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楽園 《詩》

「楽園」

想像と記憶の中で

静かに彼女と関わりを結んだ

彼女が彼女である事の秘密を
僕は知っていた


語るべきであった言葉 

ほんの少しの勇気

僕の行いの欠如が

僕自身を後悔へと連れ去る


僕の心は

彼女から離れる事が出来ないでいる

同じ過ちは繰り返さないと誓った

彼女は 

僕の身体と心の一部を持ち去り

僕の元に彼女の

身体と心の一部を置いて行った 

目には見えない其の一部を


大切なものを
交換した事実だけは疑う余地もない


過去を
書き換える事が出来たとしても

それにはたいした意味は無い

今 僕が想い願う事 

それが未来に繋がる

僕が僕である理由を

見つける為に未来を書き込んで行く

世界中の誰にも

気づかれない様に僕等は泣いていた

大きな欠落を

内面に抱えた者にしか理解されない

作り上げた
偽装的な自我が剥がれ落ちる


僕は感情を抑え

罰されるべきものを見据える


可哀想…
誰かがそう囁く声が聞こえた


馬鹿げてる


存在しない肉体は滅びない  

交わされない約束は

破られる事は無い 

僕と彼女がひとつである事を

ふたりは知っている

想念が生み出した

仮説の中に楽園は存在し

僕が望む時 彼女は直ぐ傍に居る

其の核には愛だけが存在している

Photo : Seiji Arita

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