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ロスト・ケア

映画「ロスト・ケア」

親の老いと介護と・・・

終始哀しい。

台詞がずっしり重く
そしてとても深いところへ
観る人に問いかけてくる。

答えは一つではない
正解もない・・

なんとも切ない・・
そんな思いがずっと続く。

もし最後を選択できるなら
自分は何を望むだろうか・・

・・・・・・・

今から30数年前の話。
実家では、祖母を在宅介護していた。
昼夜逆転していて、夜通し叫ぶこともあった。
「誰か助けてください。家へ帰りたいんです」
という祖母をおぶって、夜中に庭を一周する父。
「家についたよ」とベットにおろすも、
数分後再び「家へ帰りたい、帰りたい」という祖母。
それでも、穏やかに話せるときもあった。
家族が交代で徹夜し、家族の誰かが一日祖母を見守る。
そんな日が数年続いた。
ある日、洗濯を終えた母が庭から戻ると
祖母は玄関から転落して、頭を打ち、血だらけで倒れていた。
ほんの一瞬の間に徘徊していたのだろう。
救急車と警察がやってきて、家族は事情聴取を受けた。
祖母はその後搬送された病院で介護生活を送り
子供の顔も、孫の顔もわからなくなって・・・2年後亡くなった。
93歳だった。
父は祖母を看取った翌年亡くなった。68歳だった。
あれから30年経ち、
88歳になった母は、数分前のことを忘れるようになった。
夫の両親も90代半ば、2人とも介護が必要になった。
そして夫は65歳。夫もまたちょっと心配。
・・・・・
言えることがあるとすれば・・
周りの人の言葉が 家族を追い詰めることもある。
そしてそれが心を閉ざすきっかけになる。
・・・・・
重い映画だったけれど、観てよかった。