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私たちが「大学で勉強したいこと」に出会うまで

こんにちは。東北大学 サイエンス・エンジェル (SA)の やま です。中高生の皆さんは、大学で学びたいことがありますか?「将来、どんな職につきたいの?」や「これから先、何を勉強したい?」といった質問をよく問いかけられると思います。文系理系、大学、学部・学科など選択に迫られ、自分のやりたいことを考える機会が多いですよね。この記事では、大学院生である私たちSAが、中高生の時に「大学で勉強したいこと」をどの程度考えていたかや、どのように出会ったかを紹介していきます。

中高生の頃、将来やりたいことは明確だった?

SAメンバー15名に、大学の志望校・志望学部学科選択時、「大学で学びたいこと・研究したいこと」はどの程度決まっていたか を聞きました。

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SAへのアンケートでは志望校・志望学学部科選択時に「大学で学びたいこと・研究したいこと」が明確だった/どちらかというと明確だったという人が15名中9名でしたが、6名はどちらかというと決まっていなかった/決まっていなかったと回答しており、志望校・志望学部学科選択時にはまだ、大学での学びが具体的にイメージできていなかった人も見受けられました。入学当初は大学でやりたい研究や大学卒業後に進みたい道が決まっていなくても、大学院まで進学し研究や勉強に励む道を選択する人も少なくありません!

中高生の頃、何がきっかけでどんなことに興味を持ったの?

せっかく大学まで進学し専門分野を勉強するのなら、興味のあることや面白いと感じることを学びたいですよね!実際、大学の学部学科の際には、興味のある分野を勉強できる学部に進学を決めたというSAの声も多かったです。
志望学部学科を考えている中高生の皆さんの中には、自分の興味のある分野が何か分からなくて悩んでいる方もいると思います。そこで、私たちSAが中高生の時、どのようなことをきっかけにして何に興味を持ち、学部/学科選択をしてきたかを紹介していきます。自分の興味や関心がどの分野にあるか分からない皆さんには、私たちの声を参考に、きっかけが身近にあることを感じていただけたら幸いです。
※SAは東北大学は自然科学系の大学院生です。他大学出身の学生もいるため、東北大には無い他大学の学部・学科卒業生の声も含みます。

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医学・薬学系卒業生の声

中学生ぐらいの時から、将来の職業として薬剤師になりたいと思っていました。薬剤師の国家資格があれば、妊娠出産等のライフイベントで一度仕事を辞めても復帰のハードルが低いこと、ちょっとしたパートでも薬剤師のお給料が高いことを周りの大人にアドバイスされて興味を持ったのがきっかけです。また、どんなに不景気でも病気になり医療を必要とする人は必ずいるので、医療系のお仕事に就きたいと思って薬学部進学を目指しました。(薬学部卒業生・現 薬学研究科所属)
幼少期、皮膚の疾患を持っていたこともあり、医療に興味を持ちました。初めは医学部志望でしたが、現在は薬学部で有機化学を勉強しています。薬を開発し、身近な患者さんだけでなく、薬を必要としている世界中の患者さんによりよい薬を届けたいと思っています。(薬学部卒業生・現 薬学研究科所属)
幼少期、疾患を持っていたことがきっかけで医療に興味を持ちました。ドラマなどの影響もあり、医者になりたいと考えていました。(薬学部卒業生・現 薬学研究科所属)
小説に出てきた臨床心理士がサヴァン症候群(※1) の研究をしていて、「世の中にはこんな人がいるのか……!!」と衝撃を受けました。自分もこころや脳の研究がしたい!と思ったことがきっかけです。医師免許をとって研究医になることも考えましたが、どうせなら研究に特化した学科に行こうと思い、進学先を決めました。(医学部生命科学科卒業生・現 現 生命科学研究科所属)  

     ※1 精神障害・知的障害がある一方で、突出した才能を持っていること

父親が身体の内部を撮影するMRIの検査を受けたことがあり、その時に「もっと楽に撮れないの?」と聞かれたのがきっかけで医療機器について調べました。そこから医療機器に興味を持ち、もともと好きだったものづくりを通して患者さんに貢献したいと考え、医工学を学ぶことができる学部・学科を選びました。(生命医科学部医工学科卒業生・現 医工学研究科所属)

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理学部、農学部卒業生の声

中高生の時に科学雑誌のNewtonを色々と読み、自然界に存在する力は4種類しかないこと、物質を構成する最小単位の素粒子は十数種類しかないこと、宇宙や銀河、星の始まりなどを知ったことで、それらの中でまだはっきりと分かっていないことを解明したいと思い、理論物理学や天文学に興味を持ちました。(理学部卒業生・現 理学研究科所属)
中学生の時の理科の先生が女性のとても素敵な方で、彼女に憧れて理系をもっと学びたいと思いました。また、高校生で化学を学んだ時、数学や物理など様々な理学分野につながると思い、化学により一層興味を持ちました。(農学部卒業生・現 生命科学研究科所属)
高校の担任の先生に、科学部での実験を誘われ、生物実験を始めたことがきっかけで生物学に興味を持ちました。さらに科学者の卵養成講座(東北大学主催の高校生向けイベント)に参加したことをきっかけに生物以外の科学も幅広くおもしろいと思うようになりました。(農学部卒業生・現 生命科学研究科所属)

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工学部卒業生の声

高校生の時に訪れた京大理学部のオープンキャンパスで花山天文台に訪れた際宇宙に興味を持ち、翌年東北大のオープンキャンパスで宇宙探査機の研究に興味を持ちました。宇宙という遠い場所を探検する探査機がどのように作られているのか興味を持ったからです。(工学部卒業生・現 工学研究科所属)
東日本大震災による計画停電を経験したことで、エネルギー分野、特に電力に興味を持ちました。電力を安定供給するためにはどんな技術が必要か学びたいと思い、進路を決めました。(工学部卒業生・現 工学研究科所属)
軽音楽部に所属していたこともあり、元々音楽が好きで「音」に興味がありました。当時の流行だったVOCALOIDがライブを行ったことや両親の影響で音響情報処理と言う分野を知り興味をもち進路を決めました。(工学部卒業生・現 工学研究科所属)
もともと興味の範囲が広くて迷っていましたが、特に生物に興味があったのでいろいろなワークショップ等に行っていました。でも今ひとつ勉強した先でやることにピンとこなくて「これは趣味でいいかもしれない」と気づきました。その後進路を考えるにあたって自分の過去を振り返った結果、”思いついたものをつくることに楽しさを感じるタイプ”だと感じたので、つくりたいものを自分で自由につくれるようになれそうな工学を選びました。(工学部卒業生・現 医工学研究科所属)
実家が農家だったため、枯れた植物が土にかえり、他の植物が成長するための肥料になるというサイクルに興味をもちました。そこで、生分解性プラスチックの開発に携わりたいと思い、工学部の化学・バイオ工学科を志望しました。実際は、東北大学の工学部化学・バイオでは生分解性プラスチックの研究はしていなかったと後で知りました。(工学部卒業生・現 工学研究科所属)

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ここまで、各学部に興味をもったきっかけとなる出来事を紹介してきました。いかがだったでしょうか?

学校の授業やイベント、部活動、趣味、雑誌、周りの人など、身近な所にきっかけがあることがお分かりいただけたでしょうか。「何を勉強したいのか」、「どんなことを知りたいか」など、自分が興味関心を抱く分野がどこにあるか悩んでいる皆さん、日常生活の中で面白いな・不思議だなと感じる場面を思い返してみてください。その疑問を少し調べてみると知らなかったことが分かって楽しくなると思います。その楽しい・面白いの積み重ねで、「大学で学びたいこと・研究したいこと」が徐々にはっきりしてくるのではないでしょうか。意外と身近な所に、自身の興味関心へのヒントがあるかもしれません。

私たちSAのnoteマガジン(私の学部/研究科をご紹介♪)でも、各学部(工学部理学部薬学部農学部歯学部医学部)の学生や卒業生が、その学部を選択した理由やきっかけをご紹介しています。もっとたくさんの先輩の声を聞いてみたいという方は、ぜひ、ご覧ください!

次号では、大学入学後に学びたいことや研究したいこと、将来就きたい職がどのように変化したかのSAの声をお届けします。お楽しみに!!

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編集後記

幼稚園生の頃、パン屋さんかケーキ屋さんになりたいと思っていました。そんな私は現在、”セラミックス材料”の研究をしています。一見共通点がないですが、原料の重さを測る→混ぜる→形を整える→焼くという作る工程は、実はとても良く似ています♪ 小さい頃の夢が、少し違う形で叶っているのかもしれません。(やま)

東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。







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