【キャリコン事例】笑顔がまた戻りますように
分かろうとしても、分かることができない人もいる
数年、キャリアの支援に関わっているクライアント希さん(仮名)。
自分の想いや考えをコトバで表現することが難しい方です。希さんの考えは頭の中にあるけど、意図を持って表現していないのか、したくないのか、できないのか、そもそも頭の中には考えが無いのか、私には見えません。
問いかけをすると、「はい」か「いいえ」で回答がきます。オープン・クエスチョンでも同様です。時に、「はい」・「いいえ」も出てこないこともあります。
私の質問が、回りくどかったのかもしれません。
私の固定観念や価値観だけのモノの見方や捉え方による、共感の無い問いかけだったのかもしれません。
コンサルティングがイヤなのかな?と考えますが、希さんは、約束をした面談の日には、必ず来てくれます。
コミュニケーションの難しさや大切さを、こういう時に痛感します。
何かで困っているから、ここに来てくれる。
どうにかして、その根底の問題に届きたい。
何かがそれを阻んでいる。
阻んでいるモノのヒントが掴めない。
距離を縮めたいと思っても縮まらない。
目の前のクライアントの表情に変化は見えない。
でも、本当に見えないのか?
私が見逃してはいないか?
私は直感で何を感じているのか。希さんの何にアンテナが立っているか。
四方八方、アンテナを立てながら目の前のクライアントに集中します。
あるとき、笑みがこぼれた!
本当に一瞬、とても些細なこと、私が何かをしたわけではなく、偶然が引き起こしたことで、その希さんから、笑みがこぼれました。
【笑った!!!!!】
その事実を、希さんに「今、笑顔が出たねー」と触れることなく、自分の中で、大事に噛み締めました。
理由は分かりませんが、直感で、そうした方が良いと思いました。
希さん自身が、自分で気づいていたか分かりません。
希さんにとって、その笑顔が、どれほどの意味を持っていたか分かりません。
ただ、私にとっては驚くほど、絶対に見逃してはいけない!と思うくらい、その意味は大きく、大切にしたい瞬間でした。
この笑顔をきっかけに、希さんとの距離を縮める何かを掴みたいと思っていました。
それから数カ月
その笑顔を見てから数カ月、支援は変わらずに続いていますが、希さんの笑顔をあれ以来見たことはありません。
コンサルティングは一進一退、三歩進んで二歩下がる、時に停滞、を繰り返しながら、希さんのペースで進んでいます。
このような、笑顔に出会えないクライアントの何人かは、メンタルの疾患を理由にコンサルティングを受けられなくなったり、理由もなくパタッと来なくなったりるす方もいます。
私は医師ではないため、それ以上の関わりはできません。そこにコンサルティングの限界を感じます。
リファーをしようにも、相談をする前に目の前から消えてしまうため、手を掴むことができません。
私にできることは、手を掴むことのできる、目の前のクライアントに語りかけることだけです。
私には、さまざまなタイプの希さんを支援しています。希さんに、また笑顔が戻ることを期待しながら、焦らず、手はしっかり掴んで、希さんの心の声をもっと拾える支援をしていきます。
この道は、スタートしたばかりなのか、道半ばなのか、ゴール目前なのか、全く分かりません。
ただ、私から手を離すことも、勝手にゴールに行くことも、スタートに戻ることも、絶対にありません。
また、あの笑顔をみたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
株式会社シールズ
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