見出し画像

中学教員から教育魅力化コーディネーターへ。町と学校の声を聴き、子どもたちの学びにつなげたい。

こんにちは。島根県の津和野町で教育魅力化小中連携コーディネーターをしている住田桃子です。

大学卒業後は広島の公立中学校で英語科の教員として勤め、その後コーディネーターになり現在に至ります。今年度で4年目になります。 

教員2年目のときに学校現場に対する違和感や閉塞感を覚え、学校教育をもう少し客観的に見たいと思って、教育関連のさまざまなコミュニティに足を運ぶようになりました。その中でエデュコレ㏌関東2017(※)に参加し、島根の教育魅力化に取り組む方に出会ったことがきっかけで、現在の仕事につながりました。

※ 教育NPO、フリースクール、学校や自治体レベルのユニークな取り組みなど多様な教育のあり方に触れられる教育博覧会

津和野との出会い、思いを胸に津和野へ

大学3年生のときに、本当に教員になりたいのかを確かめたくて、教育系NPO団体が運営する学習支援事業に携わりました。

そこで、「学校と社会が協力することで、学校の先生が助かったり、子どもたちにとってよりよい出会いにつながったりするのではないかな」という気づきがありました。それと同時に、「私自身は学校とどういう関わり方をしていくのがいいのだろうか」という疑問も生まれました。

そんな問いを持ちながらではありましたが、まずは教育現場で子どもと関わりたい気持ち、そして、現場のことを教員の立場に立って知りたいという気持ちがあり、大学卒業後は中学校英語科の教員として働くことに。2年目になると、学校教育のさまざまな面が見えるようになりました。

学校教育を客観的に見たいという思いから、東京のオルタナティブスクールや放課後の居場所づくりをしている中高生向けの施設を見に行ったり、教育関連のコミュニティに足を運んだりするようになりました。そんな中、多様な教育の博覧会「エデュコレ」に参加したことがきっかけで、津和野町で教育魅力化に取り組む方に出会ったんです。

実際に津和野に足を運んでみると、この地域の方々は子どもたちのことを真剣に考えて、フラットな関係性で話をしているなと感じました。学校だけでなく、みんなで子どもたちを育てていくあたたかい雰囲気に魅力を覚え、津和野で働くことを決心し、翌年にコーディネーターとして働き始めました。

コーディネーターとしてどんなことをしているのか

今は小学校2校と中学校1校を担当しています。津和野町は人口が7千人ほどの町。学校と地域の関わりが深く、子どもたちが地域からの愛情をたくさん受けているなと感じています。

教育魅力化コーディネーターの仕事はいくつかありますが、メインの仕事は、地域の資源を活用しながら、主に総合的な学習の時間を通して子どもたちが主体的に学ぶ機会を先生たちとつくっていくことです。

特に仕事をする上で大切にしていることは、地域の方や学校の先生との対話の場。それぞれの立場の方の思いや課題をお聞きして、町全体を学びの場にするお手伝いをしています。外部とのコーディネートをしたり、先生方とプログラムを一緒に計画したり、実際に授業に入って子どものサポートをしたりしています。

例えば小学校では、地域の方と子どもたちが交流できる食堂をつくるプロジェクトに取り組みました。まず先生がやったことは、子ども達の動機付け。地域や行政の方と直接会う場を設定し、お互いがコミュニケーションを取れる機会をつくりました。

それによって自然な交流が生まれ、地域の方から子ども食堂で使う野菜をいただくことも。子ども達はそのありがたさを感じるとともに、野菜を育てることには多くの時間や労力がかかっていることを知る機会にもなりました。その体験から、「自分たちで野菜を育ててみよう」というアクションにもつながりました。

コーディネーターの難しさとやりがい

3年間やってみて、コーディネーターは定義しづらい職業だなと思います。先生として毎日子どもと関わっているわけではないので、最初の頃は自分の役割がわからなくなったり、存在意義を感じにくかったりすることがありました。

学校現場の人からも教育委員会の人からも、何をする人なのか疑念を抱かれていたこともありました。やることがどんどん変わっていくので、自分が何者なのかという説明がしづらかったこともあります。

「何をする人なのか」というところから自分の価値を自分で証明しないといけませんでした。活動を継続する中で、だんだんと地域の方々や子どもたちと関係ができてきて、成長する子どもたちの姿を見て、少しずつ変化を感じています。

私が教育に携わる上で、大切にしたいことは2つ。1つ目は、子どもを1つの評価軸で見るのではなく、多様性を認め、力を発揮できる場を広く選べるような環境をつくること。2つ目は、リアルに体験しながら学ぶ機会をつくることです。

私の力不足ですが、教員時代はインプットが多い机上の学習がほとんどで、なかなかそれらを大切にできていませんでした。津和野に来てからは、さまざまな場で子どもたちが体験することを大事にしながら働けていると肌で感じています。

教員時代から持っていた違和感に対して、アプローチの幅が広がりました。学校の先生がやりたくても手が届かない部分に対して少しでも力になれていたら嬉しいです。

自分の声を届けることも、相手の声を聞くことも大切に

大人も子どもも声を大切にできていない現状があるなと思っているので、School Voice Project の「声を大切にする」という趣旨にはとても共感しています。学校現場に対話の時間が増え、声が大事にされる環境になることを望んでいます。

プロフィール 住田 桃子(すみだ ももこ)
一般財団法人つわの学びみらい 津和野町教育魅力化コーディネーター(小中担当)コーディネーター歴4年目。

(文:糸田麻希子 編集:建石尚子)

WEBアンケートサイト「フキダシ」は、現在ユーザー登録を受け付けています。教員の方だけではなく、事務職員や用務員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、ICT支援員の方など、学校現場で働くさまざまな立場・職種の方が対象です。ぜひご登録ください。

↓ ユーザー登録をする ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?