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読んで!とせがまれるのが、嬉しかった。一緒になって楽しんだ絵本の記憶

子どもたちが生まれてからの、忙しい毎日。

特に平日は、子どもたちとゆっくりした時間が取れるのは、唯一夜の絵本タイムだけという日もあった。

その絵本タイムさえも、「今日、お母さんめちゃくちゃ疲れてるから、ごめん!スキップ!」という日も実はたくさんあった。下の息子が0歳や1歳の時は、少しでも目を離すと動き回って危険で、お兄ちゃんに「ごめんね!」する日も多かった。

でも、たとえ眠い目をこすりながらも、守りたかったのも、また絵本タイムだった。私にとっても忙しい毎日の喧騒から一時離れ、子どもの目線になってゆっくりした時間を味わう唯一の時間だったから。読み聞かせをしながら、言葉を追う中で私も一緒になって眠くなるのが案外、好きだった。ザワザワとした心も、その時間で整う気がしていた。

今では、上の息子は自分で本を読むようになってしまったので、次男が、せっせと読んでもらいたい絵本を持ってきてくれる。でも、あと数年経ったら、この読み聞かせの時間は終わるのかと思うと、少しさびしい気持ちだ。

そんなこともあり息子たちが気に入っていた本を、忘れないうちに、まとめてみたくなった。

「これ読んで!」とよく持ってきてくれた本の中でも、私も一緒に読むのを楽しんだ本達は、とても大切な本だ。そんな本を、気の向くままに紹介したいなと思っている。

「その本、うちでもよく読んだ!」と一緒に思い出に浸ったり、「その本、良さそうね!」と絵本選びの参考にしてもらえたらいいなと思う。

0歳~2歳頃、音の響きがいい絵本

赤ちゃんの頃には、「おつきさまこんばんは」「がたんごとん がたんごとん」「ぶーぶーじどうしゃ」(いずれも福音館)が大好きだった息子たち。

「おつきさまこんばんは」は私も読み聞かせるのが大好きな本だった。何度も読んだので、上の息子は暗唱できるほどになって、たまに私が読み間違えると「それ、ちがう~!」と教えてくれたりして、驚いた。


「がたん ごとん がたん ごとん」は、ひたすら「がたん ごとん」という言葉を繰り返す絵本なのだけど、不思議な魅力があった。子どもたちは、いつも、じーっと耳を澄ませて神妙な顔で聞いてくれた。電車に、ねこさんや、スプーンやコップなどが乗り込んでくるのだけど、登場人物がでてきた時は、絵本のせりふに少し言葉を足して、アレンジして読み聞かせていた。


私が、この頃、読みきかせるのが特に好きだったのは、この「くっついた」(こぐま社)。「くっついた~!」のセリフの場面では、必ず子どもたちと本当にぎゅっと身体を寄せ合うようにして、読み聞かせていた。

そうそう、これは書いておきたいのが、上の息子が1歳頃のこと。なんとエリック・カールさんの「はらぺこあおむし」を読んでいたときに、初めて息子がはっきりとした言葉をしゃべった。最後のページの、沢山の色が散りばめられた画面いっぱいの蝶を指差しながら、小さな可憐な声で「ちょうちょ」と言ったことは忘れられない。

まんまとか、あ~などの喃語以外の最初の言葉が、まさか「ちょうちょ」になるとは思わなかった。大切な思い出だ。

どの本も、何度も読むうちに、ぐしゃっとされたり、ちぎられたり、食べられたり。完全な形では残っていない。もう誰に読まれることもないけれど、自分のために手元に持って置きたい本達だ。

ナンセンスさが最高のシゲタサヤカさんの絵本

もう少し大きくなってから、2人からよくリクエストされたのが、シゲタサヤカさんの「まないたに りょうりを あげないこと」(講談社)だ。

この本は、いまや、すっかり人気ものになったシゲタサヤカさんのデビュー作。私も、この本を持ってきてもらえると「よしっ!今日は、まないたか!」と嬉しくなるような絵本だった。

この絵本の良いところは、なにも教訓的なものがなく、純粋にナンセンスでおもしろいところ。まないたが密かに料理を食べているとか、想像したこともないような目くるめく展開で飽きさせない。

シゲタサヤカさんの絵本は、この一冊で満足と思っていたけど、この本を堪能中に次々と新刊を出されていたようだ。最近になって、「キャベツがたべたいのです」をチェックしてみたら、さらにナンセンスぶりは加速していて、心底意外な展開を楽しませてもらった。

それに、夜寝る前に、こういう不思議な絵本を読むと、世間の常識やら忖度やらにまみれた1日がリセットされて、いい気持ちで眠れる気がする。だからなのか、シゲタサヤカさんの絵本は、パパ達にも大人気な気がする。うちの夫も好きだし、学生時代の男友達も絶賛していた。


固定概念にゆさぶりをかける絵本

あとは、ナンセンス繋がりかもしれないけれど、かこさとしさんの「どろぼうがっこう」(偕成社)も、よく読んでほしい!とせがまれた本。

少し絵柄はしぶいけど、この絵本の中身は、アバンギャルドというか、革新的と言うか、価値観をゆさぶるような面白い世界を見せてくれる。

どろぼうを目指す愛らしい子どもたちが通う学校を描いた話なのだけど、「そうか、泥棒の学校って、そうなっちゃうか!」と、斬新でおもしろい。

かこさとしさんは、「むしばミュータンスのぼうけん」とか「たべもののたび」や「うちゅう」だとか、科学系の絵本も多く出されていて、それもすごくいい。だけど私は、この「どろぼうがっこう」が一番好きだ。

「てんぐちゃん」シリーズより、「カラスのぱんやさん」シリーズより、なぜだか、この本が一番好き。

子どもたちも、この絵本を気にいっているようで、なんだか嬉しかった。

人は信じている価値観によってこんなにも見える世界が変わってしまうのかという深いテーマもある気がしていて、物語の入り方から最後のオチまで素晴らしい絵本なのだ。

「どろぼうがっこう」は、昔、かこさとしさんが関わっていたセツルメント活動で紙芝居をする中で、子どもたちを先生にしながら生まれた絵本だ。かこさとしさんの、「子どもたちが、僕の先生だった」という考え方が、私は特に好きだ。

子どもたちに、「自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の力で判断し行動する賢さを持つようになってほしい」と願いながら、絵本を作り続けたかこさとしさん。自叙伝も素晴らしいので、とってもおすすめだ。


一日の働きを、一緒にねぎらってもらえるような絵本


「おやすみ、はたらくくるまたち」は,特に下の息子が気に入っていた本。

働く車や乗り物が大好きな子におすすめかもしれない。3、4歳くらいの時によく読んでいた。

この絵本は、はたらく車が、一日どんなに頑張って働いたか、そして疲れ果てて次々と眠っていくという話。

毎日働いて、ヘトヘトなのは私も一緒なので、読んでいて働く車たちへの共感と、ねぎらいの気持ちが湧いてくる。

自分も「ほんと1日よく頑張ったな―!」と素直に思える絵本。そして、一緒に読んでいて、確実にあくびが止まらなくなる。読み終わった後には、いつも気持ちよく寝落ち。逆に、寝落ちしたくない方にはおすすめじゃないかも。笑

息子はなぜか、この絵本の手書き文字の「うるさい!」という箇所が好きで、そのページがくると、必ず、自分も一緒に「うるさい!」と叫んでいた。それも、忘れられない思い出なので、ここに書き留めて置こうと思う。


細かい絵の書き込みが素敵なバムケロシリーズ

バムケロシリーズも、やはり、はずせない。この絵本も特に下の息子がすきで、ガラコシリーズも合わせて、たくさん持っている。

図書館で借りようとしても、常にウェイティングリストが長蛇の列のバムケロシリーズ。待っていたら順番が1年以上先になりそうなので、買い揃えることになった。

バムケロシリーズの魅力はなんといっても、絵の書き込み。

絵の中の、家具や出てくる登場人物などの描写に、密かに注目ポイントが隠されている。息子はそれを宝探しのように見つけて、指摘するのが大好きなのだ。

特に、彼はケロちゃんがお気に入りで、よくポーズを真似していた。この「バムとケロのにちようび」は暗唱できるほど読み込んでいて、字は読めないのに、暗唱もよく披露してくれていた。

でも、バムとケロシリーズの中で、どの本が一番好きなの?と聞くと、「バムとケロのそらのたび」とのこと。

「バムとケロのそらのたび」は、ひこうきを手作りして、おじいちゃんのうちに遊びに行くという、なかなかにワクワクするストーリー。やはり乗り物好きは、それを選ぶんだなぁと妙に納得。


ちなみに、私がシリーズの中で一番好きなのは、「バムとケロのおかいもの」「かえってきたガラコ」。どの絵本を選ぶかで、何を大切にしているかが垣間見えるような気もする。


安野光雅さんの「はじめてであう すうがくの絵本」1~3

長くなったので、この辺りで最後にしようと思う。

「はじめてであう すうがくの絵本」は、わりと最近まで2人がハマっていた絵本だ。今は小4になる上の息子も、たまに一緒になって読んでいる。

この絵本、実は数学科に進んだ夫が、子どもの頃好きだったというおすすめ絵本で、私も数学好きなので、この絵本が大好き。

数学の基本になる抽象化の概念、割合の概念、数感覚、図形感覚などを全く勉強っぽくなく、楽しく物語で教えてくれるのがいい。途中でパズル的に考える仕掛けや、迷路や、子どもがついやってみたくなる問題や仕掛けがはさみこまれている。

さらには、安野光雅さんの繊細で美しい絵が、この絵本のコンセプトにマッチしていて上質なアート作品になっている。



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他にも、紹介したかったなという絵本があるので、また、気が向いたら第二弾もやりたいなぁなんて思っている。

今回書いてみて、絵本は、つくづくよく考えて作られている素晴らしいものだなと思う。

上質な作品を味わう貴重な時間をあと少し、子ども達と楽しみたいなと思う。


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