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人口問題_グループプレゼン※無料サンプル付き

どうも!
セイタです!!
北京大学社修士課程で社会学を学んでいます。


この記事では2023年春学期に受講した《人口問題(人口问题)》という授業のグループプレゼンについて書いていきます!!概略について興味のある方は以下の記事をご覧ください。




それでは、ご覧ください!!






グループ分けから役割分担

まずはどのような流れでタスクが決まっていくのかについて簡単にまとめさせていただきます。



グループ分け

まず、最初にグループ分けがあります。確か全部で60人くらいの学生がこの授業を受講していたのですが、その学生を6グループに分けます。その6グループは学期中に2回プレゼンする必要があります。


1グループ10人前後の大きなグループです。そのため、一部のグループはさらにグループを2つに分けて、4,5人の小グループで学期中に1回だけプレゼンをするという戦略をとっていました。僕たちのグループもそうしていました。
※なお、先生からは「全員でプレゼンに取り組むように」とのお察しがありましたが、黙殺しました(笑)



テーマ選択

テーマは以下のトピックの中から各グループごとに2つ選びます。

・人口増加の問題
・人口移行及び人口移行後に関して
・人口規模と人口構造に関する争議
・人口の質に関する問題
・人口計画及び出生政策の評価
・人口高齢化と持続可能な経済発展
・少子化の社会学的帰結
・人口移動と都市化
・農村と都市の統合という文脈における農村人口問題
・一人っ子政策の撤廃とバランスの取れた人口発展
・人口、資源、環境
・グローバル化と中国の人口発展戦略


自分は学部の時から雲南の農村でフィールドワークをしていたので、「農村と都市の統合という文脈における農村人口問題」をテーマにしました。



なお、どのテーマも参考文献がものすごく多いです。
※10人でプレゼンする前提なので当たり前と言えばそうですが。




自分たちのテーマだと以下の参考文献が挙げられてました。

1、 李建民 ,“中国农村计划生育夫妇养老问题及其社会养老保障机制研究”,《中国人口科学》,2004年第3期
2、 D.盖尔.约翰逊 ,“中国农村老年人的社会保障”, 《中国人口科学》,1999年第5期
3、 阎云翔 《私人生活的变革――一个中国村庄里的爱情、家庭与亲密关系1949-1999》上海书店出版社,2006年
4、 郑真真,“中国育龄妇女的生育意愿研究”, 《中国人口科学》,2004年第5期
5、 李培林 《农民工-中国进城农民工的经济社会分析》社会科学文献出版社,2003
6、 简新华、张建伟, “从‘民工潮’到‘民工荒’”, 《人口研究》,2005年第2期
7、 朱宇,“农民工:一个跨越城乡的新兴群体”,《人口研究》,2005年第4期
8、 简新华,“中国农民工最新的生存状态研究”,《人口研究》,2007年第6期
9、 李树茁,“中国农民工的社会融合及其影响因素研究—基于社会支持网络的分析”,《人口与经济》,2008年第1期
10、 刘传江等,“第二代农民工市民化:现状分析与进程测度”,《人口与经济》,2008年第5期
11、 刘传江、程建林,“双重‘户籍墙’对农民工市民化的影响”,《经济学家》2009年第10期
12、 杨菊华,“从隔离、选择融入到融合:流动人口社会融入问题的理论思考”,《人口研究》,2009年第1期
13、 悦中山等,“从‘先赋’到‘后致’:农民工的社会网络与社会融合”,《社会》,2011年第6期
14、 任远、乔楠,“城市流动人口社会融合的过程、测量及影响因素”,《人口研究》,2010年2期
15、 李培林、李炜,“近年来农民工的经济状况和社会态度”,《中国社会科学》,2010年第 1 期。”
16、 张文宏、雷开春,“城市新移民社会融合的结构、现状与影响因素分析”,《社会学研究》,2008年5期
17、 宋月萍、陶椰,“融入与接纳:互动视角下的流动人口社会融合实证研究”,《人口研究》,2012年第3期
18、 周皓,“流动人口社会融合的测量及理论思考”,《人口研究》,2012年第3期
19、 刘爱玉,“城市化过程中的农民工市民化问题”,《中国行政管理》,2012年第1期
20、 穆怀中等,“中国农民养老生命周期补偿理论及补偿水平研究”,《中国人口科学》,2012年第2期
21、 穆怀中等,“人口老龄化背景下农村家庭子女养老向社会养老转变路径及过程研究”,《人口与发展》,2015年第1期
22、 李海波等,“城市级别对农民工市民化倾向的影响”,《城市问题》,2019年第11期
23、 石智雷、刘思辰、赵颖,“不稳定就业与农民工市民化悖论:基于劳动过程的视角”,《社会》,2022年第1期
24、 刘传江、刘思辰,“数字化时代农民工市民化的‘双重鸿沟’与跨越”,《西安交通大学学报》,2023年第1期
25、 何雪峰,“积极应对农村老龄化的村社养老”,《社会科学研究》,2022年第4期

本が2冊と、論文が23本です!!
なかなかの量かと思います。
※太字の参考文献6つが自分の担当した文献です。



各自の役割分担

本来は役割分担だけでもものすごく大変なのですが、自分のグループには非常によくできる学生(社会学部の班長)がいて、以下のようなマインドマップを作ってくれたので、めちゃくちゃやりやすかったです(笑)


上記マインドマップにより、25の参考文献を
・導入:国家における個人→農村住民の認識の変化→出生、家族、移動などの行動の変化
・出生希望と出生
・家族構成と老後問題
・農民工/都市と農村の人口移動

といった4つの項目に分けることができます。
※「農民工」とは、都市で低賃金の労働に励む農村戸籍の労働者です。


さらに、上記の項目を参考文献の量に応じて、以下のように5等分します。
・プレゼンの構成/文献まとめ/導入(本1冊)
・出生希望と出生/家族構成と老後問題(論文6本)
・農民工/都市と農村の人口移動 Part1(本1冊+論文3本)
・農民工/都市と農村の人口移動 Part2(論文6本)
・農民工/都市と農村の人口移動 Part3(論文8本)


自分は農村をやりたかったので、上記太字の箇所を選びました。具体的にどのように進めていったのかについては次の章で書いていきます。




プレゼン内容及び準備

この章では、自分がどのようにプレゼンの準備をしていったのかについて書いていきます。



担当箇所のテーマと参考文献

自分が担当したテーマは以下の二つです。
・社会統合-概念と測定基準
・市民化の苦境-概念


二つのテーマともに概念的でどちらかというと、専門用語の定義を以下に設定するかといった問題やどのような変数を使って、研究を進めるのかといった内容が多かったです。結構得意な分野なので読みやすかったです。


以下のリストは自分が読んだ参考文献を日本語に翻訳したものになります。

12、隔離、選択的統合から双方向の統合へ-移動社会の統合に関する理論的考察
14、都市移民の社会統合の過程、測定及び影響要因
16、都市新移住者の社会統合の構造、現状、影響要因の分析
18、移動人口の社会統合に関する測定と理論的考察
19、都市化過程における移民労働者の市民化問題
22、都市のレベルが農民工の市民化傾向に与える影響




プレゼン内容の紹介

ここでは、自分がどのようなプレゼンを作ったのかを簡単に紹介します。全部中国語ですが、、




例えば、12『隔離、選択的統合から双方向の統合へ-移動社会の統合に関する理論的考察』は概念的な定義から始まります。

2009年の論文なのですが、執筆時点では、「融合(統合)」といった概念が十分にできておらず、理論も測定基準もあいまいだと主張されています。




また、学術界で「融合(双方向の統合)」と「融入(単方向の統合)」の概念も明確に分けられていないとのことです。そしてもちろん「融合(双方向の統合)」の方が「融入(単方向の統合)」より難しいです。





14の『都市移民の社会統合の過程、測定及び影響要因』は、分析手法自体は簡単な多変量解析なのですが、その目的変数を「アイデンティティ」「都市への態度」「現地の人々との交流」「社会に対する態度」といった4つの変数を組み合わせて作っていて、おもしろかったです。



以下分析結果です。

教育や年齢、困ったときに助けてくれる存在、社会保障の有無が個人の社会統合に大きな影響を与えるという結果になっています。





16『都市新移住者の社会統合の構造、現状、影響要因の分析』においては、上記の研究より高度な因子分析という手法を使っています。これは14の統合指標を「文化的統合」「心理的統合」「アイデンティティの統合」「経済的統合」に分けて分析を行っています。

結論の一つとして、「心理的統合」と「アイデンティティの統合」は比較的高い統合を見せている一方で、「経済的統合」「文化的統合」はそこまで高くありませんでした。






最後に2019年に発表された論文である『都市のレベルが農民工の市民化傾向に与える影響』について紹介します。比較的新しい研究だけあって、操作手法も高度で、結果も頑強(robust)なように感じました。


まず、分析手法に関してなのですが、「中介变量法(因果媒介分析)」とを使用しています。この手法は目的変数Yと説明変数Xの間にある要素を分析する際に用います。




その結果としては以下のような図が出来上がります。Xという説明変数(ここでは、都市のレベル)がどの仲介変数を通って、Yという目的変数(市民化傾向)に影響を与えるかが分析できます。以下略図です。





プレゼン準備にかかった時間

プレゼン準備トータルでは23時間弱かかっています。
内訳としては、
・参考文献:10時間前後
・パワポ作成:8時間弱
・パワポ練習:3時間弱
・その他:2時間前後

となっています。


参考文献が比較的読みやすかったのですが、6本あったのと、パワポの作成にそこそこ時間がかかってしまいました。ある程度はパワポこだわるタイプなので(笑)



ということで、今回の記事は以上となります。
長い記事ですが最後まで読んでいただきありがとうございます。



今回のプレゼンで使用したパワポですが、以下のリンクからダウンロードできますので、パワポの構成や中国語などご参考にしていただければと思います。



また、人口問題の授業中で課題として課された期末レポートに関して興味のある方は以下の記事をご覧ください。




このマガジンでは引き続き、北京大学社会学修士の授業について執筆していきます。



また、人口学について興味のある方は以下のマガジンをご参照ください。



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