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咳喘息って何? 長引く咳に御用心

 寒い季節は肺を悪くする人が増えます。「咳」はクリニックを受診する際の、最も多い主訴と言われています。

 ヒューヒューゼーゼー苦しくなって、吸入薬や点滴で楽になる。アレルギーがきっかけで、寒い季節に悪くなる。症状には日内変動があって、夜から早朝に悪化しやすい。これは典型的な気管支喘息の症状です。

 こうした「発作」に至らなくても、喘息になりかけている人たちがいます。それが「咳喘息(せきぜんそく)」です。

 症状は咳だけ。痰がからむ人もいます。ふつう熱は出ません。実はこれ、気管支喘息になる前の段階と言われていて、ほうっておかない方が良い状態です。しかも新型コロナが騒がれるようになってから、「咳が出ている」というだけで、随分と生きづらい世の中になってしまいました。

 風邪をひいた後、咳が何週間も続いていませんか?

 温かい部屋から寒いところに出たときに、よく咳き込むことがありませんか?

 ちょっとした刺激で咳が出始めて、なかなか止まらずに困ることはありませんか?

 もしかしたら、「咳喘息」かもしれません。

 もしそれが咳喘息なら、適切な治療ですぐに良くなる可能性があります。診断がついたら即効性のある吸入薬や内服薬から始めて、落ち着いてきたら根本にある「アレルギー体質」や「冷え」などの治療を行うのが良いと思います。

 私の外来では、今シーズンも毎週のように新たに「咳喘息」の診断に至り治療を始める人がいます。皆さんとても良くなって、元気に明るく生活できるようになっています。

 気をつけなければいけないのは、似ている病気としっかり見分けることです。一番は感染症、特に肺結核や非結核性抗酸菌症などゆっくり変化していくようなもの。次に肺がん、それから間質性肺炎などの特殊な疾患です。診断が遅れると取り返しのつかないことになりかねないからです。変わったところでは逆流性食道炎や副鼻腔炎なども咳の原因になります。「咳」の原因は様々で、専門科であっても中々難しいものです。

 熟練した呼吸器内科医であっても、症状と診察だけで正確な診断に至ることは困難です。少なくとも何らかのの画像検査(胸部レントゲンか、場合によってはCTも)は必要でしょう。必要に応じて検査を追加していくこともあります。

 3〜8週間ほど続く咳の場合には「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」といって、特に治療を必要としないとされていますが(それでも東洋医学的には十分治療対象となりますが)、8週間以上続く咳の場合には、咳喘息をはじめとした上記のような疾患の可能性を考える必要があります。

 いずれにしても、こんな時代だからこそ、「たかが咳」と見過ごさずに、しっかり対処していくことが重要です。


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