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《読書》十二人の手紙

前回紹介した本にちらっと書いてあった、十二人の手紙を読みました。

少し読んで、読むのもったいない、読み終わりたくない!と思いながら数日、小出しに読んでいましたが、

先日とうとう、読み終わってしまいました。あーあ。

この本は、ミステリー短編集となっていて、基本的には語り手が手紙を書く形で読者に説明しながら話が進んでいきます。

手紙はやりとりのことも、一方のみの掲載のことも、行政の文章のこと、雑誌の切り抜きなんかのこともあります。

書き手の手紙は毎回とてもうまく、だからこそとてもスムーズに頭に入ってくるももの、いや、毎回そんなに細かく書くかよ!そんなに親にも友達にも書かないよ!冷静に書けない!というところは置いて読む必要があります。

それを踏まえて読んでいくと、読み進むうちに主人公はトラブルに巻き込まれ、ハラハラしながらもページは進み、最後まで分かりそうで分からない落ちが用意されていて、嗚呼そうきたかー、となるんですね。

読者は手紙からしか状況が分からないので、主人公がたまに解釈をまちがっていたら、読み手も一緒に流されてしまうんです。それもまた、この形式の魅力の一つ。

注意点として、主人公たちは皆電話などで直接は連絡しないということ。

現代の私たちからしたら、手紙だけのやりとり、というのはとても考えられないけど。直接会わなくても、電話やチャットさえすれば、お互いの状況はすぐ分かる。所々は、電話のハードルさえ高い時代の話、として読んでいかないといけないかなと(本の刊行自体は割りと新しいようなのだが…)。

欲を言えば、最終話にこれまででてきた登場人物たちがもう一度出てくるんですが、私としては出てくるならもっと、二三回別の話で出てきてから、もしくは小出しに出てから、勢揃いしてほしかったなぁ。

とはいえとっても読みやすく、同じ作者の作品をまた読んでみたいなぁと思いました。

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