記事一覧
新生活を自炊で生きていくための覚書き
新年度なので、下書きに放り込んであったネタを。
● 前提、想定読者
筆者は自炊歴が比較的長い方だ。一人暮らしを始めたのは大学からなのでそれだけでも足掛け10余年ということになるが、それ以前にも、家庭の事情もあって小学生の頃から自炊して孤食を賄うような機会がしばしばあった。そういう筆者が一人暮らしで自炊を始めるに当たって重要だと感じたポイントをまとめたエントリである。
これから書くことは、新
Macで(Wordの)⌘+Qおよび⌘+Wによる終了のショートカットキーを無効にする方法
(表題をすぐさま実行したい人は太文字の部分だけ読んでください。)
Macを使ってMicrosoft Wordでフランス語の文章を書いているとき、œ と打とうとしてうっかりアプリケーションを終了してしまったこと、ありますよね?
筆者はMacOS上でMicrosoft Wordを使ってフランス語の文章を書くことがしばしばある。MacOSではフランス語特有の綴り字である œ を打つ際、option+
穿鑿と「俗天使」(2022/02/17)
論文を読んでいたら「穿鑿」という語で目が止まった。読めない。調べると「せんさく」と読み、「詮索」とほぼ変わらない意味らしい。「穿鑿」の方は物理的に穴を開けることも意味するから、たとえば「ドリルで金属を穿鑿する」というようにも使える。だけど論文は「著者のこうした記述の伝記的背景をあれこれ穿鑿することは……」といった調子だったので、大人しく「詮索」でいいじゃないかと思った。そこで「穿鑿」の用例を調べて
もっとみる『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』 雑感
分かりにくい点は一切なかった。あまり言うべきことはないと思う。
ミサトさんは親になって父性愛に縛られたモラトリアムに決着をつけたし、綾波は単独性を得た(注1)。アスカはシンジよりもずっと大人になってしまって初めて「好きだったと思う」と言えた。災害ユートピア的な村落共同体で綾波が人間の感情を学ぶシークエンスのなんと凡庸なことか。ゲンドウは最後までユイに会いたい一心で息子と向き合うこともせず世界
「ロッキー」と金木犀とホープライトと自転車で走る高校生のこと(2020/10/8)
朝、セブンイレブンに買い出しに行く。
すっかり肌寒い。プルオーバー・タイプのパーカーを今年初めて着た。パーカーはトレーニングウェアが起源だという(英語では「フーディー」と呼ぶらしい)。そのせいだろうか。パーカーを着ていると身体に一本線が通ったような心地がする。自分の筋肉や骨格を感じる。いつもは緩慢に分断されている身体の各部分が有機的に連結された感じ。一言でいえば「やる気」が出てくるのだ。映画「ロ
『けものフレンズ』とポスト・アポカリプス
以下は「けものフレンズ」が流行った当時、友人との雑談のなかで「けものフレンズ面白くない」と言ったら「何が面白くないのか説明してみろ」と言われた経緯で書かれた雑文。なので、今の俺の主張を代表するものではないのだが、とりたてて公にする機会もなかったのでなんとなく公開してみる。結論としては「けものフレンズ」が面白くない、というよりは当時の一部の「けものフレンズ」需要に対する違和感を表明したものなので、
もっとみるインターネットのふるさと
「白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答へて消なましものを」
伊勢物語第六段「芥川」で有名な、在原業平によって詠まれたこの歌を安吾は「文学のふるさと」のなかで引用している。
安吾はこのような筋書きに認められるある種の「救いのなさ」、「ただモラルがない、ただ突き放す」感じを「凄然たる静かな美しさ」として、そこに「文学のふるさと」を認めている。
しかしここで安吾は「白玉か」という冒頭の句を「ぬばたまの
人材流出問題についての一風景
小・中学校のあいだサッカーに打ち込んでいた。中学の途中で受験勉強や諸々のライフバランス、それから怪我の癖がついたことを期にプレイヤーを辞めた。それから地元の小学校のサッカー部でコーチの真似事をしていた。大学に入る少し前までの話だから、時期にしてみればほんの数年の話だ。だからこれは確たるエビデンスがあって言う話でもなく単なる体感の話なのだが。
俺が育った地域はある東京都内の文教地区で、地元の小