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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2021年10月の記事一覧

岸田首相が引用した「アフリカの諺」の起源に関する問答 【「週刊だえん問答 #74」より】

「早く行きたければ、一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」(if you want to go fast, go alone; if you want to go far, go together)。岸田首相が所信表明演説で語った「アフリカの諺」。ウォーレン・バフェットやアル・ゴア、ヒラリー・クリントン、リチャード・ブランソン等が引用するなど、欧米ではつとに知られた一節だが、それは本当にアフリカのものなのか? データサイエンティストにしてエコノミストでもあるアンドリ

妻の仕事の都合でアフリカに引っ越してきたら、子育てがちょっと心地よくなった話。

東京からアフリカのセネガルに引っ越してきて、1ヶ月が経った。 妻のアフリカでの仕事の復職に伴って僕は仕事を辞め、セネガルという未知の土地で主夫をすることになった。 2人の子ども(4歳と1歳)と僕にとっては、はじめての海外生活。アフリカ大陸の最西端に位置するセネガルの首都ダカールは、子どもたちにとって何かあるようで何もない。 大好きだった公園も電車もおかあさんといっしょもアンパンマンチョコレートもマクドナルドもない。まだ幼稚園も決まっていなくて友達もいない。 日本と比べ

【ドイツを想う】第1回 どこでドイツを感じるか ~ドイツの空気~

宍戸里佳  私がドイツに住んでいたのは、1歳から小1までの5年半と、小5から中3までの4年間、それに大学卒業後の6年半です。合計すると、16年。つまり32歳の誕生日までは、「人生の半分以上がドイツ生活」という状態だったわけです。(それ以前、中3の途中で帰国してから19歳の誕生日を迎えるまでも、同様です。)  そんな私が「ドイツ」と聞いて思い起こすことは、まず第一に「ドイツの空気」です。ドイツの写真を見たり、テレビでドイツの景色を見たりすると、肌が反応し、かつて自分が包まれ

ダッチデザインウィークを振り返る

今年も行ってきました、毎年秋にオランダ南部のEindhoven(アイントホーフェン)市で開催される「ダッチデザインウィーク(DDW)」。今年はこの催しが始まって20周年ということで、例年より一段とパワーアップした感がありました。 会場は市内8カ所に広がっており、1日で回るのは到底無理。チケットは手首にがっちりリボンを付けてもらう形で、このチケットはDDWの開催期間中(10月16日~24日)ずっと使うことができます。オンラインで21ユーロ、カウンター購入で25ユーロと決して安

カナダの教育についてよく聞かれる質問に答えてみました!

こんにちは、カナダ、バンクーバーの公立高校で数学教師をしている梅木卓也です。今日はカナダの教育についてのウェビナーでよく聞かれた質問について書いてみたいと思います。 カナダの教育は州管轄って本当ですか?はい。これは本当です。カナダの教育は州の政府の管轄です。内容の詰め込みからスキルやコンピテンシーを重視する生徒主体の教育へと転換している僕の住んでいるBC州。 すぐとなりのアルバータ州では、逆行する内容の詰め込みや、多文化への配慮にかける白人中心なカリキュラムへと舵を切ろう

まるで双子の言葉!【マレー語】と【インドネシア語】

【マレー語】と【インドネシア語】 東南アジアのマレーシアで使われている【マレー語】、インドネシアで使われている【インドネシア語】。 島の多い2国ですが、ボルネオ島という島では陸続きで国境があります。 実は、この2つの言葉、本当そっくりなんです 一部の単語や単語の意味は違いますが、本当に一部。 マレー半島を中心に使われる言葉を大きくマレー語と言い、マレーシアの【マレー語】も【インドネシア語】もマレー語の一部です。 現在は【マレーシア語】をマレー語と呼ぶようです。 こ

アフリカは遅れている、は本当か

仕事のためにタンザニアのダルエスサラーム市に滞在している。ダルエスサラームはかつての首都であり(現在の首都は内陸部のドドマにある)、インド洋に面した同国最大の都市で、人口は500万程度と言われる。 私にとっては、エジプトを含めるならアフリカ大陸で3カ国目の訪問国であり、また渡航回数としては5回目なので、それなりにアフリカの国々の様子が、おぼろげながらある程度わかってきている状況ではある。 そういう目でダルエスサラームを見ると、人口約500万人の都市は、日本で言えば東京都の

発酵する東アジア〜台湾の発酵とキムジャン〜

奈良県にある里山文庫にて、ヤスダ屋と里山文庫がそれぞれの食のフィールドワークて学んだ東アジアの発酵をみなさまと一緒に作りながらご案内します。 今回は唐辛子と豆を使った発酵を軸にお隣韓国の冬の一大イベント1年分の白菜キムチを漬け込む『キムジャン』やカクテキ仕込みなどを通して韓国と日本の似て非なる食文化や発酵のお話や、まえだちさとによる台湾の豆の発酵やそのバリエーション。 そしてその活用方法まで、レシピだけでなくそれを取り巻く人々の暮らしを学びながら薬草に囲まれた里山文庫で3

世界を変える美しい本

日本から6000キロも離れたところ、南インドにあるタラブックスという小さな出版社。 そこではハンドメイドの本が作られています。 手漉きの紙にシルクスクリーンで印刷し、製本まで全て手作業で仕上げられた、まるで工芸品のような美しい本の数々。 『世界を変える美しい本 〜インド・タラブックスの挑戦〜』 数年前、タラブックスの本づくりの全容を紹介する展覧会に足を運びました。その名を知らしめた『夜の木』という絵本をはじめとするハンドメイド本と、写真や映像などを通じた活動の展示です。

中国で民間企業が報道事業禁止になる件の中国での解釈はちょっと違うかも

最近日本の中国の報道やSNSでは中国の民間企業による報道事業禁止についての投稿や議論が多いですね。 これについて「やっぱり中国...」「もはや政府の広報がメディアの役割に」「新たな恐ろしい時代の到来」などとコメントしている人がたくさんいて日本での報道スタンスも含め正直びっくりしています。 でもこれって本当にそうでしょうか?ボクのフォローしている中華系SNSたちでも少しだけ議論が展開されていました。そこでは主に以下の4つの意見に分類することができます。 ・規制がますます厳

ガンジス川に人生を変えられた話

インド渡航回数15回、トータル滞在期間4年以上の私。初対面の人にそう言うと、よっぽどのカレー好きかインドに魂奪われた人間のどちらかにしか思われない。 インドに惹かれた要因は色々あるけど、全てのきっかけはガンジス川かもしれない。インドといえばガンジス川、といっても過言じゃないくらい、私の中でガンジス川の存在はでかい。 今日は、私が「インド」を語るうえでに欠かせないガンジス川についてお話ししたい。 私が初めてガンジス川に出会ったのは10年前。 フリーターだった19歳の冬、1

【推薦書リスト】世界史独学のための100冊

世界史を独学するにはどうすればいいか? ネオ高等遊民さん(note@kotoyumin)の記事を拝見して、「みんなの世界史」でもシリーズ本や全集を含め、100冊ほどの書籍をピックアップしてみることにしました。「なんとなくでOK」「受験のため」というのではなくて、ゆくゆくは専門的な書籍も読んでみたいというまじめな方向けの、まじめな選書でありつつ、高校生にも薦めることができそうな本を中心に選んでいます。 *** 選書の方針 世界史のカバーする範囲は、とてつもなく広い。個々の

「日本大好き」少年少女が日本の未来を救う

日本に住みたい海外に住んでいると、日本のいいところと悪いところが日本にいる時よりも目について、時に最高に鼻高々の気分になったり、時に「ダメだこりゃ!」と情けない気分になったり、その浮き沈みは結構激しい。なかでも政治に関して言えば、オランダとの比較で日本は完全に発展途上国だと感じることが多く、コロナ禍ではそのビジョンのなさと、決断の遅さと不透明さをまざまざと見せつけられた。 一方、オランダ人の間で、日本に対する評価は結構高い。特に旅行で日本に行ったオランダ人は、その素晴らしい

東欧テクノロジーの雄「モルドバ共和国」。 政府の徹底した税制支援と優れたIT人材、GDP10%を超えるモルドバICT分野の秘密に迫る!(1)

モルドバ共和国といってもピンとくる人は少ないと思いますが、ルーマニアとウクライナに囲まれた東欧の小国です。首都はキナシウ。公用語はルーマニア語。1991年、かつての旧ソ連崩壊とともに独立しました。面積は約3万3,600㎢と、日本の九州より少し小さいほどです。小高い丘や森林など多彩な地形に恵まれており、地の利を生かした農業が主要産業です。特に、日本ではワインの名産地として知られています。赤ワインで有名なニストレアナや世界有数のワイナリーが集まるコルドが注目されており、毎年、金賞