つよがりの真意

「最近は何もないの?」
「ないよ、たぶん」
「たぶん?まあいいけど、可愛いのにね」
「のに」
「応援してる。俺でもなんとかなったんだから大丈夫だよ」
「俺でもとは。でも、このままでいくしかないよねと思ってて」
「なるほど」
「変われないところは変われない。だめなところがあることは分かっているけど、このままじゃないと、作るのは良くないなって」
「それはそうだ」

「前言ってた相手とは?」
「好きだった人のこと?忘れるようにしているよ」
「そうなんだ、でもそっちに行かないで良かった」

「久しぶりに会う人もいるけど、長い付き合いだけど、そこは…特に深い意味はないかなとは思う」
「そうなの?何かあるかもしれないじゃん」
「いや、そんなことないはず。仲はいいけど…」

「ごはん食べに行った人もいたけど、でもそれだけだし」
「そうなの?でも信頼できない人ならやめておきなよ」
「と言うよりそもそも恋愛にならないと思う、私とは。ものすごく年下だし」

「今日話したあの人は?」
「え?あの人?少し話しただけだし特に何も…」
「あるかもしれないじゃん、何か」
「いや、ないでしょ」
「なんで?強がるなよ。」

このやりとり自体がよく意味がわからないが、強がりなのか?
会う人会う人を恋愛対象として考えないといけないのかな…いや、そう受け取るのも飛躍しすぎか。

「あの人とは何もない、絶対ない」

この言葉は、「こちらから願い下げだ」の高望み的な意味ではなく。
もちろん自分で「ああ、恋愛にはならないだろうな」と友達スタンプを押すこともあるけれど
それより多い感情は
「私のことを恋愛対象として見る人などそんなにいるわけがないだろう」
「勝手に勘違いしたくない」
「自惚れたくない」
という安定の自己肯定感の低さに他ならないが。

強がりというより、弱いというか、そこを受け入れているのだが。
それもだめなのかねえ。

ポジティブな言い換えをして「引き寄せ」たりしないと、本当はだめじゃなかったものも「ないよ」に引っ張られてしまうとか?
ああ、ならば期待を少しして
本当はそうなったらいいなって人のことはもっと踏み込んで話すね。

あの人とは、できればどちらの結論になっても良い関係でいたい。
ずっと話せる間柄でいたい。
私はずっと人として好きだと思うし、
たぶん相手も。ただ、相手には多くの素晴らしい友人がいるから
私もその中のひとりのはずで、深い意味はない。
ないけど、そんな存在に会えたことは嬉しい。

もっと素直に?
恋愛は好きだけど、恋愛をしているときも幸せだけれど、
自信や自分を失ったり、怖がったり、常に不安で仕方がなくなったり、どう思われているか気になったり、自分の発言一挙一動を振り返って反省したり、ビクビクして自分を許せなくなったりしたのも 恋愛。
(好き→好きではない になる瞬間の別れが不合格スタンプを押された気持ちになる)
無意識に相手に合わせていたときは特に、どっと疲れる。
別れると自分を取り戻せて、とても生きやすくなってしまうこと。
相手のことより自分が大事なのでは?
自分自分ばかりだからそうなるのでは?
なのに自信がないの?わけがわからない。


ただそもそも、付き合って3年も5年も長く続いたことなどないのだから
「向いていない」または「まだ出会っていない」
それに尽きるのでは。

ならば無理をすることもないのでは。
恋愛しても、結婚しても、恋愛がなくて独身でも、恋愛はあるけど独身でも、
どれでも無理しないほうにいければ。

「気がついたらそうなっていた」って
結果的に選んできたもののほうが単に心地良くて自分を失わないからというのもあると思っている。


自意識過剰で会う人会う人に恋愛の可能性を探って「こいつ本気にしてるよ…こっちは最初から対象として見てないっつの」という男のキャラクターは妄想だが、
この人は私のことは好きにならないだろう
の気持ちで、最初から友達になったほうがいいんじゃないかとも。
悲しいことかもしれないけれど
恋愛が向いていないからといって人生に向いていないわけではないはずだ。

また好きな人ができればいいなとは思う。
今はちょっとふわふわしていて、
やっぱり自意識過剰になりたくないから
あってもなくても自分を取り戻していたい。

これまで、どうして私は選ばれないのかなあとか
どうしてうまくいかないのかなあとか
ベタなことを考えて堂々巡りになったこともあったが
もし長い間、もともと向いていないことを頑張っていたのならば
一度手放してみてもいい。
どちらになっても自分を失わないほうが、好きになれそうなんだ。

不思議。こんなに自分自分言っているのに
どうして自分のことを本当には好きになれない?
あの人のことと同じぐらいに自分を好きでいられたらいい。
その準備を。

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