![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132059223/rectangle_large_type_2_1938a3a2fe75fe8574b8cc0e18c0d568.png?width=1200)
左利きの彼女 《詩》
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132059270/picture_pc_baba578be291778cc8af51986bbee9df.png?width=1200)
「左利きの彼女」
濃密な空気の塊に雨の予感がした
もう時間が無い
僕は高く茂った
緑の草を掻き分けて
綺麗な湖へと向かう
野生の花の匂いと
幻想的なオルガンの音
ある時点で僕の感覚が
内圧と外圧に押し潰され
其の接地面にあったはずの感情が
崩れ始め痛みと喜びを失った
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132059448/picture_pc_731874586f1d2768cb7ffbfb0bd5eebd.png?width=1200)
綺麗な湖の辺りには
大きな木があって
その下に白いベンチがある
其処に君が居る
その事だけはわかっていた
左利きの君は左手にペンを持ち
本当の哀しみが溢れた詩を書いた
其れは
失われてもう二度と戻る事の無い
限定された風景に似ていた
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132059881/picture_pc_14e2ef208a8f0335ecdd2768bf4d18fe.png?width=1200)
結局のところは君の抜けた穴を
自分自身では
埋める事が出来なかった
僕は具体的な意味を持たない事柄や
抽象的な散文を書き続けていた
不完全な僕は
全てを完結させる物語を
書く事が出来なかった
それだけの事だ
もう時間が残されて無い
君に逢いに行くよ 雨が降る前に
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132059976/picture_pc_4b4e87f300781fcd38c2523856daec9c.png?width=1200)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?