見出し画像

人口問題_概略

どうも!
セイタです!!
北京大学社修士課程で社会学を学んでいます。


この記事では、自分が北京大学で
どのような授業を受講したのか
・どのような授業の進め方なのか
・課題をどのようにクリアしていったのか
について執筆していきたいと思います。


対象としている読者は
・中国の大学に興味がある。
・社会学修士に興味がある。
・海外の大学院に興味がある。
方を想定しています。
もちろん当てはまらない方でも全く問題なく読める内容となっております。


自分は2023年春学期に
・応用統計講座(2コマ)
・ビッグデータマイニングとアナリシス(2コマ)
・経済社会学研究(2コマ)
・人口問題(3コマ)
・応用社会統計講座(3コマ・聴講)
聴講を除いて、計9コマ分を履修していました。


中国人の学生は12,13コマくらいの子が多かったですが、それは卒業年度にインターンや就活をするから、早めに単位を取り終えるためです。僕はインターンも就活も何もないので、高いGPAのために少なめにとっています。

この記事ではその中でも《人口問題(人口问题)》という授業について書いていきたいと思います。この授業の先生は僕の指導教官でした!!





授業概略

最初に授業の概略についてシラバスを参考に説明させていただきます。
以下、「授業開講の目的」になります。

『人口問題』は、社会学、人口学、社会保障、ソーシャルワーク、女性学などを専攻する大学院生を対象とした専門知識に関する講義・討論を行う授業である。 このコースの主な内容は、人口学基礎知識の紹介、人口規模の増加、人口推移理論、人口構造の変化、人口政策の変化と評価、人口移動、人口資源と環境、少子化政策の調整と改善、人口の長期的均衡発展、その他世界、国家、地域の社会経済発展に関連する人口統計学の主要問題などである。 上記のトピックには、過去に学者が注目した重要かつホットな人口問題や、近年社会全体が注目している最先端の人口動態が含まれ、関連する理論や方法についての詳細な議論や、実践や啓示についての体系的な考察、定量的な動態分析、定性的なトピック分析などが含まれる。

本コースの主な目的は、第一に、国内外の人口科学分野における最新の研究動態を比較し、体系的に理解し、人口科学研究に必要な基本的な研究理論と主要な分析方法を把握することである。 第二に、人口問題の様々なトピックに関する深い理解、交流、意思疎通を基礎として、現在および将来における国内外の人口問題の変化の特徴、方法、メカニズム、規則性を熟知・把握するとともに、世界情勢や国内情勢の変化に照らして、人口規模、構造、分布などの人口要因の動向や特殊性を検討・分析できるようになることである。 第三に、国内外の人口科学に関する研究内容を把握した上で、学生自身の知識や研究関心に応じて、レベルの高い学術論文を執筆し、学位論文執筆に必要な知識を蓄えることができることである。

以上がシラバスの内容です。
ざっくり言えば、授業名の通り、人口問題に関するトピックを網羅的に扱うます。





先生の経歴_陆杰华

次に先生の経歴について簡単に記述しておきます。この授業は陆杰华(Lu JieHua)先生により、開講されています。


北京大学社会学系


経歴は
・学部は遼寧大学(経済学)
・修士が南カリフォルニア大学(社会学)
・博士が北京大学人口研究所(人口学)
となっています。

修士号をアメリカで取得した後、ちゃんと母国に戻ってきてるようです(笑)
あと、専門が学部、修士、博士でばらばらのようです。



日本だとあまりないかもしれませんが、中国だと研究所で修士号や博士号を取る方も一定数います。たとえば、「中国社会科学院」という研究所があるのですが、学歴を見ると、そこ出身の先生もたまにいます。


学歴や職歴以外に、この先生が特徴的なのは論文の多さです。

1年間で多くの論文を出しています。
※これでもほんの一部です。


このように論文をたくさん投稿するための方法なのですが、自分の指導した学生と共同執筆という形で論文を刊行しています。例えば、上記の画像に何度か名前が出ている「谷俞辰」「郭荣荣」「林嘉琪」は僕が現在所属している研究室の博士の先輩です。


学生にしてみれば、偉い先生と共著という形になりますが、有名なジャーナルに投稿ができて実績になります。また、他の研究者に読んでもらえる可能性も高くなるのでメリットが多いのではないのでしょうか?


また、この先生は学生の指導をかなりしっかりとしてくれます。月に2回はゼミでの定例会を実施したり、国内外を問わずできる限り学生を学会に参加させてくれます。なので、当然のことながらゼミの学生からは慕われています。さらに、ゼミ外の社会学部の学生からも「陸先生はNice」という声をよく聞きます。なので、このゼミには入れて僕は運が良かったと思ってます(笑)







授業の進め方

次にどのように授業を進めていったのかについて説明させていただきます。


最初の3回は先生から学生に人口学の概略について講義が実施されます。残りの時間はすべて学生によるグループプレゼンとそれに対する先生のレビューです。この授業は3時間あるので、2時間学生が話して、1時間先生がレビューすることが多いです。学生の発表時間がすくなければ、先生が多く話します。その逆もしかりです。


グループプレゼンの内容は以下のものになります。

・人口増加の問題
・人口移行及び人口移行後に関して
・人口規模と人口構造に関する争議
・人口の質に関する問題
・人口計画及び出生政策の評価
・人口高齢化と持続可能な経済発展
・少子化の社会学的帰結
・人口移動と都市化
・農村と都市の統合という文脈における農村人口問題
・一人っ子政策の撤廃とバランスの取れた人口発展
・人口、資源、環境
・グローバル化と中国の人口発展戦略


上記のテーマについて9-10人程度のグループに分かれて発表を行います。1つのグループ2回発表です。ただ、10人の学生でプレゼンを作るより、5人の学生でプレゼンを完成させた方が効率がいいので、一部のグループはグループをさらに二つに分けてました。自分たちもそうしました(笑)






課題

次に、課題について簡単にお話しさせていただきます。


この授業の成績は上述のように
- 出席+グループプレゼン:60%
- 期末レポート:40%

によって成績が決まります。



グループプレゼン

自分たちはは9人のグループだったのですが、自分以外のメンバーは全員社会学部の同じクラスの子かゼミの学生だったので比較的やりやすかったです。


自分達の小グループは
農村と都市の統合という文脈における農村人口問題」というテーマを選びました。


自分のグループには非常によくできる学生(社会学部の班長)がいて、以下のようなマインドマップを作ってくれたので、めちゃくちゃやりやすかったです(笑)


このマインドマップに従って、役割分担をしました。


このグループプレゼンに関しては、以下の記事で詳しく書いているのでもしよければご覧ください。






期末レポート

期末レポートに執筆要綱としては以下のようのものが学生に提示されていました。


・期末レポートのテーマは自由に設定できるが、授業に関連したものでなければならない。
・期末レポートの形式は特に限定されないが、なぜそのトピックを研究するのか、そのトピックにおける主な展開、分析の方法論(あるいは視点)、分析結果について、より詳細な考察を行う必要がある。
・期末レポートは文献整理を行い、まとめたものでもよいが、関連文献をより体系的にレビューする必要がある。
・期末レポートは、図表、脚注、参考文献などを含め、8,000~10,000文字程度とする。
・期末レポートの提出期限は2023年8月15日までである。


授業の最終日が6月上旬にも関わらず、期末レポートは8月中旬まで待ってくれるという気長な先生でした(笑)学生も歓喜していました。


レポートの文字数は8,000~10,000字でした。中国語を日本語にするとだいたい1.5倍くらいになるので、日本語換算だと12,000~20,000字くらいのイメージです。学部生からすると卒論くらいの感覚ですが、修士の学生からすると普通です。むしろ導入と選考文献のまとめで4,000字(日本語換算だと6,000字程度)は必要なので、5,000字で書けって言われた方が困ります。
※そういうケースの場合は先行文献をきちんとまとめたりしませんが。また、そこまで丁寧にまとめることを要求されていないと理解します。



自分は『日本政府の30年にわたる少子化政策の効果と中国における応用』というテーマで書きました。これは7月の中旬に2023年中国人口学学会にて「日本政府の少子化対策」についてポスターセッションを行った内容に「中国への応用」という個所を付け加えて書いたものになります。以下の記事にその時のことを書いているので興味のある人はご覧ください。


ちなみに、自分が書いたレポートはそこそこよかったらしく、夏休み明けのゼミの飲み会で先生から「山本君はまじめな学生だ。学部が社会学でもないにも関わらず、しっかりしている。人口問題の授業で書いたレポートは一部の中国人の学生よりもよく書けている」と2回言われました(笑)


レポートに関しても、以下の記事で詳しく書いているのでもしよければご覧ください。





この授業に使った時間

自分は以下のアプリを用いて、分単位で勉強時間を計測しています。なので、この授業にどの程度の時間を使ったのかを最後に紹介させていただきます。
※タスク管理とボモドーロ技術を使った時間管理が一体となったアプリで愛用しています。



・授業時間:150分×15回=37.5時間
・グループワーク:23時間弱
・期末レポート:17時間
・予習及び復習:10時間
合計:約88時間


グループワークは参考文献がそこそこ多かったので、少し時間がかかりました。また、自分はパワポにこだわるタイプなので、パワポ作成だけに8時間弱かけました。一方、期末レポートは楽に書けました。その理由はやはり学会にて発表した内容が下地にあったので、参考文献や全体構成にほとんど時間がかからなかったからです。


あと、この授業の成績は「A-」でした!
北京大学の「A-」はGPAで3.7に相当します。まあ悪くはありませんが、指導教官の授業なので、Aは取りたかったです。



ということで、今回の記事は以上となります。
長い記事ですが最後まで読んでいただきありがとうございます。




このマガジンでは引き続き、北京大学社会学修士の授業について執筆していきます。



また、人口学について興味のある方は以下のマガジンをご参照ください。



もし気に入っていただけたならば、
スキとフォロー、マガジンの購読よろしくお願いします~


この記事が参加している募集

スキしてみて

学問への愛を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?