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「個性的な接客」と言いますが、個性的な接客を求めるべき店ですか?《販売力向上講座note》

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求められる個性的な接客

接客や販売に関する仕事をしているとよく耳にするのが、『個性的な接客』といった言葉です。

販売員って個性を求められることは少なくありません。
それこそ会社によっては(店長によっては)、

「もっと個性を出そうよ」
「あなたの個性って何?それがお客様に伝わって初めて顧客ができるんだよ」

みたいな話をされることもあります。

言っていることはわからんではないです。
僕も研修やコンサルを通して、そういう指導をせざるを得ないこともあるにはあります。

ただ、そもそも「個性いるか??」と立ち返っておかなければならない場面に遭遇することもあります。
ここってちゃんと考えておかないとむしろ破綻してしまうんですよね。

ということで今回は、接客販売の仕事においての『個性』について考えてみます。

個性がいる店、いらない店

いきなり結論になってしまいますが、接客や販売における『個性』は必要な店とそうではない店があります。
この判断を見誤ってしまうと、個性が邪魔なだけのものになりかねません。

接客業に関しては、多くの場合、個性が求められますよね。
個性があればそれだけお客様の印象に残りやすくなり、再来店が見込める(だろう)、売れる(だろう)という考えのもとです。

確かに間違いではないですが、その一方で、個性を出すことでそれがお客様に敬遠される要因になってしまうこともあります。

たとえばわかりやすい例で挙げますが、百円均一のショップで個性的な接客って求められるでしょうか?
普通こうやって聞かれれば、ほとんどの人は「いらない」と思うはずです。
自分が客になった時のことを想像すれば、百均で個性を出されてもむしろ困ると思うでしょう。
それよりも、どこに何があるかをちゃんと把握してくれていたり、レジをスムーズにやってくれた方がはるかに良い。

じゃあコンビニならどうでしょうか?

コンビニ店員に関しても「個性はいらない」と思う人が多いです。
先の百均同様に、レジやサービスの処理を早くやってくれるかどうか、品出しをちゃんとやってくれているかどうか、とりあえず不快な思いをしないかどうかくらいしか求められません。

でも、これも業種や業態で一概には決められません。
百均にしてもコンビニにしても、個性があった方が良い店もあるからです。

たとえばコンビニの場合、地域に根ざすような立地に出店しているコンビニだと個性がある方が喜ばれる場合もあります。
近所のおじいちゃんおばあちゃんがよく来店されるような場所や、子どもたちが集まるような地域の場合はまさに当てはまりやすいでしょう。

こういう店だとむしろ淡々と接客されてしまうと不評を買いやすくなり、レジのスムーズさよりもお客様と会話がちゃんとできるような店員の方が評価を受け、再来店にも繋がりやすいわけです。

実際に僕が以前に仕事で入ったことのあるコンビニはまさにそういう店で、店員さんの個性があるからこそたくさんのお客様が来店されていました。(大手3社のうちの1社でしたが、全国で売上トップを取ることもあるくらいの店でした)

都心のビルに入っているような店でそれをやってしまうとむしろマイナス要素が大きくなりますが、同じコンビニでも店によって求められるものが全く違うわけです。

あなたの店に個性は必要ですか?

で、話を戻すと「あなたの店に個性は必要ですか?」ということです。

個性が必要かどうかは、店とお客様によって変わります。
ですから、きちんとお客様の層や雰囲気から判断をしなければなりませんし、自分たちがどんな店でどんな商品を売っているかも考慮しなければいけません。
その条件についても考えてみましょう。

①求められる要素

スピードやサービスの精度が求められているような店や商品(サービス)だった場合、基本的には店員の個性が求められる率は下がります。むしろ逆効果になることも。
反対に、懇切丁寧に接客をするような店で、スピードよりも質が求められるような店の場合は、個性を求められることも増えてきます。

②出店立地

立地によって同じ業態でも大きく求められるものが変わります。
客数が多い立地(駅ナカやオフィス街等)の場合は、個性よりも必要な水準をキープしてくれるだけで十分という見方もあります。
一方で客数が少ない立地の場合は、店員の個性によってお客様を惹きつけられることも増えてきます。
客数が多いかどうかだけではなく、商店街のような場所だと個性があった方が良い向きもありますね。

③来店客層

お客様の層です。
年代や性別といった括りばかりではなく、どんなお客様が多いかによって求められる品質が変わりますよね。
ここでも個性を求めるタイプのお客様かそうでないかは判断しなければいけません。求めていない人に個性を発揮するようなことが続くと、むしろ敬遠されてしまいます。

④提供しているもの/提供の仕方

これも大きなポイントです。
いわゆる商品やサービスがどんなものか、そしてそれをどのように提供しているかでも個性が求められるかどうかには影響があります。
均一を求められるような店(たとえばファストフードとか)では商品そのものや提供の仕方から考えても個性はいらないことの方が多く、その逆をいくような店の場合は個性があった方がお客様ウケも良くなりやすいです。


ざっくりとですが、以上の4点について自分の店がどうかを考えるだけでも個性が必要かどうかはある程度判断しやすくなるでしょう。

盲目的に「接客では個性が大事」と指導しがちな店長などもたまにいるのですが、それではお客様は喜びません。
あくまでも個性はお客様に求められるからこそ発揮するもので、均一にできる人を揃えることの方が大事になる店だってあるのです。

そもそも個性って何?

とまぁ、個性の要・不要について考えてきましたが、そもそも論として『個性って何?』という議題がありますよね。

これは答えを出すのが難しい問題ではあります。

『個性』とは字の通りで”個人”の”特性”のことですから、答えがないものだからです。
人それぞれ特徴がまるで違う中で、個人の特性を「これ」とはっきり言い切るのはとても難しい。

しかしこと接客や販売においては、ある程度形が見えてきやすくもあります。

代表的な販売員の個性と呼べるものといえば、

・知識
・技術
・人間性
・趣味/嗜好

が挙げられます。
もちろんこれ以外にもありますが、ことお客様と相対している販売員における個性となると、この4つの要素が大変を占めるわけです。

知識は扱っている商品に限らず、そのジャンルや業界に関してどの程度の知識があるか。
実を言うと、これはどんな人でも勉強して努力さえすれば身につけやすいものでもあります。
たとえ技術力が多少低くても、やたらと知識を持っているということであれば、それは大きな個性になり得るわけで、目指しやすい個性のひとつです。

技術は個人差も含まれてきます。
ある程度は努力して身につけることもできますし、そのある程度ですら身につけていない人は実際には多いために、個性として持てるものにはなります。
ただ、天才的な人ってたまにいるので、異常なほど会話が上手というような技術には敵わないこともあります。
でも目指さない理由はあんまりありません。むしろ技術を身につけることができれば、個性と呼べなかったとしてもお客様には喜ばれることは多いために、売れるようになります。

人間性については、なんとも難しいところがありますね。
わかりやすく”その人の魅力”になってくるところですが、ただ単に良い人であれば良いかと言われるとそうでもないこともあります。
昔から恋愛でよく言うような「ちょっと影がある人が素敵」みたいなことと同じで、人によって好き嫌いがものすごく分かれてしまうことです。
ただ販売員として考えるなら、基本は良い人、明るく元気な人が好まれるのは間違いないので、一定の水準は押さえておきたいところ。
それを超えて”個性”となってくると、よっぽどの人間的な魅力が求められてくるので才能に委ねられることも多いかもしれません。

そして、趣味や嗜好に関して。
これは自分の好きなものや大事にしているものなどが個性になっていくパターンです。
同じ好みをお持ちのお客様にはハマりやすく、共感が増えていくことが多くなるわけですね。これにより、顧客が増えるという場合も少なくありません。
自分が何が好きかも大事ですし、それに対してどの程度まで深く入れているか(深度)が重要になってきます。


とまぁややこしく書きましたが、実際のところその人の個性って、実は自分ではまず見つけられません。
僕自身もそうですが、「あなたの個性って何?」と聞かれたところで、「僕はこれです」なんて言えることってなかなか見つからないものです。

だから、ひとつだけヒントをお伝えしておこうと思います。
それは、『誰かに褒められたことを大事にしよう』ということです。

周りの誰か(同僚や先輩や後輩とか)や、お客様から、

「あなたってこんなところが素敵ですね」 「あなたの〇〇、いいよね」

などのように褒められたことを大事にしてください。
人から何の気なしに褒められることというのは、他の人には実はあまり無いものであることが多いです。
だから褒めてもらえるということであって、ここを伸ばすことができれば必然的にそれがあなたの個性にもなっていきます。

その個性の種を大事に育てることができれば、いちいち「私の個性ってなんだろう」と悩まなくても個性になるものが生まれてくるのです。

ということで、今回は個性が必要なのかどうか、そしてもし必要なのであればどうやって個性を見つけるかについてお届けしました。
気になることや、「もうちょっとここ教えて」と思うようなことがあれば、遠慮なくコメント欄までどうぞ!

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