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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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#短歌

肩よりも指さき痛筋ゆるくものを持こと遂ぬは曲池 - 養生やまと歌 024

曲池は肩こり治療定番のツボで、肩から上肢にかけて広範囲でほぐしてくれます。長時間のお仕事の際、時々押すだけで疲れ方が全然違ってきます。ツボを取る時は肘を曲げますが、押すときは肘を伸ばした状態でやりましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo

そらまめは胃を快く蔵腑をも利するものとぞ心得るべき - 養生やまと歌 023

胃が重い時や、食欲が落ちた時にソラマメを食べてみてはいかがでしょうか?本草学的には、胃をスッキリする作用があると考えられています。葉酸が豊富なので妊婦さんにも人気の食材ですね。‬ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://ww

繰り返すしずの苧環見ても知れめぐる心に結ぼれはなし - 養生やまと歌 022

悩みごとの多くは、運や、過去・未来、他者に左右されるものです。どうにもならないから悩ましい。 でも、いつか必ずどうにかなるものです。 その間、悩みっぱなしは心身に毒。心が結ぼれてしまわないよう、会話したり、体を動かしたり、娯楽にハマったり、何でもいいので心を循環させましょう。 歌の中の「しずの苧環」とは、イラストにあるような糸を巻いたもののことです。心も気血と同じく、流れめぐらせることが大切ということですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物

肩せなか痛臂もあげがたく気さかのぼらば雲門の穴 - 養生やまと歌 021

背中が凝った時は、こりの強い場所の胸側を押してみましょう。うまくツボにあたると、背中にじんわりと響いて、ビックリするくらい楽になることがあります。なお、胸部のツボは強く押すとかなり痛いので、軽めの刺激にしましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seish

豆腐こそ中をゆるくし気をまして熱を清して血をちらすなり - 養生やまと歌 020

豆腐は『本草綱目』にも「脾胃を和し、脹満を消し、大腸の濁気を下す」とあり、胃腸によいものですが、冷やす性質のものなので食べ過ぎに注意です。この冷性のせいで下痢をすることもあるからなのか、本草学的には「小毒有り」とされます。そして、ダイコンにはこれを中和させる働きがあります。 豆腐の薬味には、ダイコンだけでなく、ネギやショウガもありますが、これらも食べ合わせ的に良い意味があるのかもしれないですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から

若き身の丈夫だのみの不養生やがて老後の後悔となる - 養生やまと歌 019

「年老いてから養生し始めるのは、貧しくなってから貯蓄をし始めようとするようなものだ。」という、ある儒者の言葉があります。 養生貯蓄は若いうちからはじめたいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.insta

煩心からえずき吐き涎沫うなじ引つり頭痛強間 - 養生やまと歌 018

強間は後頚部の緊張をとりたいときに使ってみましょう。首の後ろの筋肉を上から下まで揉んでいかなくても、効率よく全体を緩ませてくれます。歌の中にある、煩心(むねいきれ)とは胸部の不快感のことになります。 このツボは押しすぎると逆に気持ち悪くなることがあるので、数秒圧迫するのを5回程度にしましょう。ほとんどの場合、ツボ押しは即効性を求めてグイグイいくと、やりすぎになります。刺激後、数十分かけてじわじわ効いてくるので、足りないと思うくらいがちょうどよいです。 ******* 養

にらはよく五蔵安んじ腰膝を常に温め気を下す也 - 養生やまと歌 017

ニラも補益食材として優秀なので、食卓のレギュラーメンバーにしてみてはいががでしょうか。江戸時代の本草書『本朝食鑑』には「野菜の中で最も人によいものである。」と記載されています。 また、同書には飲食物が嚥下できずに吐き出してしまう人の治療食として、卵白とニラの味噌じたて粥のレシピが紹介されていました。お腹がちょっと弱っている時にも良さそうですね。 参考:人見必大『本朝食鑑』巻三、菜部(国立国会図書館所蔵、意訳は筆者による) ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養

食後には百足はこぶ道ぞかしそのままふせば積聚おこらん - 養生やまと歌 016

食後の軽い散歩は養生の基本で、夕食後の散歩をすれば、「百病無し」になるとも言われています※。逆にジョギングなど激しい運動は、消化不良などを起こし逆効果になるので、体を動かすなら軽めにしましょう。 また、この歌の中にある積聚とは、主に腹部に発生する滞りのことで、様々な症状の原因になると考えられています。 __ ※『医心方』巻二十九に引用される『養生要集』に「暮食畢、歩行五里乃臥、便無百病。」とある。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書

攅竹は両方のまゆのかしら也目明らかならずかすむにも吉 - 養生やまと歌 015

攅竹は目が疲れてしまった時の応急処置に使えるツボなので、ぜひ覚えておきましょう。押す角度が重要なツボで、以下のように押します。 攅竹は眉の端にありますが、実際は眉の端を垂直に押すのではなく、指の腹を内側に向けて、鼻柱の骨を横から押します。 数秒圧迫するのを、3回から5回ほどやってみましょう。強く押しすぎると、かえって目が重い感じになってしまうので、軽めに押すようしてください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学

はまぐりは酒の毒消し胃を開く寒熱を去り血塊によし - 養生やまと歌 014

ハマグリはお酒と相性が良さそうですね。また、「血塊によし」とありますが、この「血塊」は、月経時の血の塊や、過多・過長月経、不正出血のことを指します。 中国宋代の『証類本草』にも、不正出血にあたる「崩中漏下」と記載されています※。 ※『重修政和経史証類備用本草』(人民衛生出版社、1957年、晦明軒本影印)に「(白)主悪瘡蝕五痔(墨)咳逆胸痺腰痛脇急鼠瘻大孔出血崩中漏下」とある。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学

食物の良きと悪しきをわきまえよ病は口より入のほんもん - 養生やまと歌 013

体に良い食材や、悪い食材は、その時の気候や体調によって変わります。固定されたものではありません。例えば、冷やす性質の食べ物は、真夏に適量をとれば体の火照りを取りますが、胃腸の弱りやすい梅雨の時期は控える方がよいものになります。 梅雨や夏に意識したい、本草学的にみた体を冷やす食べ物も、参考までにまとめておきました。 「冷えイコール悪」というイメージですが、冷やす性質の物は、胃腸に問題のない方が、適量を単独で食べるだけでしたら、あまり気にしなくてもよいでしょう。 注意すべき

肩せなか缺盆の内引痛み息し難きは太淵の穴 - 養生やまと歌 012

仕事に集中していると、いつの間にか呼吸が浅くなり、脳が疲れたような感覚になることがあります。そんな時、深呼吸が手軽な回復法になりますが、この太淵を押すひと手間加えるだけで、より効率的な深呼吸ができます。 以下の手順でぜひお試しを。 【 太淵呼吸のやり方 】1.姿勢を正して座り、軽く目を閉じる 2.最初に一回だけ深く息を吐く 3.左の太淵を圧迫したまま深呼吸7回 4.右の太淵を圧迫したまま深呼吸7回 ちなみに、この太淵というツボは、「手の太陰肺経」という、胸周りや、呼吸器

人参はあさ夕食し益ぞある五臓補う物と知るべし - 養生やまと歌 011

人参は『本草綱目』では「胡蘿蔔」という名で登場し、以下のような効能があります。 「気を下し、中を補い、胸膈腸胃を利し、五臓を安んじ、人をして健やかならしめ、食して益有りて損なし」 『本草綱目』菜部(上海図書館所蔵金陵本、上海科学技術出版社、1993年、書き下しは筆者による) ありふれた地味な野菜ですが、こんな感じでベタ褒めされている、超オススメ食材です。こういう食材をたくさん覚えておきたいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴