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有刺鉄線の島、沖縄

一週間ほど沖縄に行ってまいりました。
初めての沖縄で、まるで夏のような暑さでビックリしましたが、
のんびりとした心地よい気候でした。

私は普段はそんなに美術館に行くほうではないのですが、
旅に出ると、なんとなく、その土地の美術館に行ってしまいます。

海外の美術館はタダのことが多いので、
お金はないけど時間だけはたんまりある学生時代、
暇つぶしに行っていた時の名残ももちろんあるとは思うのですが、
なぜか美術館の中は落ち着く感じがするのですね。

ぼーっと絵を眺めたりとか、美術館の中庭で本読んだりとか。

それに、私はわりと色に対するこだわりがあります。
この赤は好きだけど、あの赤は嫌とか、
この色の組み合わせは好きだけど、あの色の組合せは嫌とか。
部屋の中でも、違和感のある色があると、隠してみたくなったりとか、
この色の感じが好きという理由だけで、何かを買ったりとか。

そういうわけなので、色が溢れる美術館は楽しくて仕方ないわけです。

で、沖縄県立美術館に行くため、ズボラな私でも行けるように笑、
近くにホテルをとって、足を運んできました。

近くの宿にしたにもかかわらず、寝坊したので笑、
ざーっとしか見れなかったのが残念でしたが、
一番印象に残ったのは、沖縄の画家、大城精徳さんという人の「有刺鉄線の島」という絵。

こちら↓に写真があります。

https://okimu.jp/event/1580626882/

針金のような有刺鉄線が描かれているわけですが、
有刺鉄線というのは、何かと何かを隔てるものです。

つまりは、「境界」。

あちらとこちらを分けるもの。
そして、そういう境界線上にあるものというのは、排除されがちなものでもあります。男と女の境界にいる人であったり、混血の人であったり、抜けた髪の毛であったり。
そういう、カテゴリーに収まらないもの、
境界線上にある沖縄を描いているのが、この絵なのだと思います。

そして、私がこの絵を見た時に、なぜか思い出したのが、
モネの「ヴェトゥイユ近郊のヒナゲシ畑」の絵。

こちら↓です。

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この絵を初めて見た時には、

しばらくその場から離れられなくなってしまったのですが、
この絵が人を魅きつけるのはなぜかと考えてみると…

この絵の上半分だけを見た場合、
実物を見るともっとそうなのですが、
どんよりとしたグレーの空で、
今にもこの世の終わりが来てしまいそうな暗い雰囲気です。

一方、下半分には、色鮮やかな赤いヒナゲシの花が溢れるほどに咲いていて、太陽の下の、光の世界一色という感じの明るさです。

その明と暗の極が、平然と一枚の絵の中に収まっているのが、
この絵の普通でないところなのです。

そして、この絵に人々が魅了されるのは、その普通からはみだしている異常さゆえなのではないか、と思うに至りました。

「有刺鉄線の島」も「ヴェトゥイユ近郊のヒナゲシ畑」も、日本と海外、明と暗、という境界線上の何か、はみだしている何かを描いている異常さが、きっと人々を魅きつけてやまないのでした。


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