これからの外国人人材の役割

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はじめに

最近多くの方々と海外事業についてよくお話させて頂く中で、IT関連を中心に欧米企業だけでなく、中国企業、韓国、台湾企業などのアジア勢にも日本企業が戦略や競争力で負ける場面が増えていると、よく皆様からお聞かせ頂く事が増えてまいりました。

ITなどはプラットフォーマーが欧米企業や中国・アジア企業中心になってきているので、そのようなイメージにもなりますが、ではなぜ彼ら欧米企業やアジア各国の企業は日本企業を凌駕する勢いで成長しているのでしょう?

それは、彼らの強みの一つに多国籍を受け入れてきた企業風土があり、長年の「多様性を受け入れて来た結果」であると言えます。

多様性を受け入れる

日本企業は、すでに海外拠点を持ち、現地で販路を展開、構築している企業は「多様性を受け入れてきた企業」で「多様性を受け入れる組織」として、現地においても発展していっていますが、そうではなく、日本向けの輸出加工を中心に海外拠点を構築している企業においては、「多様性を受け入れる」ことが組織的にも人材的にも必要な課題となっています。

一方、前述した欧米企業や中国、韓国をはじめとするアジア新興企業は、多くの人材を世界中から獲得して、自社の組織にフィットさせて能力を短期間で最大化できるようにしています。


これにより、世界中から多様な才能と技術を持った人材を募集、又はスカウティングすることができ、その人材達からもたらされる多くのマーケット情報やネットワークを得ることができるため、新興市場競争を優位に進めることができています。

一方、日本企業は、日本人だけで構成されている事がほとんどで、まだまだ外国人は少数であるばかりか、主要な任務を与えられていない事がほとんどです。大半の外国人は主要なミーティングに参加する事ができず、ほとんどは日本からの駐在員が主導して進めています。

これにより、いわゆる「ガラスの天井」と呼ばれる「努力では超えられない壁」が存在する事をローカル社員達は認識してしまい、できる人材は自分の能力を評価してくれる企業を求め、自分の能力に自信を持てなかったり、競争を嫌う人材はそのまま残留する傾向があります。

この傾向は、最近ではベトナムで多く聞かれるようになりました。これは日本企業のグローバル環境における直近の課題と言えます。

最近

ただ、最近では少数の中小企業や大手企業でも外国人エンジニアや幹部の登用や活躍により、海外への展開力を身につける日本企業も増えてまいりました。

言語障壁を取り払うことに成功した企業もあれば、経営者が海外志向で、積極的に外国人を早期に採用し、自社で育成する仕組みを構築することにより成功するなど、実は20年前とは隔世の感があります。


明治時代、日本は欧米から積極的に外国人を招聘し、国内人材育成に充てました。平城・平安期、日本は当時の大国中国と積極的に交流し、多くの物産や文化、建造物などを日本にもたらすことに成功しました。戦国期も織田軍団を強くしたのは、南蛮やアジアとの貿易や、武士とは異文化の価値観を持つ商人を重用した事です。

このように、日本、及び日本企業は外部から外国人人材を招く、又は海外に通ずる日本人を採用し、組織を変え、在留人材を育成することにより大きく飛躍してきた歴史があります。

今後・・・

この20年、外国人の役割は専ら日本国内の生産性確保の助っ人であり続けましたが、今後の役割は、国内の重要な助っ人だけでなく、海外展開のパートナー、そして海外拠点を任せていける幹部人材や滞在する技術者として活躍してもらうフェイズへ移行したのかもしれません・・・

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