の世界 ハッとして、夢かと思ったり 美しさに、うっとりしたり そこに佇む自分が絵の中に入ったようで とても不思議な感覚。 ・・・・・ 先日 ある生徒のお家へ 教え子と一緒に遊びに行きました。 新しいお家と迎え入れたグランドピアノ。 弾き合い会のように順番に演奏し、 その光景はルノワールの「ピアノを弾く少女たち」のようで 現実とも違う、どこか夢の国にいるような、 とても幸せな空気に包まれていま

          名画の休日

          音楽の星へ

          先日の訃報の朝 「死は神様が別の場所に導いてくれる出来事」          ・・フジコ・ヘミングの言葉 ・・・・ 昨年のリサイタル、歩行器を押して舞台に上がり 身体は一回り小さくなった印象だったものの 演奏する音には生命力があり、 また聴く機会が今年もあると思っていました。 訃報を聞いて、 動揺と会えない悲しみと、心が少しざわつきました。 音楽の星へ旅立ったフジコさんのご冥福を 心からお祈りいたします。 ・・・・・・ フジコさんと私の恩師は、レオニード・クロイツ

          音楽の星へ

          束の間のクロイツェル

          桜色の雪化粧・・・ 微かに 小さく  さよならを告げる 白い花びらたち 束の間のさくら ・・・・ 久しぶりに ベートーヴェン作曲のヴァイオリンソナタ第9番 クロイツェルを聴く。 最高傑作ともいわれ、かつて私も虜になり練習した曲。 寝ても覚めても、クロイツェルのメロディが頭の中を 駆け巡っていた10代の頃。 ヨーゼフ・シゲティとクラウディオ・アラウの演奏を聴きながら 小さくサヨナラが聞こえ 記憶の中の思い出が、走馬灯のように駆け巡ります。 トルストイの短編小説は、

          束の間のクロイツェル

          希望の葉の奇跡

          この春から姪が大学生に✿ いつの間にか 大きくなり いつの間にか 芸術に目覚め いつの間にか 音楽の道へ進む。 一番驚いているのは、私かもしれない。 「お祖父ちゃんも、喜んでいると思うよ」 潜在意識の中にも、遺伝ってあるのかな・・ 奇跡のような話。そして希望でいっぱいの春。 ・・・・・・・ 先週・・・ フォーレの作品が課題になった生徒へ フォーレの人柄や作品などについて話ながら、 CDをいくつか貸し出す。 その中の一枚に「夢のあとに」が収録されている。 奏者はチェリス

          希望の葉の奇跡

          生き方・学び方

          時代に関係なく 自分に目覚め 自分の人生を歩む 猪爪寅子 ・・・初めてNHK朝ドラを初回から観ました・・・ 寅子よ、突き進め・・と、応援している私。 ・・・・ 私が育った昭和時代は、女子は高卒、短大卒が多く、 卒業後は就職し、お茶にお花にと花嫁修業、 そして寿退社が多かったように思います。 でも、私は寅子と似ていて、花嫁修業に興味がわかず、 お互いの人生を尊重しあえる相手がいい・・と、 心のどこかで思っていました。 大正生まれだった父も 「自分の人生を歩め」と言っていまし

          生き方・学び方

          時が運んでくれたもの

          ベートーヴェン作曲の「エリーゼのために」は クラシックに興味のない方でも、 はじめのフレーズは耳にしたことがあるのではないだろうか。 私とエリーゼのためにとの出会いは、小学2年生のころ。 思えば・・・ ベートーヴェンへの恋の始まりでもあったのかもしれない。 子供の頃に弾いたという人は多い。 「私も弾ける」「私も弾いた」・・などと、 子供が弾く簡単な曲というような解釈では、あまりに悲しい。 また、音符を並べ、強弱をつけ・・ただ鍵盤へ楽譜を写したような 弾きぶりでは、もったいな

          時が運んでくれたもの

          陽だまり

          ものの芽のひとつひとつにこころざし              伊藤敬子 陽だまりに包まれるモクレンに 友人からの句を思う。 気持ちのいい朝 気持ちのいい一日の始まり ・・・・ 居心地がいい・・と、思える人 居心地がいい・・と、思える場所 そこは  寄りそう言葉や空気に包まれている。 陽だまりのような存在。 ・・・・ 庭掃きをしていると「おはよう」と 朝の陽だまりから生まれてきたような 黄色いトンガリ帽子をかぶった友人。 一瞬陽だまりの妖精に見えた。 私には、年上の

          記憶の中の恋し食べもの

          ポンコツでも元気で、健康・・と思える自分が嬉しいこの頃。 休日とは休む日。 休むとは、完全に日常や仕事から離れること・・と、 何かで目にしたことがある。 なので、せめて音楽に関係のない本を休日に。 森下典子著の「こいしたべもの」 森下さんの本を読んでいると、湖畔の別荘にいるかのように、 静かに落ち着いてくる。静かな休日が、さらに静かになる。 世代が同じくらいなので、載っている食べ物は、 知っているものばかり。 書かれたイラストを見て、味も鮮明に覚えていることに驚く。 味も

          記憶の中の恋し食べもの

          神様の手帳

          小川洋子著の「博士の愛した数式」から 「自分が生まれるずっと以前から、誰にも気づかれず そこに存在している定理を掘り起こすんだ。 神の手帳にだけ記されている真理を、一行ずつ書き写していく ようなものだ。その手帳がどこにあって、いつ開かれているのか 誰にもわからない」 「数学の真理は、道なき道の果に、誰にも知られずそっと潜んでいる」 「神様の手帳だけに書いてある」 神様の手帳・・・美しすぎる響き・・・ 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 20年ぶり?くらい

          神様の手帳