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神の月 《詩》

「神の月」

起き忘れられた野心と色褪せた希望

空白に似た諦めが目に見える空を

無感覚に覆い尽くす

其処に浮かび上がる

薄い刃物の様な三日月は

失うべきものは何も無い 

命さえも そう静かに語る


何日も風の強い夜が続く

時々わけもなく涙が溢れた

だけどそんなに孤独じゃないよ

お前もそうだろう 
そう三日月に囁いた

俺は意識の枠の外側で

自分自身の神に触れる

お前達の神じゃない俺の神だ


俺の其の神は教義も教典も持たず 

ただ其処に居てくれる

報償も処罰も天国も地獄もない

其処にあるものは光と影

光のあるところには
影がなくてはならない


俺は本のページをめくる様に

新しい夢を見る

光と自由を求める空間の一点

宿命の列車が近づいて来る

そして時は当然の様に再び沈黙する

淡い色合いの悲哀と
雲の背後に隠された神の月

曖昧な汚れは風に流され消えてゆく

混線した電話回線の中であっても

俺は神の声を聴き逃さない

月は欠け落ち また満ちてゆく

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