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「ローバ(老婆)は一日にして成らず」

老いには普遍性や共通性があるけれど、同時に老いほど個性的で多様なものはない。そう言うのは91才評論家、樋口恵子さん。

ヨタヘロ期にのことを書いた著書「老~い、どん!」は10万部、「老いの福袋」は28万部売れた。評論家であり、腕利きのコラムニストでもあり、
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」を設立した。

東京大学卒業。その後時事通信社に就職したけれど、この会社には女の未来がないと感じてさっさと退職した樋口さん。東京新聞社の辣腕ジャーナリスト望月衣塑子さんと同席したシンポジウムで、「わたしだってもっと遅く生まれていたら、〇〇新聞社に樋口ありと言われる活躍をしていたのに~」と発言されていたということを、上野千鶴子さんが朝日新聞で書いていらした。

その新鮮な悔しがりぶりに驚いたと上野さんは書いていたが、当時の性差感は今よりももっと酷くて、確かに言うに言えないような悔しい思いをされてきたのだと想像する。

その樋口さんが提唱するのは、「我々、年寄りを見てください。皆、50代をちゃんと通り越して過ぎてきましたから。そりゃ、良いばあさんもいれば、悪いばあさんもいると思いますけれど、良いばあさんが50代をどう過ごしたかということをいろいろ聞き集めていただきたいのです。やはり良いモデルがあるということはとても大事。できれば同じ時代を生きる先輩ですね。私が明治の婦人運動家である市川房枝さんや平塚らいてうさんにどんなに憧れようと、いくら何でもあの時代とは環境が違い過ぎます。もちろん尊敬に値する第一人者ではあるけれど、もうちょっとそばで良い先輩を見つけ、まとわりついて意見を聞いておくことです」。

そして、50代を振り返ると、自分にとっては転身の時期だったと述べている。すでに評論家として自立していて「高齢社会をよくする女性の会」を設立したのは51歳のとき。女性問題や福祉に関する論文も書き始めていた。53歳のときに東京家政大学教授に就任し、70歳の定年まで勤めた。学生たちと家庭論とジェンダー論を語り合う充実した大学教授生活だったと言う。

91才の今も、「やりたいことはたくさんあります」と樋口さんは言う。
「高齢者に『食』『職(仕事)』『触(コミュニケーション)』の三つを提供する『じじばば食堂』を各地に作りたいし、高齢女性の貧困問題をなくしたい。面白いもので、『BB(貧乏ばあさん)からHB(ハッピーばあさん)へ』と言い続けていると、では、年金をどうするか、住まいの保障にもっと目を向けるべきではと発言してくれる後の世代が現れてくる。自分の時代には解決できなくても、打ち上げならぬ線香でも、花火を上げ続けていれば、花開かせてくれる若い人たちが出てきます。小さくても種を 蒔ま き続けるのも、長生きしてきた者の務めではないかと思っています」(引用;読売新聞)




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